立教大・青木龍翔が2部1500m連覇 ラストイヤーの来年は「駅伝にも挑戦したい」

第104回 関東学生陸上競技対校選手権大会 男子2部1500m決勝
5月9日@相模原ギオンスタジアム(神奈川)
優勝 青木龍翔(立教大3年)3分44秒92=大会新
2位 小河原陽琉(青山学院大2年)3分45秒40
3位 井口愁斗(東京国際大2年)3分46秒98
4位 椙山一颯(青山学院大1年)3分47秒96
5位 梅原悠良(東京農業大2年)3分49秒05
6位 杉原立樹(上武大3年)3分49秒83
7位 大塚直哉(立教大4年)3分50秒64
8位 熊井渓人(青山学院大3年)3分52秒37
関東インカレ2日目の5月9日に行われた男子2部1500mで、立教大学の青木龍翔(3年、大牟田)が昨年に続いて優勝を果たした。昨年の夏ごろから、今年7月に開催されるFISUワールドユニバーシティゲームズ(以下、ユニバ)出場に照準を合わせていたが、4月の学生個人選手権で結果を残せず。そこからしっかりと気持ちを切り替え、勝ちきった。
ハイペースになったことが勝利につながった
2週間前に臨んだレースは、青木が得意としないスローペースに巻き込まれてしまった。4月25日の学生個人選手権、男子1500m決勝。ユニバの代表選考にも大きく影響するレースがスタートすると、出場した15選手がお互いに牽制(けんせい)し合い、最初の400mは77秒もかかった。2周目は74秒。3周目に54秒まで一気にペースが上がり、青木は4位に終わった。「レース展開が想定外だったこともありましたけど、そこで勝ちきれないのは自分の実力不足でした」
このときの反省も踏まえ、関東インカレでは「もう一人(立教大から)出場していた大塚さん(直哉、4年、愛知)が引っ張ってくれた」。心強い先輩が集団を引き、青山学院大学の小河原陽琉(2年、八千代松陰)と椙山一颯(1年、九州学院)がついていく。1周目を59秒で通過すると、青木は4番手につけてレースを進めた。

400mから800mにかけては先頭が61秒で走り、徐々に4人の後ろが離れ始めた。ラスト1周の鐘が鳴るところで、先に勝負を仕掛けたのは小河原。青木はそれに反応し、バックストレートで抜いた。最後の直線では2位との差を確認しながらゴール。右手で連覇を示す「2」を作って、雄たけびを上げた。
「1500mのレースが3月の中旬から続きっぱなしで、たぶん8本目ぐらいでした。多少の疲れが見えてた中でしたけど、自分の中で『勝つ』ためのレースをできたことは収穫だと思います。ハイペースになったことが、勝利につながったのかなと思います」

1週間で約120kmの走行距離が、昨年は最低150kmに
決勝でマークした3分44秒92は大会新記録でもあった。ただ、本人はタイムをそこまで気にしていない様子だった。「もともと大会記録よりも早い自己ベスト(3分40秒39)を持っていて、今回は勝つことを考えた結果、記録がついてきたのかなと思います。3年生の時点で大会記録を超えられたので、来年につながります」
昨年4月に髙林祐介監督が駅伝監督に就任してから、走る距離が増えたのは、秋以降の駅伝シーズンに向けて練習を積む選手だけでなく、青木のように中距離を主戦場とする選手も同じだという。特にこの冬は、従来なら1週間で約120km、1カ月間で400~500kmだったのが、最低でも週間150kmになり、月間では700km近くまで踏むようになった。「それでも駅伝の選手よりは100~200kmぐらい少ないんですけど」と青木。効果はてきめんで、スピードだけでなく持久力もついた実感がある。だから関東インカレまでレースが続いても、走りが崩れることはなかった。

駅伝選手に対して燃やすライバル心
連覇に対する重圧はあったと明かす。昨年は青山学院大の宇田川瞬矢(4年、東農大三)との勝負に競り勝ち、頂点をつかんだ。当時について「一応、挑戦するという気持ちもありつつ、『負けたくない』みたいな思いで臨んでいました」と振り返る。どうも含みのある言い方になるのは、宇田川も今年の小河原も「駅伝をやっている選手」という認識があるからだろう。宇田川は昨年、小河原は今年の箱根駅伝でアンカーを務め、東京・大手町で総合優勝のフィニッシュテープを切った姿は記憶に新しい。
「駅伝をやっている選手に負けるのは悔しいです。それと今年は周りからも『勝たなきゃいけない』と言われるので、自分の中での当たり前の基準が高くなりました」。連覇を果たしたことにホッとすると同時に、「来年は3連覇をめざす」とも明かしてくれた。「あと、1部には強い選手がいっぱいいますし、日本インカレなどの学生ナンバーワンを決める大会で優勝したいです」

駅伝選手に抱く強いライバル心が気になり、「青木選手もいずれ駅伝に挑戦する可能性があるのですか」と聞いてみた。すると、興味深い答えが返ってきた。例年なら9月開催の日本インカレが今年は6月に前倒しとなり、青木にとっては夏以降、1500mのことを気にせず、長い距離にアプローチできる状況が生まれる。「夏合宿からは5000mをベースに作っていって、まずは20kmという距離に自分は挑戦できる段階なのかを確認したいです。髙林監督からは『10000mも走れる選手にさせてあげたい』とは言われています」
まずは鍛錬期に距離を伸ばし、適性を見る。その上で駅伝は「4年になったら挑戦してみたいと思っています」。また一人、継続してウォッチしていきたい選手が増えた。
