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山梨学院大・野溝利一 人生初の主将、めざすは黒川虎徹の姿「流れ悪いときに自分が」

チームを初のベスト4に導いた山梨学院大主将の野溝利一(すべて撮影・井上翔太)

山梨学院大学の戦いぶり

5月1日(4回戦)76-59 駒澤大学
5月2日(5回戦)84-71 東海大学
5月3日(準々決勝)62-61 神奈川大学
5月4日(準決勝)64-78 専修大学
5月5日(3位決定戦)74-83 大東文化大学

5月5日に幕を閉じた第73回関東大学バスケットボール選手権(スプリングトーナメント)で、山梨学院大学がチーム初となるベスト4入りを果たした。コートに立つ数少ない4年生としてチームを引っ張ったのが、ポイントガードで主将を務める野溝利一(東海大諏訪)だ。

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「本当に信じている人は少なかったと思う」

山梨学院大が入ったブロックDには、昨年12月の第75回全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)を制した白鷗大学や、準優勝だった東海大学など、強豪校が集まった。山梨学院大は初戦の4回戦で駒澤大学を76-59で下すと、続く5回戦では東海大に84-71で勝利。準々決勝は白鷗大を破って勝ち上がった神奈川大学に、試合時間が残り1分を切ったところで、ルーキーの菅野陸(帝京安積)のシュートで逆転。62-61で競り勝ち、初の準決勝に駒を進めた。

準々決勝で逆転シュートを決めたルーキーの菅野

神奈川大戦で5本の3ポイントシュートを沈め、両チーム最多の19得点を挙げた野溝も、この試合がポイントだったと振り返る。「ビハインドの場面でもシュートを放ち続けたり、ディフェンスをやり続けたりしたことが最後の逆転につながったと思います。自分たちにとっても目標はベスト4でした。でも、本当にそこを信じている人は少なかったと思う。この経験を次に生かしていけたらと思います」

一方で準決勝と3位決定戦は、高さのある相手に苦しんだ。決勝進出をかけた専修大学との一戦は第3クオーター(Q)に菅野の3ポイントなどで見せ場を作ったものの、前半の失点が響き64-78。3位決定戦も第1Qにディフェンスが崩され、74-83で敗れた。3位決定戦の後、野溝に歴史を塗り替えた充実感と、この日に勝てなかった悔しさでは、どちらが大きいか尋ねると「悔しさの方が大きいですけど、山梨学院はまだ歴史の浅いチームなので、その歴史を一つ作れたことは良かった」と答えてくれた。

「個の力」ではなく「チームで戦う」をテーマに

野溝が古田悟監督から主将就任を伝えられたのは、昨年12月のインカレ準々決勝で筑波大学に敗れた後。本人にも「自分がやりたい」という思いがあった。「試合に出ていたのが自分だけだったし、『ガードとしてチームを引っ張っていかなければいけない』という思いがあったので、やってみようかなと」。大学トップクラスのスコアラー・武内理貴(現・広島ドラゴンフライズ)といった4年生たちが抜け、今季はフレッシュなチームとしてスタートした。「個人的にはずっと一緒にやってきた4年生が抜けて、大きな不安はありました。でも、頼もしい下級生がいます。今年は『個の力』ではなく『チームで戦う』ことがテーマ。その部分が少しは結果に結びついたのかなと思います」

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自分が引っ張っていかなければという思いから、主将に就任した

古田監督は今回のスプリングトーナメントのメンバーに1、2年生を9人も入れた。準決勝はスタートでコートに立った4年生は野溝だけだった。「試合に出ている1、2年生が多い分、崩れてしまう場面が必ずある。流れが悪いときに自分がプレーで示したり、常にコートで声を出したり、チームが崩れかけているときこそ自分が引っ張り上げられるような存在でありたいです」と野溝は自身の役割を語る。

バスケキャリアの中で、主将を務めるのは初めてだという。強豪として知られる東海大諏訪で、高校3年のときはベンチ外だった。大学で初の重責を任されるにあたり、参考にしたのは、東海大学でも主将だった1学年上の先輩・黒川虎徹(現・アルティーリ千葉)の姿だった。

「高校のときから偉大な先輩で『キャプテンと言えば虎徹さん』でした。自分がどういうキャプテンになるかを考えたとき、最初に浮かんだのが虎徹さん。常にチームの中心にいて、いなくなることはないですし、背中で語ることができる。あのようなキャプテンシーを持ってチームを引っ張りたいです」

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理想とするキャプテンは、高校時代の先輩・黒川虎徹だという

ベスト4入りには、あと2年かかると感じていた

今でこそ関東の1部で戦う山梨学院大だが、野溝ら現在の4年生が入学したときは3部に沈んでいた。2021年秋のリーグ戦で全勝を果たして2部に昇格すると、翌年は2部で2位に入り、1部へ。元日本代表の古田監督が就任してから、着実に力をつけてきている。野溝も「チームの雰囲気が自分に合っているし、古田さんも自由にさせてくれる」という理由から山梨学院大に進み、結果が伴うことで自信がついてきた。

古田監督は「主力5人だけのチームではない。次につながるやり方を毎年しています」と方針を明かした。昨年もエースの武内だけに頼らないチームをめざし「(武内が)いなくてもいい状況を作っていたつもりです」。だから彼らの世代が卒業しても、心配はまったくしていなかったと語る。「昨年はシューターが多かったから、そちらにフォーカスされたけど、基本的にはディフェンスのチーム。ディフェンスの力は間違いなく昨年より上がっていると思います」

今年のチームは昨年より「ディフェンスの力が上がっている」

関東インカレでベスト4に入るには、あと2年かかると感じていたという。「今の2年生が4年生のときにチャンスがあると思っていたので、びっくりしている部分もあります」と古田監督。次の主たる大会は、1、2年生が出場する関東大学バスケットボール新人戦。ここで山梨学院大がどんな結果を残すかは、今後の大学バスケ界の勢力図を占う上での試金石になるかもしれない。

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