中大・溜池一太が男子1部5000mで日本人2位 アメリカ合宿の成果はこれから発揮

第104回 関東学生陸上競技対校選手権大会 男子1部5000m決勝
5月11日@相模原ギオンスタジアム(神奈川)
優勝 ヴィクター・キムタイ(城西大4年)13分31秒83
2位 鈴木琉胤(早稲田大1年)13分32秒34
3位 ジェームス・ムトゥク(山梨学院大4年)13分34秒88
4位 溜池一太(中央大4年)13分36秒93
5位 花岡寿哉(東海大4年)13分42秒49
6位 平島龍斗(日本体育大4年)13分46秒30
7位 大島史也(法政大4年)13分49秒24
8位 山口竣平(早稲田大2年)13分49秒72
5月11日の関東インカレ最終日にあった男子1部5000mで、中央大学の溜池一太(4年、洛南)が日本人2位に入った。箱根駅伝後は昨年に続いてアメリカで鍛錬を積んだ。レースの2週間後に控える全日本大学駅伝の関東地区選考会にも出走する意向で「圧倒的な1位通過」を狙う。
鈴木琉胤をマークし、全体4位でゴール
レースには22人が出場。前年のこの種目で優勝した城西大学のヴィクター・キムタイ(4年)や前年日本人トップの東海大学・兵藤ジュダ(4年、東海大静岡翔洋)、10000mで27分台の自己ベストを持つ城西大の斎藤将也(4年、敦賀気比)、早稲田大学の山口智規(4年、学法石川)、注目ルーキーの早稲田大・鈴木琉胤(1年、八千代松陰)といった各校自慢のスピードランナーが集まった。溜池ももちろん、その一人だった。
号砲が鳴ると、スタートラインで隣同士だった溜池と鈴木が前へ。1000mの手前で山梨学院大学のジェームス・ムトゥク(4年)が先頭に立ち、2分43秒で入った。ペースが上がり、次の1000mを2分40秒で通過したとき、縦長となった先頭集団は9人。3000m通過時点では7人に絞られた。3500m過ぎにキムタイが集団を抜け出し、ペースアップ。ムトゥクがついていくと、それまでずっと鈴木の背後にピタリとつけていた溜池も、鈴木の前に出た。

「日本人トップは鈴木君だろうなと思っていたので、マークしていました。想定より余裕があったので、キムタイ選手が出たタイミングで自分も勝負しようと思ったんですが……」と溜池。残り2周を切ったところで、鈴木が2人の留学生選手を追うためにスピードを上げると、溜池はついていけず、そのまま全体4位でのゴールとなった。
「本当は優勝したかったんですけど、直前に体調不良があって苦しかったです。本当だったら自分がはじめから引っ張りたかった。鈴木君についていって競り負けたので、ここからしっかり練習しないといけないと思います」

「自分がエース」と言える余裕はなくなっている
年始の第101回箱根駅伝でチームが総合5位に入ってシード権を獲得した後、溜池は昨年に続いてアメリカへ武者修行に行った。プーマエリートランニングチームの合宿に参加し、途中から後輩の岡田開成(2年、洛南)も合流。レースにも出た。
昨年のパリ・オリンピック男子10000mで12位(26分58秒11)だったニコラスマクファーソン・ヤング(アメリカ)とトラックで一緒に走り、2月にボストンで開催されたショートトラックでの室内競技会5000mにも出走。その際は、パリ大会の10000mと5000mの銅メダリスト、グラント・フィッシャー(アメリカ)がたたき出したショートトラックの世界記録(12分44秒09)を目の当たりにした。
「2人とも去年よりまた強くなっていました。最後まで競り合うイメージは、まだできないというか、ちょっと遠い」。世界と比べた際の自分の立ち位置を知るとともに、「そういう視点で世界のトップ選手を見られるようになったのは、去年までと違う」と一定の手応えも感じられる合宿となった。

その期間、チームメートたちはめきめきと力をつけていった。2月の日本学生ハーフマラソン選手権(丸亀)で吉中祐太(4年、豊浦)が1時間00分45秒をマークし、中大記録を更新。吉中はトラックシーズンが幕を開けてからも好調で、5月4日のゴールデンゲームズ in のべおか男子5000mで、13分31秒73の自己ベスト。同じ大会では年始の箱根駅伝3区区間賞の本間颯(3年、埼玉栄)も自己ベストを更新した。
さらに4月29日の織田記念男子5000mでは、主将の吉居駿恭(4年、仙台育英)が13分26秒31で優勝。アメリカからの帰国後もレースに出て、関東インカレの前は疲労も残っていたという溜池は、改めて仲間にも「負けたくない」という気持ちを新たにした。「自分と駿恭(の二枚看板)というよりは、中間層と呼ばれるところがすごく成長しています。『自分がエースだ』と言える余裕はなくなってきています」

「これが青学の選手が見ている景色なんだ」
関東インカレでの溜池は、まだ本来の姿ではない。「今の状態が100%とは思っていないですし、冬の練習の感じからは確実に(13分)20秒を切ってこられるところまで来ている。アメリカでスピード練習をやってきたので、5000mや10000mにつなげていければと思います」
5月24日に予定される全日本大学駅伝関東地区選考会も走る意向で「今までじゃ考えられないような記録、8人全員が(10000mで)28分30秒を切っていきたいなと思います。力の差を示していきたい」と意気込みを語った。箱根駅伝2区で先頭を走ったときは、「これが青学の選手が見ている景色なんだ」と心地よさも感じた。あの光景を再びめざして、ラストイヤーもトラックのみならず、駅伝でもチームを引っ張る覚悟だ。

