駒澤大・落合晃 800m日本記録保持者が1500mと高地合宿で培ったスタミナ発揮

2025日本学生陸上競技個人選手権大会 男子800m決勝
4月27日@レモンガススタジアム平塚(神奈川)
優勝 落合晃(駒澤大1年)1分45秒88=大会新
2位 岡村颯太(鹿屋体育大3年)1分47秒04=大会新
3位 前田陽向(環太平洋大4年)1分47秒19=大会新
4位 木佐亮太(筑波大5年)1分48秒28
5位 水野瑛人(中京大2年)1分48秒48
6位 寺西満輝(山梨学院大4年)1分49秒14
7位 東秀太(広島経済大3年)1分50秒64
8位 小瀬堅大(順天堂大3年)1分55秒08
2025日本学生陸上競技個人選手権の最終日、4月27日に行われた男子800m決勝で、日本記録保持者の駒澤大学・落合晃(1年、滋賀学園)が実力を発揮した。1分45秒88で優勝。9月に東京・国立競技場で開催される世界選手権の開催国枠エントリー設定と同じタイムだった。
大八木弘明総監督からは「ラスト150mをしっかり」
前日の予選を1分49秒09、準決勝を1分48秒17で走りきり、いずれも組1着で順当に決勝へと駒を進めた落合。準決勝のレース後は「今回の個人選手権では、世界陸上開催国枠の1分45秒88を切ることが目標です。少しでも近づけるように、しっかり準備したい」と意気込みを語っていた。

決勝は昨年の個人選手権で優勝した鹿屋体育大学の岡村颯太(3年、致遠館)や今大会で男子1500mを制し、二冠を狙う環太平洋大学の前田陽向(4年、洛南)らがライバルと目されていた。2人に挟まれる形で6レーンに入った落合は、1周目のバックストレートでオープンレーンになったところで前へ。200m通過時点では先頭に立った。400mの通過タイムは53秒。ラスト1周でさらにペースを上げれば、目標タイムの突破も見える状況だった。
指導を受けている駒澤大の大八木弘明総監督からは、予選と準決勝の走りを受けて「ラスト150mをしっかり」と言われていた。落合はその言葉通り、特に最後の直線は向かい風を受けながらも、後ろを引き離していく。ゴールした直後の速報タイムは1分45秒90。目標に0.02秒届かず、一度は頭を抱えたが、正式タイムが1分45秒88と表示されると、「おお!」と驚いた表情を見せ、一安心した様子だった。

Ggoatの先輩たちから受ける刺激
駒澤大に入学後、落合の大学デビュー戦は4月12日の金栗記念で、種目は1500mだった。「高校生の時に総監督から『金栗は1500で勝負しよう』と言っていただいて、自分としても1500は必要だと思っていました」
3月には大八木総監督が指導するGgoatのメンバーとともに、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキでの合宿にも参加した。標高約1900mの地で高地トレーニングに励んだことで、「スタミナ面でも強化できた」と効果を実感。金栗記念で1500mのレースを経験し、今大会の準決勝後も「まだ余裕がある」と口にしていた。実際、決勝でも2周目のペースは落ちなかった。

アルバカーキではGgoatのメンバー、駒澤大OBの田澤廉や鈴木芽吹(ともに現・トヨタ自動車)、篠原倖太朗(現・富士通)、先輩の佐藤圭汰(4年、洛南)と生活をともにした。先輩たちはトラックで10000mや5000mに軸を置いているため、800mが専門の落合は基本的に1人で練習していたという。「練習はあまり一緒にできないんですけど、同じ場所で練習しているだけで、すごく刺激をいただきました。質の高い練習をされているところは見習わないといけないですし、優しい先輩方で人間性の部分もすごい方々。本当に良くしてもらっています」
世界で勝負している選手たちがいる環境に身を置きたい。それは落合が駒澤大を志望した理由の一つでもある。
気温がどんどん上がっていくと、体が動いてくる
今大会の初日には5月下旬に韓国・クミで開催されるアジア選手権の日本代表に選出されたことが発表され、今大会の結果を受けて、7月にドイツであるFISUワールドユニバーシティゲームズ日本代表の座も手に収めた。7月上旬には日本選手権も控え、大きな舞台で経験を積みながら9月の世界選手権へとつなげていく。
次なる目標タイムは、世界選手権の参加標準記録に設定されている1分44秒50だ。落合は1周目をもっと速く走り、2周目もこの日のようなタイムで粘れたら突破も見えてくると話す。「今回は1周目が53秒ぐらいでしたけど、今度は51秒で入りたい。これから気温がどんどん上がっていくと、自分の中で体が動いてくる感じがあるので、まだまだ上げていけるなと思っています」

高校時代に中距離で日本記録を打ち立てた落合が、大学駅伝の強豪校に在籍しながら、専門にしている距離は違えど世界で戦う選手たちと高め合うことで、どんな成長曲線を描いていくのか。これは本人やチームのみならず、日本の陸上界が注目している。
