バスケ

白鷗大・ロイ優太郎「自分はチームに影響を与える選手」、新人戦で見せた精神面の成長

新人戦でチームの柱として突出した活躍を見せた白鷗大のロイ優太郎(すべて撮影・青木美帆)

新人戦は文字通り、大学1、2年目の「新人」による大会だ。ここで完成したバスケットボールを見られるとは思っていない。結果よりも、彼らの今後のバスケットボールキャリアに続いていく何かしらの片鱗(へんりん)を見つけることにフォーカスして、取材している。

白鷗大学のロイ優太郎(2年、習志野)は、ハイチ人の父を持つ身長192cmのフォワード。今シーズンはここまで、インサイドでプレーすることが多いが、ボールハンドリングやステップワークなどアウトサイドのスキルに優れ、アジリティーも高い。中学生まではガードで、身長が伸びた高校時代にインサイドプレーヤーになったと聞き、なるほどと思った。本人いわく身長はまだ伸びているという。

中学まではガード、高校からインサイドプレーヤーになった

網野友雄HC「自信がつき始めている時期」

昨シーズンはほとんど試合に出ていないが、4月末~5月の関東大学選手権(スプリングトーナメント)ではシックスマンとしてコンスタントに出場時間を獲得。リバウンドなどでチームを支えるバイプレーヤーとして存在感を発揮し、この新人戦では主役の一人に躍り出た。

準決勝の筑波大学戦では、オフェンスでポテンシャルの高さをいかんなく発揮し、18得点11リバウンドの活躍で勝利に貢献。一進一退の攻防を繰り広げていた第4クオーターには、ディフェンスリバウンドから弾丸のようなドリブルで駆け上がり、スチールを狙ったディフェンスをトップスピードのスピンでかわして、バスケットカウントを獲得する圧巻のプレーを披露した。

「今が一番伸び盛りというか、自信がつき始めている時期だと思います」。網野友雄ヘッドコーチは準決勝後、ロイについてこのように話した。

本人もまた、心身の充実と高ぶりを感じていた。翌日の決勝・東海大学戦は試合前から「普段の自分からは想像がつかないくらいだった」というほどに気合が入っていた。

東海大との新人戦決勝は「普段の自分からは想像がつかない」ほどの気合で臨んだ

決勝は思うようなプレーができず、にじんだ涙

マッチアップを指示されたのは渡邉伶音(1年、福岡大大濠)。ウインターカップ優勝やA代表合宿招集といった実績を持つ身長208cmのゴールデンルーキーを相手に、スピードのミスマッチを突いたドライブと豊かな跳躍力を生かして得点を成功させた。直後のディフェンスで渡邉がボールを保持すると、「かかってこい」と言わんばかりに手をたたいた。

しかし、結果はふるわなかった。ロイが序盤からファウルを重ね、前半はほとんどコートに立てず。後半は得意のランニングプレーやダンクシュートでチームに勢いを与えたが、56-65で敗戦。個人スタッツも6得点4リバウンドと伸びなかった。

「自分のファウルがこむとチームがつらくなるし、自分自身もリズムに乗れないとわかったので、ファウルをしないようにと考えながら入りました。それでもファウルがこんでしまって、自分が想像していたのとは違う感じでゲームが進んでしまいました」

ロイはこう試合を振り返った。

東海大のゴールデンルーキー・渡邉伶音とのマッチアップ

応援に駆けつけてくれた高校時代のチームメートたちに成長を見せたかった。準決勝以上のパフォーマンスを発揮し、自らの力でチームを優勝に導き、あわよくばMVPを獲得したかった。しかし、そうはならなかった。思うようにプレーできなかったことへのいら立ちと悔しさがあふれ、試合後は涙がにじんだ。

東海大学が関東大学バスケ新人戦2連覇 赤間賢人、残り55秒の「Kentime」

自分で限界を決め、ネガティブなリアクションも多かった過去

高校まで関東や全国大会とは無縁。「監督に拾ってもらったから入れた」と話す習志野高校でめきめきと力をつけ、3年時のウインターカップは初戦敗退だったが、32得点14リバウンドというスタッツを残している。

網野ヘッドコーチもその能力やスキルの高さを評価していたが、一方で大きな課題があると感じていた。精神面の波だ。

「『白鷗大でバスケをしたい』というので高校時代から試合を見ていたのですが、うまくいかないときにヘッドダウンしたり、ネガティブなリアクションをとることが多かったので、一度は『うちでは難しい』とお断りさせてもらいました。それでも『チャレンジしたい』と言うので迎え入れましたが、入学後も同じことが起きました」

豊かな跳躍力を生かし、リバウンドをキャッチ

けがのリハビリにおいても自分で限界を決め、そこから先へ進もうとしない傾向が強かった。自分よりも先にチャンスをつかんでいく同期を見て、焦ったり落ち込んだりもした。網野ヘッドコーチは「自分で『できない』とすべての扉を閉めるのでなく、できることを探してチャレンジしなさい」と言葉をかけ続けた。

そしてロイも自分を少しずつ変えていった。「今大会でもっとも成長したこと」に挙げたのは精神面だった。

「今年から先輩たちの試合でも出させてもらうことが増えたし、この新人戦はスタートとして出ているので、『自分はチームに影響を与える選手だ』と強く意識しながら練習してきました。これまでは今日(東海大)みたいな苦しい試合のとき、ヘッドダウンしてチームの雰囲気を悪くしてしまうことがありましたが、今日はベンチから声を出せたし、第4クオーターにプレーで追い上げのムードを出せたことは成長した部分だと思います」

決勝は思うようなプレーができず、涙があふれた。この悔しさを次にぶつける

7月に始まる新人インカレでリベンジを

今大会で得た悔しさと課題を晴らす場所は、7月5日から始まる新人インカレだ。「(会場は)またここなんで、また東海と対戦して、勝ち切って、リベンジしたいっていう気持ちが大きいです」とロイは言った。

in Additionあわせて読みたい