「シャカカチ BOON BOON PROJECT」一期生集結! 熱意満載サミット

SMBCグループの三井住友銀行(SMBC)が取り組む大学スポーツ応援プロジェクト「シャカカチ BOON BOON PROJECT」の採択団体が一堂に会した対面イベント「サミット」が3月10日、東京都千代田区の三井住友銀行東館ライジング・スクエアSMBCホールで開催された。
大学スポーツで「人生に必要なことを学ぶ」
「シャカカチ BOON BOON PROJECT」は、SMBCグループが経営の柱の一つに据える「社会的価値の創造」の取り組みの一環。SMBCグループでは、社会課題を起点に本業に取り組むことを通じて、お客さまや社会の中長期的な成長に資する付加価値を提供することに、社員全員で取り組んでいる。“シャカカチ”とはこうした取り組みに共通するあいことば。
スポーツの持つ力と携わる人々の力を信じるSMBCグループはこれまでにも、ラグビー日本代表やプロ野球、プロダンスリーグ「D.LEAGUE」など各種スポーツへのサポートに力を入れてきた。そうした流れで今回焦点を当てたのが、大学スポーツだった。
大学スポーツでは、競技力向上のための努力のみならず、チームビルディングやデータ分析など、社会に出ても有益な経験ができる一方で、学業とスポーツとアルバイトの両立に苦労し、スポーツをあきらめてしまう大学生が多いという課題があった。そこで、大学スポーツを通じた成長の機会を応援しようと、プロジェクトを発足させた。
プロジェクトを通じて、三井住友銀行は日本全国の大学運動部に所属する学生たちに、総額1億円規模で資金支援する(団体・部活動単位)。アンバサダーやプロジェクトに賛同するパートナー企業とも連携して、「学業」と「スポーツ」を両立できる環境の整備や挑戦の機会拡大を目指す。
この日の「サミット」には2024年度に採択されたプロジェクトの “一期生”となる団体が参加。採択された団体には、原則100万円の活動費が4年間提供され、競技力の向上や部の運営強化に取り組んでいくという。

学生時代にラグビーに打ち込んだ経験を持つ三井住友フィナンシャルグループ中島達社長は、サミットの壇上で「ぜひ今の大学生のみなさんにも、スポーツを通じて人生を楽しむ、そして人生に必要なことを学んでいただければと思っております。SMBCグループとして金銭面の支援をさせていただくことで、競技人口が増え、日本のスポーツを盛り上げることができれば、という思いでプロジェクトを立ち上げました。学業とスポーツを両立して充実した学生生活を送ってほしいと思います」と呼びかけた。
車いす購入、農家合宿、競技アピール作戦 3団体が計画を発表
採択団体のうち3団体が活動のプレゼンテーションをして、プロジェクトに参加する仲間たちに刺激を与えた。中島社長のほか、この日会場で参加したアンバサダーの為末大さん、伊藤華英さん、廣瀬俊朗さんもコメントした。

最初に登壇したのは、大阪体育大学アダプテッド・スポーツ部。障がいや性別などの差異に関わらず、あらゆる人がスポーツを楽しむことを目指して活動している。主将の高村梨麗さん(3年)は、「大会で優勝することだけではなくて、様々な機会で得た知識やスキルを、パラスポーツを体験したことがない人に還元することも競技力と考えています」と話し、1台30万円以上という競技用車いすの購入などに資金をあてたいという。
男子400mハードルの日本記録保持者である為末さんは、アダプテッド・スポーツの普及啓発に興味を持ち、「どんな学びがありましたか?」と質問。高村さんの「障がいのある方々とスポーツをする時に、できないことを探すのではなく、どうやったらできるか考えるのが一番の学びかなと思っています」との答えに、大きくうなずいていた。
京都大学アメリカンフットボール部の代表として登場したのはマネジャーの勝部真衣さん(3年)と坂入美妃さん(1年)。部内では肩書やポジションに関係なく、組織全体でチームづくりを行っているという。プレゼンテーションでは、これまでにない発想で強豪私学に対抗すべく、選手たちのフィジカルとメンタルを同時に鍛えるための農家での強化合宿を発表。農業で、グラウンドでの練習では実践できない体の使い方をすることでフィジカルパフォーマンス向上につなげ、慣れない環境で新たな考え方に触れながらメンタル面も強化する計画を示した。地元農家と食材の融通を受けやすい関係をつくり、持続可能な取り組みにすることも副次的な効果として期待している。
元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬さんは、京大アメフト部が掲げる「学生日本一を達成し、それにふさわしい人間になること」という指標に、「ラグビーのオールブラックスというチームは、Better people make better All Blacksと言っています。良い人間が良いチームをつくっていくということ、と僕はとらえています。そういうのも、一つの目指し方なんじゃないかなと思いました」と違う視点を提供した。

関西外国語大学女子駅伝部の札場美桜主将(3年)は、新年恒例の男子駅伝などと比べて認知度が低く、大学での競技継続者が少ない女子駅伝全体の課題と、自団体強化の双方にアプローチするための資金計画を発表した。学校の枠を超えて競技自体の認知を向上させる施策を行い、競技の発展のために手を取り合っていくという。
競泳で厳しい勝負の世界で生きてきた伊藤さんは、ライバルとも助け合うという女子駅伝ランナーの志に、「これまでの部活動は縦社会で、手の内を明かしたくないという文化が今も多少は残っているかと思いますが、その壁を乗り越えて同じ思考を持って活動していくことは高く評価できます」と、称賛を送っていた。
学生の質問にアンバサダーが本音で回答
アンバサダーは3団体のプレゼンテーションの後、それぞれのブースで学生らと話し合いの時間を持った。廣瀬さんは車座になって互いの顔を見ながら、言葉のパスを交わした。「学生時代から将来のことを考えていたのですか」という学生からの質問には「当時はまだ、ラグビーはあまり広く知られていなかったので、その状況を変えたいとは思っていましたが、まずは試合に勝ちたいと考えていただけ。社会との接点が増えて考え方も広がったのは、社会人や日本代表になってから」と回答しつつ、さらに他の学生の意見や質問を引き出していた。

伊藤さんは、部員のやる気を引き出す難しさを感じている学生に、「モチベーションというのは、人によっていろいろ。やる気が全くないわけでなければ、伸ばせる可能性がある。お互いに会話して、何を考えていて、これからどうしていきたいのか、というのを聞いてあげること。そして一つ責任のある仕事を与えると、モチベーションが上がり、コミットメントが生まれます」と優しく語りかけていた。
プロジェクトに構想段階から関わってきた為末さんは、「自分たちはどうなりたいのか、そのために必要なことは何か、予算の制限があるからどうするか。皆さんの今回の計画の立て方が、企業の予算申請のバーチャル体験になるような構造にしていたんですよ」と、プロジェクトに隠された仕掛けを明かしていた。

会場には、採択団体をサポートするパートナー企業6社のブースも並んだ。学生たちはブースをまわりながら、商品や支援内容について熱心に聞いていた。その後の懇親会でも同じプロジェクトに参加する仲間同士、交流を深めた。

サミットに参加した、大阪大学漕艇(そうてい)部の細川芽衣さん(3年)は「実際に他団体の方と話すことで、それぞれ抱えている悩みや取り組んでいることを知ることができたので、私たちの活動にも活かしていきたいなと思いました」と新たな仲間と糧を得られた様子。明治大学体育会ヨット部の山谷碧空(そら)さん(1年)は、「どの団体も本気で結果を残したり社会に影響を与えたりしたいという思いが伝わってきて、すごく刺激になりました」と目を輝かせていた。
そんな学生たちの姿を見て、手応えを感じていたのが「シャカカチ BOON BOON PROJECT」の担当で、このキックオフイベントの仕掛け人である三井住友銀行 社会的価値創造推進部 推進グループ長の藤井俊成さんと、同グループの立石千尋さんだ。
藤井さんは「学生の発表を聞いて、私たちはこういう活動を応援したかったんだ、とあらためてうれしくなりました。このプロジェクトをやってよかったな、と。良い取り組みをしっかり支援していきます」と語れば、立石さんは「一期生でつながればもっとこういうことができるのでは、という学生からの提案もあり、私たちの想定以上の反響でした」と続けた。
このサミットでは「学生の成長を後押しする」というテーマを掲げていた。アンバサダーとの交流も、他の団体のプレゼンテーションを聞くことも、持続的な学生同士のつながり作りも、すべて「学生の成長のために」と構想を練ったものだった。滑り出しは成功した。これからの、各団体の活動から目が離せない。
※所属・学年は取材当時(2025年3月時点)。
シャカカチ BOON BOON PROJECT
