西村菜那子が振り返る関東インカレ 駅伝シーズンへとつながる注目ポイントを紹介!

みなさんこんにちは! 第104回関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)が5月8~11日に開催されました。今年のお正月が第101回だった箱根駅伝よりも歴史のある大会で、大学生アスリートたちが熱戦を繰り広げました。
私も現地観戦を望んでいましたが、出演する舞台の日程と重なってしまいました。来年こそ、かなったらうれしいです! というわけで、選手たちの活躍を振り返っていきましょう。
ルーキーとは思えないレース運びだった鈴木琉胤選手
駅伝ファンとして、まず注目をしていたのは男子1部5000mでした。〝最強ルーキー〟早稲田大学の鈴木琉胤選手(1年、八千代松陰)が力強い走りを披露しました。
ラスト1000mあたりでは、先頭を引っ張っていた城西大学のヴィクター・キムタイ選手(4年)と山梨学院大学のジェームス・ムトゥク選手(4年、ケニア)に優勝争いが絞られたと思いました。しかしそこから、鈴木選手が中央大学・溜池一太選手(4年、洛南)との3位争いを飛び出し、2人の留学生についていきました。

3人による熱戦が繰り広げられ、最後の直線でギアを上げたキムタイ選手が逃げ切って優勝。そのキムタイ選手に、1秒にも満たない僅差(きんさ)で鈴木選手が2位に入りました。先頭から離されても冷静に自分のペースを刻み、ルーキーとは思えないようなレース運び。トラックシーズンから期待に応えているだけに、ケガや不調が少ない4年間を過ごしてほしいと思っています。
高校時代の無念を晴らす花岡寿哉選手に期待!
私が注目しているランナーの一人、東海大学の花岡寿哉選手(4年、上田西)もこのレースを走り、5位入賞を果たしました。2、3年時は男子1部10000mに出場し、今大会で3年連続の入賞。ラストイヤーはチームのキャプテンを務め、その存在感は増すばかりです。
私が花岡選手に期待を寄せているのは、大学ラストイヤーで悔いのないレースをしてほしいと切に願っているからです。私の出身でもある長野県で生まれ育った花岡選手は高校3年の夏、インターハイの直前で悔しい思いをされました。
当時は新型コロナウイルスの感染が広まっていた影響で、インターハイの前日に高校が休校を決断。そのため学校側からインターハイ不参加を言い渡された花岡選手も、大会への欠場を余儀なくされたのです。都大路への出場はできなかったものの、1500mや5000mで全国トップクラスのタイムを持つ花岡選手にとっては、やるせない思いが強かったに違いありません。

あれから4年。花岡選手も大学ラストイヤーを迎えました。
関東インカレが終わり、全日本大学駅伝の関東地区選考会と夏合宿を乗り越えると、いよいよ駅伝シーズンが幕を開けます。当時の無念を晴らす花岡選手の姿に注目したいです。
安島莉玖選手は昨年度の悔しさをバネに
もう一人、強く印象に残った選手がいます。男子2部10000mで日本人トップとなった青山学院大学の安島莉玖選手(2年、大垣日大)選手です。
先頭集団を形成する留学生のスピードについていけず、次々と選手が出遅れていった中、唯一最後まで対応していきました。タイムは28分19秒81。従来の自己ベストを大幅に更新する圧巻の走りとなりました。

昨シーズンは学生3大駅伝出場の出場がなかったものの、11月の世田谷246ハーフマラソンで優勝を果たしました。このとき、レース直後の安島選手にインタビューさせていただいたのですが、その際は「箱根駅伝で8区を走ってみたい」とお話しされていました。「最初に見た箱根駅伝が青山学院4連覇のときで、8区を走った下田裕太さんが優勝を決定づける走りをしていたので印象に残っています。自分も下田さんのような走りがしたいです」と答えていたことが、とても印象に残っています。
3月に行われた大阪・関西万博開催記念ACN エキスポ駅伝でも4区区間14位と悔しい思いをした安島選手ですが、今回の関東インカレを通して、その強さが増してきていると感じました。今年の3大駅伝は、昨年度の悔しさをバネに飛躍した安島選手の走りに期待しています!
トラックシーズンは、まだまだレースが続き、私も注目しています。みなさんも一緒にトラックシーズンを楽しんでいきましょう!

