ラグビー

フィジカルで上回った帝京大とスクラムでリベンジした早稲田大 頂点かけ決勝で対決へ

明治大を下した帝京大(左)と、京産大を下した早稲田大が、13日の決勝で対戦する(すべて撮影・斉藤健仁)

年が明けて1月2日、第61回を迎えたラグビーの大学選手権は東京・国立競技場で準決勝2試合が行われた。1試合目は4連覇がかかっている帝京大学(関東対抗戦2位)と明治大学(対抗戦3位)という昨季の決勝と同カード。2試合目は関東対抗戦全勝優勝の早稲田大学に4季連続の準決勝進出となった京都産業大学(関西2位)が挑んだ。

帝京、後半開始から3連続トライで決める

帝京大と明治大の勝敗を分けたのは、後半の入りだった。

前半は帝京大が2トライを先制すると、紫紺のジャージーの明治大も2トライを返して14-12で折り返した。

4季連続14回目の決勝進出を決めた帝京大

後半、先に得点を挙げたチームが勝利に近づくと思った矢先のことだった。「全力」をテーマに掲げた帝京大は、キックカウンターからFB小村真也(4年、ハミルトンボーイズ高)が抜け出し、最後はCTB上田倭士(2年、大阪桐蔭)が右中間に押さえた。さらに8分にLOカイサ・ダウナカマカマ(2年、大分東明)、17分にLO本橋拓馬(4年、京都成章)とフィジカルの強い2人がトライを重ねて勝負を決めた。

明治大も終盤に2トライを返したが、1PGを加えた帝京大が34-26で逃げ切り、4季連続となる14度目の決勝進出を決めた。

FB小村は後半最初のトライで大きな仕事

帝京主将「接点で勝った」 明治主将「チェイスでエラー」

大学に入ってから大学選手権で負け知らずの帝京大のキャプテンFL青木恵斗(4年、桐蔭学園)は「80分間、全員がファイトした。試合が始まってから、自分たちが接点で勝っていたので、ディフェンスしていても不安はなく焦ることはなかった。(2点差で迎えたハーフタイムも)自分たちから仕掛けようとチームに伝えて、みんながそれをしてくれたので(3連続トライをして)スコアにつながった」と胸を張った。

「奪還」をスローガンとしていた明治大学のキャプテンNO8木戸大士郎(4年、常翔学園)は、対抗戦に続いて帝京大に敗戦し「相手のディフェンスが厚いのはわかっていたので、キックを有効に使おうとしたが、(キック)チェイスでエラーが起きてしまった。言葉が出ないですね。ホンマに悔しい」と言葉を絞り出した。

明治大の木戸大士郎主将は「言葉が出ないですね。ホンマに悔しい」

早稲田、スクラムで主導権握りリード守る

2試合目は秋から連勝を続けている早稲田大に京都産業大が挑んだ。

勝敗の鍵を握ると予想されていたのはスクラムだった。昨季の大学選手権の準々決勝で両者は対戦し、スクラムを圧倒した京都産業大が65-28で大勝していた。早稲田大は昨季のリベンジがかかっており、一方の京都産業大は11度目の挑戦で初の準決勝の壁を破るのかが注目された。

昨季、京産大に負けてから2週間後に新チームを始動した早稲田の佐藤主将

昨季、京都産業大学に敗戦して2週間あまりで始動した早稲田大。やはり練習はうそをつかなかった。

この試合、「リゲイン・プライド」を掲げた白のセカンドジャージーの早稲田大がいきなり躍動する。前半7分、スクラムで相手の反則を誘った後、ゴール前ラインアウトのチャンスを得て、サインプレーからLO栗田文介(3年、千種)がトライを挙げて先制に成功した。

さらに15分、再び早稲田大のスクラムが前に出てペナルティーを誘って、ゴール前に攻め込み、CTB福島秀法(3年、修猷館)がトライを挙げて主導権を握った。

その後も相手の強力なランナーに対してしっかり2人、3人でタックルしトライを許さなかった早稲田大が、好機でキャプテンHO佐藤健次(4年、桐蔭学園)、WTB田中健想(1年、桐蔭学園)がトライを重ねて26-0で前半を折り返した。後半11分にもWTB池本晴人(2年、早稲田実)がトライを挙げて31-0として勝負を決めた。

粘る京都産業大学も後半20分以降、3トライを返したが、早稲田大学がそのまま31-19で勝利を収めて、2大会ぶり34回目の決勝進出を決めた。

後半11分に試合を決定づけるトライを挙げたWTB池本

早稲田主将「まだ成長できる」 京産主将「らしさ出せた」

早稲田大のHO佐藤キャプテンは「去年の4年生のリベンジをしようという話をして、勝てたので良かった。スクラムでペナルティーを取ることができ、前半、良い流れで試合を持ってくることができた。ただ内容としては、まだまだ成長できるところがたくさんあるし、自分自身しっかり反省して、決勝戦はもっと良いプレーができるように頑張りたい」と反省しつつ前を向いた。

4シーズン連続、準決勝で敗退した京都産業大の共同キャプテンFB辻野隼大(4年、京都成章)は「前半の立ち上がりからトライが取れず、逆に自分たちのミスで自陣に入られ、スコアにつなげられて、チームを勢いに乗せることができなかった。ただ後半、諦めない力というところで、京産大らしさが見えたかな」と前を向いた。

京産大の辻野共同主将は「後半、諦めない力というところで、京産大らしさが見えた」

秋から負け知らずの早稲田大が5大会ぶり17度目の大学日本一に輝くのか、それとも帝京大が早稲田大に夏と秋のリベンジを果たして4季連続となる13回目の王者となるのか。1月13日、東京・秩父宮ラグビー場で今季の大学日本一が決まる。

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