関東学院大学・緒方快選手が語る、3000mSCの走り方と魅力「一発逆転を狙える」

今回の「M高史の陸上まるかじり」は関東学院大学・緒方快選手(4年、宇土)のお話です。3000mSCで6月の日本インカレで8位入賞、5月の関東インカレ2部では2年連続表彰台となる3位に入りました。「サンショー」への思いや競技の魅力を伺いました。
中学時代は野球部、盗塁で「よく刺されていました」
緒方選手は熊本県出身。中学時代は野球部に所属しながら陸上の大会にも出場していました。「足はもともと速い方でした。野球で盗塁をするように言われてましたが、スタートダッシュが苦手でよく刺されていました(笑)」
宇土高校に進んでから陸上部に入部。3000mSCを始めたのは2年の夏からでした。熊本県選手権5000mの翌日に初出場した3000mSCで、7位入賞を果たしました。「楽しそうな種目だなと思いました。思っていたよりキツくなかったので、向いているのかなと思いました。水濠は最初、怖かったですが、楽しさに気づきました」。そこからはサンショーを軸に走っていきました。
2年の熊本県新人で3位となり、九州新人に初出場。3年目の高校総体では、南九州大会で6位となり、インターハイにも出場しました。

駅伝は長距離部員が7人そろわず、他の部から助っ人として参加してもらい、熊本県高校駅伝に挑みました。「バドミントン部の子とかが走ってくれました。1年生の時に熊本県高校駅伝で8位入賞したのですが、 高校創立100年の中で初めてでした。その翌年も入賞することができました。すごく陸上が楽しかったです」

レベルの高さに驚いた大学1年目
高校卒業後は関東学院大学へ。「大学でもサンショーやりたい!」と挑み続け、関東インカレには4年連続で出場を果たしました。1年の時は予選落ちでしたが、2年で6位入賞。3年では2位、今年は3位と2年連続で表彰台に上がりました。先月の日本インカレでは8位入賞を果たしました。
「1年生の時の関東インカレは国立競技場で行われたのですが、競技場の大きさにもびっくりしましたし、周りのレベルの高さに驚きました。当時の自己ベストを出したのに全然通用しませんでした」
国立競技場は400mトラックの内側に水濠がある「内水濠」です。「その時は、内水濠も初めてでした。すごく跳びやすいですね。水濠に向かってまっすぐ走って跳ぶことができますし、周りとの距離感もわかりやすいです」
ちなみに緒方選手は、ハードルに足をかけて跳び越えるタイプなのですが、「左足で踏み切って右足をかけることしかできないんです。それをどれだけスムーズにできるかを意識しています」とのこと。ハードルを使って練習したり、800mの選手が行うようなスピード系の練習を採り入れたりもします。その結果、スピードにも余力が生まれたと言います。

先頭にいた方が走りやすいことも
サンショーの魅力は「一発逆転を狙える」ことだと、緒方選手は言います。
「ハードルに足が合う合わないで、スピードの乗り方が全然違いますし、位置取りも前の方にいないとハードルが見えないんです。日本インカレの時に思ったのですが、後方から行ったら、跳ぶ時にハードルが全然見えなくて『ここらへん?』と思って跳んでいました(笑)。横に広がりすぎてもロスになってしまいますので、後ろにつくよりも、逆に先頭にいた方が走りやすいことがあります。意外と先頭を走るのもありかなと思っています」
水濠も左足で踏み切って右足をハードルにかけ、左足で着水します。「右足は水につかないくらいの感覚ですが、前に選手がいると自分が遠くに跳んでも他の選手が前にいるので、水濠を跳ぶ時が一番気を使います」。水濠を7回、大障害を28回越えていく中で「これは決まった!」「これはやらかした!」と感じながら走るそうです。
「今シーズンでいうと六大学対校戦にオープンで出場したのですが、2000mまで先頭を走りました。距離感が感覚的にわかってハードルも加速してバンバン跳べていたのが、とても印象に残っています」。サンショーの走力や技術以外に、細かな駆け引き、心理戦についても教えていただきました。

ラストイヤーこそ箱根駅伝予選会出走を
トラックシーズンは3000mSCで活躍を続けていますが、例年は夏に故障をして長引くことが多かったそうで、箱根駅伝予選会にはまだ出場したことがありません。5000mのベストは14分37秒、10000mのベストは30分34秒で、どちらも大学1年時の記録です。
「今シーズンはここまで毎月大事な大会が続き(学生個人選手権、関東インカレ、日本インカレと)どれも入賞はしたものの、目指したものには届かず、悔しい気持ちもあります。今年は今のところケガもなく順調なので、まずは故障せず夏にしっかり走って、今年こそは予選会を走りたいです」と意気込みます。
取材に伺った日は、じっとしているだけでも汗をかくような蒸し暑さがありました。それでも1人で安定してリズムを刻み、ペース走を行っていました。コツコツとスタミナ強化にも取り組んでいます。

3000mSCで鍛えた脚力を生かし、「坂も比較的得意です」と緒方選手。箱根駅伝予選会の後半、国営昭和記念公園内に入ってからの走りにも注目ですね!
そして、サンショーでもさらなる高みを目指します。
「大学卒業後もサンショーをやっていきたいです。サンショーはキツい種目と思われがちですが、僕は結構楽しく跳んでいるので、いろんなアクションがあり、フラットレースじゃない楽しさがあります」。緒方選手のラストイヤー、注目です!
