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Presented by JBA/B.LEAGUE

「BASKETBALL ACTION 2020」オンラインセミナーに登場した折茂武彦さん ©レバンガ北海道

バスケ界から日本に元気を JBAのプロジェクトでオンラインセミナー開催

2021.04.27

JBA(公益財団法人日本バスケットボール協会)が昨年立ち上げたプロジェクト「BASKETBALL ACTION 2020超える力。叶える力。」。コロナ禍で思うようにプレーできない子どもたちや、バスケ観戦を満足にできないファンに向けて、日本バスケ界全体で新たな価値を提供する取り組みだ。その一環として4月3日に子どもたちとその保護者に向けてオンラインセミナーを開催。昨年現役を引退し、現在はB.LEAGUEレバンガ北海道の代表取締役社長をつとめる折茂武彦さんも講師として登場した。

日本バスケ界が、日本を元気にする

新型コロナウイルス感染症や自然災害が続くなかで、「バスケで日本を元気に」をテーマに活動する日本バスケ界。バスケを「する」「観(み)る」もこれまで通りには叶わないいま、「BASKETBALL ACTION2020」を通じてさまざまな企画を行っている。たとえば、オンラインでのバスケ日本一決定戦「全国学生フリースローチャレンジ」やリモートクリニックなどバスケを「する」機会やトップ選手とコミュニケーションをとれる機会を増やしたり、男女日本代表のエキシビジョンマッチのリモート配信など新たな「観る」を提供したり、コロナ禍での新しい挑戦が続いている。

バスケで日本を元気にする活動を企画する「BASKETBALL ACTION2020」 ©JBA

そして4月3日に開催されたのが、「モチベーションやパフォーマンスのためにいますべきこと」など子どもたちや保護者たちに向けたオンラインセミナーだ。

三部制のセミナーでは各講師が「スポーツペアレンティング」「コロナがあけてから良いパフォーマンスを出すためにいま準備できること」などについて講義をするなか、第二部の講師として登場したのがレバンガ北海道の代表取締役社長・折茂武彦さんだ。昨年49歳で現役を退きB.LEAGUEの功労賞も受賞した“日本バスケ界のレジェンド”は、子どもたちに向けて何を語ったのだろうか。

昨年現役を引退する前の折茂さん ©B.LEAGUE

“バスケ界のレジェンド”が子どもたちに伝えたいこと

1時間のセミナーで折茂さんがテーマに選んだのは、「夢を持つことの素晴らしさ、それに向かって努力することの大切さ」。子どもたちにまず語ったのは「可能性」についての話だった。
「子どもたちは可能性の塊です。その可能性を認識して夢に向かえるかが大切です。まだ夢や目標がなくても大丈夫。これからいろいろな経験をしていくうちに出てくるので、まず必要なのは自分の可能性を信じることです」

折茂さん自身が子どもの頃から可能性を信じ、続けてきたからこそ出てくる言葉だ。バスケをはじめたのは中学生のとき。まわりに比べてはじめたのが遅く「中学生のときはバスケがうまくなかったです」というが、それでも自分の可能性を信じて中学、高校、大学、社会人とプレーを続けた。そして日本代表にも選ばれた。

「才能も、身長や体格も気にしなくていい。『足が速い』『背が高い』とか秀でたものがなくてもプロ選手になれる、ということを知ってほしいです。私の場合は『どうすれば能力が高い人に勝てるのか』ということを常に考えて練習してきました。考えることはとても大切なこと。バスケ以外でも同じことが言えますが、まず考えて、考えたことを良くするために工夫する。そしてもっと大切なことは、それを実行することです」
折茂さんは「考える」「工夫する」「実行する」を続けてきたからこそ、27年もの間、現役で活躍できた。

シューティングガードとして活躍してきた ©B.LEAGUE

苦労を乗り越えてきた折茂さんの言葉

折茂さんのバスケ人生は決して順風満帆だったわけではない。大学卒業後に実業団入りした折茂さんは37歳のときに北海道に新設されたプロクラブ、レラカムイ北海道に移籍。プロとしてチャレンジしたかったからだ。ただレラカムイ北海道は経営難におちいりリーグから除名。41歳のときに自ら運営会社を立ち上げ社長に就任し、レバンガ北海道を創設した。選手兼社長として、プレーの傍ら経営にも右往左往し、情熱とチャレンジでクラブを引っ張ってきた。今までの経験から折茂さんは「失敗を恐れない」ということを子どもたちに知ってほしいという。

「新しいことをはじめるのは難しいです。失敗しそうだし、嫌だと思うことも。ただ自分の可能性を広げるためにはチャレンジしなければいけないときがあります。プロ選手も失敗しますし、失敗はたくさんしても大丈夫。ただ、たくさん悩んで解決していくことが大事です。成功している人はたくさん失敗をして成功しています。ただ失敗に対して言い訳はしないほうがいい。言い訳をすると成長できなくなりますし、プロの世界では言い訳は通用しません。夢に近づきたい、目標を達成したいなら言い訳をしないことです。あとは情熱を失わないこと。バスケ選手になりたいなら、『バスケが好き』という気持ちを常に忘れないでほしい。この気持ちを忘れない人が長くプレーできると思います」

選手兼社長としてプレーしてきた ©B.LEAGUE

また感謝の気持ちについてもこう話す。「どんな職業についても感謝の思いが大切です。『ありがとう』と言える素直な心。家でご飯が食べられる環境など親に感謝する心も忘れないでください。バスケはひとりではできません。チームの仲間を思いやれるかどうかでも変わってきます。パスひとつにしても、思いやりはプレーにでます」

心を大切にと言う折茂さんは、日本代表時代に一般的に言われる「心技体」という言葉を「心体技」だと教わった。「一番大切なのは心なので、まず『心』を鍛える。これはルールを守ったり、習慣を良くする、相手を思いやるということも含まれます。次は『技』ではなく『体』。バスケだけではなく、どのような職業でも健康でなければ結果は出せません。体をつくるには栄養と睡眠が大事。この『心』と『体』をまず鍛えて、たくさん練習したら上手くなります」

ほかにも「プレーに関してネガティブなことは考えない」「休養や食育が大切」という話など幅広い講義がおこなわれた。

「BASKETBALL ACTION」で、子どもたちとの距離が縮まる

折茂さんが「これだけの時間、話を聞けることが素晴らしい」と感心するほど、一時間にわたるセミナーを真剣に聞いていた子どもたち。質問タイムでも積極的に手を挙げ、交流を深めていた。

今回の「BASKETBALL ACTION2020」オンラインセミナーについて、「このようなイベントがあることで子どもたちがプロを目指すきっかけになったり、育成や強化にもつながれば」と折茂さんはいう。折茂さんが子どもの頃は、バスケでプロ選手になるのは夢のまた夢だった。野球やサッカーのようにプロに憧れていた。それが2016年にB.LEAGUEが立ち上がったことで子どもたちもバスケのプロを目指せるようになった。そして「BASKETBALL ACTION2020」などバスケ界の取り組みにより、子どもたちはより選手とも距離が縮まってきた。

これからも全国の子どもたちに夢を与え続ける ©B.LEAGUE

「コロナによって大変な状況ですが、『BASKETBALL ACTION2020』のようにピンチをチャンスにかえる取り組みもバスケ界ではできています。当たり前のことが当たり前ではなくなったいま、子どもたちにも今後どうすべきか考えたりポジティブに時間を過ごしてほしいです」と折茂さんはいう。今後は、子どもたちに直接声を届ける機会も増やしていきたいと考えている。「オンラインでは北海道にいながら全国の子どもたちに向けて話ができる便利さがあります。ただ直接会って話をするとより熱量も伝わるので、コロナ禍を乗り越えたら各都道府県に足を運び、子どもたちに向けた活動をしていきたいと思っています」 

「BASKETBALL ACTION 2020超える力。叶える力。」の詳しい活動はこちらへ