ラグビー

世代別代表に父が元日本代表、医学生―― 関東大学対抗戦に注目ルーキーが続々入部 

2年連続で高校日本代表に選ばれたアントニオ・フィシプナは帝京大でもすでに公式戦デビュー(すべて撮影・斉藤健仁)

ラグビーの関東春季大会が本格的に始まり、関西春季トーナメントも幕を開けた。そこで今季も関東大学ラグビー対抗戦Aグループ、関東大学ラグビーリーグ戦1部、関西大学ラグビーAリーグの主要3リーグの各チームに入ったルーキーを紹介したい。まずは昨季も全国大学選手権決勝に2チームが進み、今季も上位5チームが出場できる対抗戦から見ていきたい。

帝京大学には世代別代表経験者や元日本代表を父に持つ有望株

昨季は対抗戦こそ2位だったが、全国大学選手権では無類の強さを発揮し、2度目の4連覇を達成した帝京大学。相馬朋和監督体制4シーズン目も、「花園」こと全国高校大会や高校日本代表で活躍した有望選手たちが加入した。

FWから見ていくと唯一、2年連続高校日本代表に選ばれたLOアントニオ・フィシプナ(青森山田、旧アホ・アントニオ)が春季大会の初戦でいきなり先発デビューを果たした。

他にもFW第1列はU19代表で活躍したPR/NO8染谷昌宏(成城学園)、長崎北陽台のFWの中核だったU17代表PR田﨑凛太郎、PRの髙瀬蒼太、永井豪(ともに京都成章)、有賀啓悟(尾道)、長船銀次(御所実業)。さらにHOも昨季の高校ラグビーを引っ張った石見智翠館のキャプテン祝原久温、高校日本代表の高山成王(高鍋)、U17代表の三浦颯太(秋田工業)、松﨑颯汰(小倉)と豪華だ。

石見智翠館のキャプテン祝原は帝京大で本格的にHOに転向

LOはフィジー代表の兄を持つイリエサ・ヘニビトゥ(大分東明、旧セニビツ・イリエサ)、井上和輝(福岡工大城東)、小池颯太(東海大相模)、服部凰真(御所実業)、身長194cmの小菅隼輝(鷲宮)が加入した。

バックローではFLの熊倉雄大(北越)、鈴木然(静岡聖光学院)、李英基(東京朝鮮)。NO8は大阪桐蔭の中軸だった大門一心、藤久保陸(東海大相模)、原黄宗徹(甲南)が入部した。

ハーフ団をみるとSHに金壮道(東京朝鮮)、西原心(京都成章)、兄のHO孝成も3年に在籍している松隈孝信(山梨学院)の3人が入った。SOは大阪桐蔭の絶対的司令塔だった上田倭楓、花園準優勝の東海大大阪仰星を引っ張った吉田琉生、高校日本代表を経験し、CTBも務める大久保幸汰(御所実業)、姜圭悟(東京朝鮮)の4人が新加入。

CTBは茗溪学園の中軸だったU17代表の山口海晴、竹之下誠仁(大阪桐蔭)、田中聖大(京都成章)。バックスリーはWTBに大分東明のエースランナー下川悠輝、川村健介(仙台育英)、中山拓哉(流通経済大柏)、FBも務める仲西祐太(成城学園)。FBは三好倫太郎(東福岡)、日本代表の父を持つ高校代表FBタウファテビタ悦幸(報徳学園)が名を連ねた。

春季大会2戦目では、LOフィシプナだけでなく、HO三浦、FBとして吉田が先発した。伝統的に有望な新人を早めに試合を経験させて、将来の中心選手へと育てる文化を持つ帝京大。今季もきら星のごとくポテンシャルの高い選手が加入し、多くの新人が紅いジャージーを着てデビューを飾ることになりそうだ。

早稲田大学にも将来の柱と期待される逸材が続々

昨季、対抗戦こそ全勝優勝したが、大学選手権決勝で敗れてしまった早稲田大。27人がアカクロジャージーを目指して入部した。

まず新人選手の柱となりそうなのが、体重127kgの巨漢PR平山風希(大分東明)、高校時代はPRだったHO石原遼(桐蔭学園)、SH川端隆馬(大阪桐蔭)の高校日本代表の3人だ。

他にも代表経験のある選手は大阪桐蔭のキャプテンだったハードタックラーCTB名取凛之輔、花園準優勝の東海大大阪仰星のキャプテンFL駒井良(東海大大阪仰星)。FB小野晏瑚(徳島県立城東)はU17代表経験があり、早稲田実業の中軸だったCTB山口滉太郎は昨年12月にU19代表として活躍した。

早稲田大の平山と山口(左から)

ポジション別にみるとFWに花園優勝の桐蔭学園のPR谷本幹太や阿部翔汰(本郷)、HOの野村怜央(報徳学園)、矢澤翼(東海大相模)。LOは身長191cmの宮川侑大(砺波)や山口修明(修猷館)、岩尾隼悟(湘南)が加入した。

BKでは桐蔭学園からCTB松本桂太、佐藤世那。SHは中川空河(修猷館)や日向寺堪大(磐城)が入った。司令塔のSOには荒木鷲摩(函館ラ・サール)、齊藤慧士郎(仙台三)、古瀬莊(静岡聖光学院)、WTBは若林海翔(東海大大阪仰星)が加わった。

高大連携として強化している早稲田大には山口以外にも早稲田実業からFL髙橋玄、NO8佐藤一道、早大学院からFL小林商太郎、FB國田泰裕、早稲田佐賀からFB肥後直希が入部した。

春の「早慶戦」でPR平山が先発したように、高校代表やユース代表経験選手は1年からメンバー争いして、アカクロデビューを飾る選手が出てくるはずだ。

明治大学には高校日本代表経験者が7人入部

今季こそ「完遂」を掲げて王座奪還を狙う、紫紺のジャージーで名高い対抗戦の強豪の一つ明治大学には20人の新人が加入した。

目玉は高校代表経験者7人だ。

佐々木大斗(常翔学園)、原悠翔(大阪桐蔭)と世代トップのPR2人が入った。常翔学園のキャプテンとして花園ベスト4に貢献したNO8井本章介は大学ではHOにも挑戦する。春はU20代表も経験したLO百武聖仁、桐蔭学園の2連覇に大きく貢献したSH後藤快斗とU20代表のFB古賀龍人、SH岩田大司(佐賀工業)と、そうそうたる顔ぶれだ。

他にもFWはPR和田翔太(茗溪学園)、大学からPRに転向した伊藤優悟(昌平)、父が日本代表のHO笠井大志(國學院久我山)とLO熊谷鼓太郎(東福岡)、FL糸山結太(筑紫)、兄のWTB丈道(3年)も在籍する瓜生丈仁(小倉)、安田快史(関大北陽)、工藤大知(明大中野)が加入した。

BKも花園ベスト4に入った國學院栃木の中心だったSO神尾樹凛、WTB永沢拓夢、東海大相模の司令塔だったSO長濱堅、CTB井手晴太(成城学園)、CTB森洸志郎(福岡)が新入部員に名を連ねる。

すでに関東大学セブンズで古賀と永沢、瓜生が紫紺デビューを飾っている。新1年生たちが、優勝を狙うチームの競争力を大いに上げてくれるはずだ。

すでに紫紺のジャージーを着てプレーした瓜生、永沢、古賀(左から)

慶應義塾大学には桐蔭学園の中心3選手

昨季は対抗戦4位、大学選手権はベスト8と常に上位にいるものの、なかなか準決勝、決勝に進むことができていない慶應義塾大学。ただ、今季は例年以上に有望なルーキーたちが入部し、黄黒軍団の大きな力となるはずだ。

今季は高校日本代表経験者5人も入部した。

花園連覇を達成した桐蔭学園からキャプテンのFL/NO8申驥世、LO/FL/No8西野誠一朗、夏のセブンズのMVPにも輝いたWTB草薙拓海の3人、U19代表を経て高校代表にも選ばれた司令塔SO/CTB/WTB小林祐貴、CTB/WTB安西良太郎(ともに慶應)はチームの中心となっていくはずだ。

高大連携で強化しているチームにおいて、慶應義塾出身の選手が多数入った。PR/HO玉塚雄大、PR/HO野口丈樹、PR/FL/NO8大岡慶大、HO/FL/NO8遠藤太陽、LO髙橋優太朗、LO/FL茅万希司、LO/FL本田李成、FL小和野晃史、SH/WTB尾関航輔、SO/CTB吉田賢太郎、WTB/FB金谷悠世、慶應志木からPR/HO山北響己、HO/FL安藤佑真、慶應湘南藤沢出身のSH/WTB長山晃久が大学でもラグビーを続ける。

他にもPR山際啓太郎(桐蔭学園)、LO山﨑太雅(浦和)、LO/FL/NO8岡田海世(清真学園)、FL湯口竜迅(鎌倉学園)、FL/NO8小川和真(茗溪学園)、SH山上賢洋(桐蔭学園)、SO/CTB/WTB横山卓哉(報徳学園)、SO/CTB/FB加藤竜朗(國學院久我山)、CTB竹ノ内惟真(國學院栃木)、CTB/WTB宍戸孝行(國學院久我山)、WTB西機大河(流通経済大柏)、WTB/FB馬場悠斗(豊多摩)も入部した。

春季大会で、すでに申、安西、草薙がといった高校代表組がデビューする中、一般受験を経て入部した身長189cmの長身LO山﨑は先発出場を果たした。今季、「日本一」をスローガンに掲げる慶應大にとって、新人がチームの大きな力になることは間違いない。

桐蔭学園の高校代表、安西、申、草薙(左から)の3人は慶應義塾大に

青山学院大学と筑波大学は少数精鋭 筑波には医学生も 

昨季、OBの糊谷浩孝ヘッドコーチが就任し対抗戦で5位に入り、30年ぶり3度目の大学選手権出場を果たした青山学院大学。今季は少数精鋭の13人が加入した。

FWから見ていくと高校代表経験者はPR土屋裕資(國學院久我山)が入部し、PR池内継一郎(天理)、HO/FL/NO8日野湧太(桐蔭学園中等教育)、長崎北陽台のキャプテンだったLO/FL下田秩、LO/FL/NO8松島蒼生(流通経済大柏)、FL児島瑠可(青山学院)、FL/ NO8水沢洋太(國學院久我山)が加入した。

BKは成城学園の中軸だったSH黒尾洸太、SO/FB松井成悟、石見智翠館のCTB/WTB/FB近藤漣汰とWTB久富洋希、CTB/WTB佐藤涼太(流通経済大柏)、WTB/FB髙橋汀(青山学院)が入部した。

新人の力を借りながら、青山学院大は2年連続、大学選手権に出場し、今季こそ白星を挙げたい。

青山学院大の注目ルーキーの一人、長崎北陽台でキャプテンを務めた下田

昨季は対抗戦で6位となり、大学選手権出場を逃してしまった「国立の雄」筑波大学。今季は14人がツクバブルーの門をたたいた。

高校代表組からは花園連覇の桐蔭学園のFL/NO8新里堅志、野口健(流通経済大柏)、CTB深田衣咲(東福岡)、WTB内田慎之甫(佐賀工業)の4人が入部し、野口、深田はすでに春季大会に出場している。

他にもFWはPR/HO/NO8佐野涼太(山梨学院)、LO伊藤柊之介(小山台)、LO/NO8春日井青(成蹊)、FL岩村太翔(近大附)の3人が、BKはSH/WTB島川翼(並木中等教育)、SO/FB川島元希(青山)、國學院久我山の中心だったSO/CTB齋藤航、医学を学ぶCTB志賀祐平(修猷館)、CTB/WTB/FB冨澤凛太朗(法政二)、WTB/FB石﨑悠生(桐蔭学園)が入部している。

チームとしてもともと少数精鋭の筑波大。新1年生の力も借りながら、チーム一丸となって今季はまずはしっかり大学選手権出場を果たして、上位に進出を狙う。

すでに春季大会に出場している筑波大の野口と深田(左から)

旋風目指す立教大学、日本体育大学にも楽しみな新人

昨季、惜しくも大学選手権出場を逃した対抗戦7位の立教大。14人の新人が入部し、うち2人は立教新座出身のHO稲田光胤、FL野口智一だ。

他にもFWはPR相馬朝日(東農大二)、PR/HO野口瑠人(茗溪学園)、前田泰輔(熊谷)、PR/LO間中雄生(川口北)、LO市川匠(桐蔭学園)、東福岡のキャプテンを務めていたFL/NO8古田学央の6人が加わった。

BKは日本航空石川の中軸、SO小嶋眞心(日本航空石川)、SO/CTB鈴木大治郎(流通経済大柏)、SO/FB高木悠生(仙台育英)、花園準優勝の東海大大阪仰星のSO/CTB/FB向井悠統、CTB/WTB/FB阿部壮(延岡)、WTB/FB米村艶(國學院久我山)が入った。今季こそ、大学選手権出場を果たしたい。

東福岡のキャプテンを務めた古田は立教大でも活躍を目指す

昨季も入替戦に回ってしまい、成蹊大学に勝利して残留した日本体育大学。今季は33人の選手が新たに入部した。

FWから見ていくとPR吉村光平(日体大柏)、今井空(本庄第一)、真鍋二郎(佐賀工業)、PR/LO桑原寛汰(桐蔭学園)、HO杉上大和(東海大福岡)、永野広輝(清真学園)、佐藤海音(高知中央)、園田拓也(長崎北陽台)、綿貫慶貴(函館ラ・サール)、LO権藤速大(東京)、大塚北翔(伊勢崎)、小野瑛心(平工業)、FL小川健輔(桐蔭学園)、太田瑛心(東福岡)、加藤成悟(國學院栃木)、下林蒼(九州学院)、西田櫂(桐蔭学園)、山口陽太郎(東京)、NO8土井天満(玖珠美山)と強豪校を中心に19人が入部した。

BKもSH白鳥蓮(昌平)、池上藍士(東海大相模)、武田琉聖(山梨学院)、井上旬(大分舞鶴)、西田海里(日体大柏)、SH/WTB中島弘登(佐賀工業)。SO分藤太一(大分雄城台)、CTB中野煌己(日体大荏原)、石井航星(駒込)、木村航(京都工学院)、加藤健人(日体大柏)、WTB/CTB溝上秀斗(佐賀工業)、角田正道(深谷)、FB鈴木大悟(湘南工科大付)が新たに加わった。

日体大は有望な新人の力も借りつつ、今季こそ入れ替え戦ではなく、5位以内に入って大学選手権出場を勝ち取りたい。

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