ラグビー

筑波大学が2大会ぶり5度目の王者に 春の到来告げる東日本大学セブンズ大会レポート

2トライを挙げた筑波大の飯岡建人(撮影・斉藤健仁)

4月13日、雨中の東京・秩父宮ラグビー場で、今年も春の大学ラグビーシーズン到来を告げる、26回目の東日本大学セブンズラグビー大会が開催された。

準決勝はいずれも逆転で明治、筑波が勝ち上がり

出場した16大学は関東対抗戦Aの6大学(早稲田大学/帝京大学/明治大学/慶應義塾大学/青山学院大学/筑波大学)、関東リーグ戦1部の6大学(大東文化大学/東洋大学/東海大学/流通経済大学/法政大学/立正大学)、そして北海道地区代表・北海道大学、東北地区代表・八戸学院大学、地区対抗代表・信州大学、医歯薬選抜だった。

大会は午前9時からトーナメント形式で行われ、チャンピオンシップのベスト4には昨季王者の帝京大、早稲田大、明治大、筑波大と対抗戦の強豪4チームが勝ち進んだ。

「早明戦」となった準決勝1試合目は明治大が早稲田大に19-14で逆転勝利、2試合目も筑波大が帝京大に19-17で逆転勝利を収めた。

なお1回戦敗者同士のトーナメントであるコンソレーション決勝は流通経済大がラストワンプレーで33-33と同点に追いつき、ゴールデンスコア(延長戦)の末、東洋大を下して優勝した。

コンソレーションを制した流通経済大(撮影・斉藤健仁)

決勝は筑波が終始優勢、明治も意地を見せる

午後5時から7分ハーフで行われた決勝は攻撃力が自慢の明治大と、ディフェンスが持ち味の筑波大の激突となった。

序盤、明治大がボールを継続してアタックを仕掛けるが、相手の堅い守備の前に得点を挙げることができなかった。前半2分、「やってきたことを出そう」と臨んだ筑波大が自陣で相手のミスを誘うと、右に大きく展開し井上達木(2年、佐賀工業)が走りきってトライ、自身でゴールも決めて7-0とする。

先制トライを挙げた筑波大の井上達木は7人制日本代表にも選ばれた(撮影・斉藤健仁)

先制点を挙げて主導権を握った筑波大は4分、オフロードパスから茨木颯(4年、東福岡)が走り込んでトライ、さらにロスタイム、筑波大は相手ボールのスクラムを押し込んでターンオーバー、最後は飯岡建人(3年、流通経済大柏)がトライを挙げて17-0とリードして前半を折り返した。

後半も筑波大のペースは変わらず、1分、相手の反則から右に展開して濱島遼(4年、福岡)がトライ、続いてディフェンスからミスを誘って蹴り込んだボールを再び飯岡が押さえてトライを挙げて勝負を決めた。

明治大も意地を見せて後半終盤に山川遥之(4年、尾道)が2トライを挙げたが、ラストプレーで相手キックオフをキャッチした筑波大の加島優陽(2年、石見智翠館)がそのまま走りきってトライを挙げてノーサイド。

終わってみれば6トライを挙げた筑波大が36-14で快勝して2大会ぶり5度目となる春の東日本大学セブンズ王者に輝いた。

明治は下級生に大きな経験、筑波は鍛えたタックルに自信

昨年に続いて決勝で敗れた明治大の伊藤利江人(3年、報徳学園)は「筑波大のディフェンスがよくてなかなかボール保持ができなかった」と悔しそうに話した。初めて紫紺のジャージーを着てプレーした古賀龍人(1年、桐蔭学園)は「紫紺にはいろんな人の思いや誇りが乗っていると改めて感じた。こんなに早い段階で大学生のスピード感、コンタクトを経験できて良かった」と振り返った。

1年生ながら活躍を見せた明治大の古賀龍人(撮影・斉藤健仁)

東海大、大東文化大、帝京大、明治大と強豪に勝利して価値ある優勝となった筑波大は今季、1月末から新チームをスタートさせて、あらためて接点、タックルに注力してきたという。

7人制に特化した練習はこの1週間ほどだったが、セブンズチームを指揮した大場宏祐BKコーチ(修士2年、東筑)は「1対1で負けないところ、接点など15人制、7人制関係なく春から練習でやってきたことが出せた。攻守両面で走ることができた」と選手を称えた。セブンズのキャプテンを務めた小池陽翔(4年、中部大春日丘)は「どの大学よりハードな組み合わせだったが、最後まで戦い続けることができた。今季、『ROCK YOU』というスローガンを掲げて、最初の大会で優勝して良い流れを持って来られたが、ここで満足せずに今後につなげていきたい」と先を見据えた。

決勝で2トライを挙げた飯岡は「(決勝は)得意プレーのスピードが生かせた。(2大会ぶりの)優勝はうれしいですし、他に変えられない感情です。この流れを切らさずに今後も良いプレーをしたい」。高校時代から7人制のユース代表に入り、今年3月には同日本代表にも選ばれた井上は「セブンズは一人では戦えないので、大場コーチといっしょにチームを作り上げることができた。キックの調子が良かったです!」と満面の笑顔を見せた。

大会を通じて光った筑波大のディフェンス(撮影・斉藤健仁)

15人制の関東大会も4月20日に開幕

筑波大の優勝で幕を閉じた26回目となる東日本大学セブンズ。4月20日からは15人制で争う関東春季大会が開幕し、いよいよ春シーズンが本格的に始まる。

喜びの表情を見せる筑波大の選手たち(撮影・斉藤健仁)

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