男子は駒大・菅谷希弥選手、女子は拓大・位田明優選手が活躍!かすみがうら10マイル

今回の「M高史の陸上まるかじり」は4月20日に開催されました「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン」のお話です。フルマラソンの部では川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)が13年ぶりの優勝を飾りました。10マイルの部には大学生も多数出場。M高史は大会MCを務めさせていただきました。
菅谷選手「夏合宿を乗り切って、駅伝に絡めるように」
フルマラソン・10マイル・5km合わせて1万5千人以上の方がエントリー。市民ランナーの皆さんは、前年の秋から続いたマラソンシーズンの締めくくりとして走る方が多いですが、学生選手の中にはこれからの関東インカレやトラックシーズンに向け、勢いをつけたいという狙いで出場する選手もいます。
特に10マイル(16.0934km)という距離は、ハーフマラソンや駅伝の適性を見極めることにも向いているので、最近は各大学の「これから伸びてきそうな選手」や「今年、ブレークしそうな選手」が走ることが多いです。
9時20分に10マイルの部がスタートしました。男子のレースは10kmで31分を超えるスローペースで進み、駒澤大学の菅谷希弥選手(2年、駒大高)が積極的に仕掛けていきました。何度もペースアップを繰り返し、先頭集団は菅谷選手を含めて3人に。終盤になってオーストラリアからの招待選手、シアラン・ラシュトン選手が追いつき、ラスト約300mあたりで抜け出して49分38秒で優勝を飾りました。
菅谷選手が49分41秒で2位。3位には、ハーフマラソンで1時間01分01秒の自己記録を持つ警視庁の佐藤諒太選手が続きました。
菅谷選手は駒大高校3年時、10000mで東京都高校記録となる28分55秒93をマーク。しかし大学入学後はケガが続き、今回のかすみがうらマラソンが大学初レースでした。高校3年の2月に青梅マラソンの10kmで、大会新記録を出して優勝して以来のレースに藤田敦史監督も「レース内容も良かったです。ロードに強く、2年生世代で桑田駿介(2年、倉敷)、谷中晴(2年、帝京安積)に続く存在になってくれれば面白いです」と高く評価されていました。

菅谷選手にレース後、お話を伺いました。
「自分自身14カ月ぶりのレースで、最後のラストスパートや駆け引きなどの感覚を取り戻しながら、優勝を目指していました。11km手前で一度仕掛けました。そこからずっと向かい風で、押し切れる自信がまだなかったので、変化走のように揺さぶって3人の集団になりましたが、そこでまた後ろから追いつかれてしまいました。最後(ラシュトン選手に)行かれてしまって、まだ課題が残るレースでした。ずっとケガばかりでしたが、最近つかめてきたので、ここから頑張っていきたいです。夏合宿を乗り切って、後半シーズン駅伝に絡めるようにしていきたいです。ロードはトラックよりも得意意識があります」

位田選手「トラックシーズンにつなげられたら」
10マイル女子は、拓殖大学の位田明優選手(2年、錦城学園)が59分33秒で優勝。池本愛選手(東京陸協)が59分48秒で2位。石巻専修大学の小野寺美麗選手(3年、山形城北)が1時間00分50秒で3位と続きました。
レース後、位田選手にお話を伺いました。
「優勝を目指していました。途中で女子トップと離れていたのですが、折り返してから焦らず追いついて、そのまま逃げ切ることができました。今後のトラックシーズンにつなげられたらと思います。風を結構感じましたが、男性の選手がいたのでつかせてもらってうまく走れました。(今後の目標について)関東インカレの10000mで日本インカレの標準記録を切りたいです。駅伝ではチームで3位以内を掲げているので、個人としましては区間5位以内で渡せるように、これから力をつけていきたいです。キツくなってからの粘りと、1人でも淡々と走れるところが強みです」

フルマラソンは川内優輝選手が13年ぶりの優勝!
フルマラソンでは川内優輝選手が自身140回目のマラソンに挑まれました。13年前、川内優輝選手のマラソン初優勝が、このかすみがうらマラソン。「弟(川内鴻輝選手)と練習仲間のペースメイクをしていて、弟は途中で脱落しましたが、練習仲間は40km付近まで引っ張って、ラスト2.195kmだけ切り替えて6分9秒(ご自身の中でいまだに過去最高のラスト2.195kmタイム)で走ることができました」。優勝を飾られた後は、世界選手権で4度の日本代表やボストンマラソン優勝と、国内外のマラソンで百戦錬磨の走りを披露してきました。
2023年10月のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で激走された後は、ケガで苦しい時期もありましたが、ご自身の座右の銘「現状打破」を体現するように、一歩ずつ乗り越えられました。今大会では単独走で、後半は向かい風が吹く厳しいコンディション。それでも1年4カ月ぶりの2時間20分切りとなる、2時間19分10秒で優勝を果たしました。フルマラソンで2時間20分を切った回数で、ギネス世界記録を持つ川内優輝選手にとって、完全復活に向けた一歩になりました。
M高史はフィニッシュ地点で拝見しておりました。単独走でも勢いよく胸を突き出してフィニッシュし、ガッツポーズもなしで時計も止めないのが、川内優輝選手。1秒でも早く駆け抜けるスタイルを貫かれています。

レース後はダウンや着替えなどを終えてから、フィニッシュ地点でランナーの皆さんをお出迎え。最終ランナーの方まで迎え、爽やかな笑顔で会場を後にされました。
ちなみに大会前日の前夜祭もご一緒させていただきました。そこではなんと、前日のルーティンとなっているカレーライスを6杯も召し上がっていました(笑)。しかも土浦名物のレンコンカレーです。「(カレーの)器がちょっと小さかったので」と謙遜(?)されていましたが、独自のスタイルを貫く雄姿をこれからも応援いたします。

筑波大学の皆さんがペースアドバイザーを務めました
大学生アスリートの皆さんは10マイルだけでなく、フルマラソンでも参加ランナーの皆さんをサポートし、活躍されていました。
筑波大学陸上競技部の皆さんは「3時間」「3時間30分」といったペースアドバイザーを務め、ランナーの方々を先導。5000mからハーフマラソンまでの距離が主戦場となる学生選手にとって、フルマラソンを1人で先導するのは負担が大きすぎることもあり、交代で走りました。
現役の学生選手に引っ張ってもらえるのはランナーの方々にとってもうれしいですし、その選手たちが駅伝や大会で活躍するかもしれないので、応援しがいもありますよね。ペースアドバイザーを務めた選手の皆さんからも「知らない方から応援されるのは、うれしかったです」「少しでも力になれるように、声かけしながら走りました」といった声が上がりました。
役目を果たした後は、「チームとして箱根駅伝出場を目指しています」とキリッとした表情に変わりました。競技者として結果を追い続ける中、時にはマラソンに参加されているランナーの皆さんと交流することで、競技を始めた原点や走る喜び、楽しさを感じられる機会になっているようです!

