陸上・駅伝

特集:第57回全日本大学駅伝

全員持ちタイム28分台以下の中大など、注目点を紹介 全日本大学駅伝関東地区選考会

中央大の主将吉居駿恭(左、撮影・松崎敏朗)と復活が待たれる東京農大の前田和摩(右、撮影・北川直樹)

第57回全日本大学駅伝(11月2日、熱田神宮~伊勢神宮)出場をかけた関東地区選考会が5月24日、レモンガススタジアム平塚(神奈川)で開催される。年始の箱根駅伝でシード権を獲得したチームも3校が出場。今年も上位7校に与えられる伊勢路本戦への切符は熾烈(しれつ)なものとなりそうだ。

全日本大学駅伝の関東地区選考会に出場する20校が決定 持ちタイムトップは中央大学

「8人全員が28分30秒を切っていきたい」

前回大会では初優勝を飾った國學院大學をはじめ、駒澤大学、青山学院大学、創価大学、早稲田大学、城西大学、立教大学、帝京大学の8校がシード権を獲得した。その約2カ月後に行われた第101回箱根駅伝でシードを獲得した中央大学、東京国際大学、東洋大学が、今年の全日本に関しては地区選考会からの参加となり、激戦になりそうだ。

関東地区選考会に出場する20校のうち、10000mの持ちタイム上位8人の合計が最も早かったのは中央大学だった。一次エントリーされた13人には、箱根駅伝1区で独走してチームに大きな流れを持ってきた今季主将の吉居駿恭(4年、仙台育英)や2区の溜池一太(4年、洛南)、3区区間賞の本間颯(3年、埼玉栄)といった主力選手たちがずらりと並ぶ。10000mのタイムを持つ11人が全員28分台以下で、上記3選手は27分台。11人の平均を算出したところ、28分18秒99だった。

5月11日にあった関東インカレ男子1部5000mのレース後、4位に入った溜池は関東地区選考会に向けて「(当日出走する)8人全員が28分30秒を切っていきたい」と強気な発言も出ていた。「普通だったら29分ぐらいで走れば、悪いタイムとは言われないと思います。でも『今年の中央は強いんだ』というところをトラックシーズンから見せていければと思います」

関東インカレ男子1部5000mで4位だった中央大の溜池一太(撮影・井上翔太)

関東地区選考会は10000mのレースを4組行い、各組に各校2選手ずつが出場。計8選手の合計タイムで争われる。1人のミスも許されないレースで、中大が宣言通りに他校との駆け引き関係なしに、自分たちの走りを貫くか。注目ポイントの一つだ。

中大・溜池一太が男子1部5000mで日本人2位 アメリカ合宿の成果はこれから発揮

箱根駅伝の勝負強さ、粘り強さをここでも

箱根でシードを獲得した東京国際大学は持ちタイムが10番目、東洋大学は11番目だった。箱根では帝京大や順天堂大学などと最後の最後までシード権を争った姿が記憶に新しい。東京国際大は箱根9区3位の菅野裕二郎(4年、学法石川)が新チームで主将となり、アンカーを務めた大村良紀(4年、浜松商業)も残っている。あのときの勝負強さを関東地区選考会でも発揮したい。

勝負強さという点では東洋大も引けを取らない。箱根では石田洸介(現・SUBARU)や梅崎蓮(現・大塚製薬)といった4年生の主力を欠きながら、3年生以下を中心に粘り強い走りで20年連続となるシード権を獲得した。主将の網本佳悟(4年、松浦)、緒方澪那斗(4年、市立船橋)、西村真周(4年、自由ケ丘)ら28分台のタイムを持つ最上級生に、4月の学生個人選手権男子5000mを制した松井海斗(2年、埼玉栄)が実力通りの走りを見せて加われば、18大会連続の伊勢路も見えてくる。

箱根駅伝で激しいシード権争いを制した東京国際大の大村良紀(撮影・藤井みさ)

注目の前田和摩、雪辱を期す清水郁杜

一次エントリーの全体を見渡した際、注目ランナーとして挙げられるのが東京農業大学の前田和摩(3年、報徳学園)だ。10000mの持ちタイム27分21秒52は、日本人選手の中でトップ。ルーキーだった2年前、チームは3組終了時点で暫定12位。本戦に進める7位までとは46秒差あったところ、最終4組に並木寧音(現・SUBARU)とともに出走。残り1周直前のホームストレートで留学生選手の前に出る快走で、14大会ぶりの伊勢路をつかみ取った。昨年はエントリーされていなかっただけに、今年はどうか。

昨年の雪辱を期すという意味では、法政大学の清水郁杜(4年、米子松蔭)の走りも注目される。前回の選考会では3組を任されたが、序盤に転倒。「そこから焦って、汗が大量に出てしまって、熱中症を引き起こしたんじゃないかと思います」と悔しい途中棄権となった。以降は、たとえ転倒してしまっても、落ち着いてレースを立て直せるようになったという。関東インカレでは1部10000mで6位入賞。「去年は情けない走りをしてしまったので、今年こそチームに貢献して勝ち抜いていきたい」

法政大の清水郁杜(8番)は前年の悔しさを晴らせるか(撮影・藤井みさ)

大志田秀次氏は明治大学で最初の伊勢路挑戦

このほか東京国際大を強豪に育てた功労者で、今年4月1日からは明治大学で指導にあたっている大志田秀次監督にとっては、新天地で最初の伊勢路挑戦となる。

〝日本一〟を決める全日本大学駅伝は、関東地区選考会から話題が豊富だ。レースは1組のスタートが午後6時、各校のエース級が集まる4組は午後8時にスタートする。

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