陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

駒大・大八木弘明総監督のトークイベントでMC!佐藤圭汰選手は、最終的にマラソン?

5月24日に行われた大八木弘明総監督のトークイベント。M高史はMCを務めさせていただきました(提供・Ggoat)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は5月24日に開催されました駒澤大学陸上競技部・大八木弘明総監督のトークイベント(ファイテン株式会社主催)のお話です。私、M高史はMCを務めさせていただきました。

Ggoatのメンバーが出場したアジア選手権

トークイベントには、たくさんの陸上ファンの皆様がご来場されました。冒頭では、M高史と大八木総監督の関係性についてお話しさせていただきました。

僕は駒澤大時代、1年の冬にマネージャーへ転向し、3、4年の時は主務を務めました。常に監督の隣で勉強させていただき、当時はまさか恩師のイベントでMCをする日が来るとは夢にも思いませんでした。感謝と恩返しの気持ちでいっぱいです。

トークイベントでは、韓国でのアジア選手権や9月に開催される東京世界陸上の話題になりました。

アジア選手権には大八木総監督が指導されているGgoatのメンバーから鈴木芽吹選手(現・トヨタ自動車)と駒澤大学の佐藤圭汰選手(4年、洛南)、落合晃選手(1年、滋賀学園)が出場。鈴木芽吹選手が10000mで銀メダル、佐藤圭汰選手が5000mで4位、落合晃選手が800mで5位に入りました。

静岡国際の男子800mで優勝した落合晃選手(撮影・友永翔大)

特に800mの日本記録保持者である落合選手への指導に関しては、ご来場いただいた皆様も注目されている雰囲気でした。大八木総監督はこれまでの経験に基づく指導だけでなく、中距離に関する勉強もされているそうです。「スプリント系の指導者から勉強したり、海外の選手や指導者から教えてもらったり。そこに持久的なものを組み合わせています」

個人的には、佐藤圭汰選手についてのお話が特に印象に残りました。「圭汰は最終的にマラソンまで行くと思います。圭汰がマラソンをやったら結構走れると思います」という大八木総監督の言葉には、会場も沸きました!

室内5000mの日本記録保持者であり、トラックで世界に挑戦している佐藤圭汰選手ですが、確かに駅伝でも圧倒的な走りで力を発揮されている姿を見ると、スピードを生かしてマラソンにチャレンジする佐藤圭汰選手も、単純にファン目線から見てみたいですね!

箱根駅伝の復路小田原中継所で襷を受けた佐藤圭汰選手(右、撮影・吉田耕一郎)

多くの教え子たちも指導者として活躍中!

駒澤大学では当初、駅伝で勝つことを目標に、第78回箱根駅伝から4連覇を果たされました。その後、宇賀地強さん(現・コニカミノルタ陸上競技部監督)、髙林祐介さん(現・立教大学陸上競技部男子駅伝監督)、深津卓也さん(現・旭化成陸上部コーチ)の5000m13分台トリオが2006年度に入学されてきた頃から、よりトラックのスピードを意識されて指導されてきたそうです。

2006年は、M高史が主務として4年生でしたので、ちょうどその変化を肌で感じる貴重なタイミングでした。たとえばポイント練習の設定タイムが上がったり、クロスカントリーの練習を以前よりも多く採り入れたりするようになっていきました。

その頃からさらに20年近くが経っていますので、大八木総監督は土台の部分を大事にされながらも、シューズやスパイクの進化とともに、さらに指導をアップデートされています。

1年生の時の髙林祐介さん(右)に声をかける大八木監督。その隣にいるのが学生時代のM高史です

13分台トリオで入学してきた3人も、すでに指導者としての道を歩んでいます。「教え子が指導者として活躍している姿」というテーマで、大八木総監督はとてもうれしそうにお話しされました。

現在大学で監督をされているのは、駒澤大学の藤田敦史監督、國學院大學の前田康弘監督、立教大学の髙林祐介監督、東海地区には岐阜協立大学の揖斐祐治監督もいらっしゃいます。個人的にうれしかったのが、僕の同級生で監督をしている九電工・髙井和治監督、第一生命グループ・早瀬浩二監督、拓殖大学・治郎丸健一監督の話題も出していただいたことです。

イベント中は「お前たちの時は厳しかったよな!(笑)」とねぎらってくださいました。確かに学生時代は、熱く、厳しい指導をいただき、とてもキツかったです。本当にご心配やご迷惑をおかけしたなと、今でも思っています。ですが、あの時に経験、勉強させていただいたことは社会人となった今でもすごく生きていて、感謝の気持ちしかありません。

教え子の話をする時、自然と笑顔になる大八木総監督。愛情が伝わってきますね

変わらず大切にされている「現場」主義

大八木総監督は最近、選手とのコミュニケーションを重視されています。その中で、変わらずに大切にされているのが「とにかく現場が大事」ということです。

たとえば強度の高い練習の日は、過去の練習データも参考にされますが、データはデータにすぎません。当日の気温、湿度、風、選手の余裕度などをその場で見極め、設定タイムや距離、本数などを微調整されています。職人のようで、指導者にとっては腕の見せどころです。

トークイベントにご来場された皆さんは、自分ごとに置き換えて聞いていらっしゃったと思います。うなずいたり、メモを取ったりしながら、真剣に聞いておられました。

今も変わらず「現場主義」を大切にされています

毎朝のランニングとサウナが、パワーの源

後半には大八木総監督に向けた質問コーナーもありました。

体調管理や健康法に関する質問では、毎朝のランニングで心身を鍛え、ファイテンの器具を使ってケアもされているそうです。

また「イライラした時はどうされていますか?」という質問には「サウナに行きます」とのご回答。これには会場が笑い声に包まれました。選手とのコミュニケーションについて、1人サウナにこもり、伝え方や言葉をかけるタイミングなどを熟考されているそうです。選手は一人ひとり性格も違うので、それぞれ変わってきます。

アスリートには「心技体」という言葉があります。これは大八木総監督にも当てはまり、指導者としての情熱、本気、熱量という「心」、経験豊富な指導力という「技」、そして圧倒的な体力という「体」の三つを兼ねそろえていると改めて感じました。

イベント中は落合選手について、指導者人生で「最後の宝」とおっしゃった大八木総監督。すかさずM高史が「OBみんなでいつも話していますが、大八木総監督は生涯、現場にいらっしゃると思います!」とお伝えすると、ニコッと笑っておられました。

大八木総監督はトークイベントの翌日、アジア選手権のため韓国へ。ものすごい情熱と体力です!

アジア選手権から帰国された後も、変わらずお忙しい毎日だと思います。どうか体だけは大事にしていただき、これからも熱い指導で、たくさんの素晴らしい選手を育てていってください!

M高史の陸上まるかじり

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