陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

東国大の川内琉生選手・城西国際の長島奈南選手が学生トップ!かすみがうら10マイル

10マイルの部で男子学生トップとなった川内琉生選手(2枚目と全日本大学駅伝を除き、すべて大会事務局提供)

4月21日に茨城県土浦市で「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン2024」が開催され、私、M高史が大会MCを務めさせていただきました。大学生も多く出場した10マイルの部も含めて、リポートします。

駅伝やハーフマラソンの力試しに

かすみがうらマラソンには市民ランナーの方から実業団選手、大学生も数多く出場し、今年で34回目を迎えました。特に10マイルの部からは毎年のように駅伝で活躍する選手が出てきます。

10マイルは、キロメートルに換算すると16.09344km。駅伝やハーフマラソンに向けて力試しするのに、もってこいの距離でもあります。かすみがうらマラソンは4月開催ということで、暑さへの対応力やロードへの適正、さらには5月の関東インカレに向けた腕試しや各大学のメンバー選考を兼ねているケースもあります。

10マイルの部、号砲とともに勢いよくスタートする選手の皆さん(撮影・M高史)

昨年、10マイルの部を制したのは当時駒澤大学4年生の赤津勇進選手(現・小森コーポレーション)。終盤に強烈なスパートを見せました。その後、11月の全日本大学駅伝1区で区間賞を獲得。駒澤大学の4連覇に貢献する走りとなりました。

ちなみにこの時、2位だったのがプロランナーの川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)でした。今回、川内選手は10マイルの部に招待選手として出場予定でしたが、故障からの回復途中ということで出走はせず、スペシャルゲストとして大会を盛り上げてくださいました。

今回の10マイルは終盤まで激しい競り合いとなりました。NDソフトの下條乃將(だいすけ)選手が48分34秒で優勝。わずか1秒差で学生トップの2位となったのは東京国際大学の川内琉生(かわち・りゅうせい)選手(3年、鎮西学院)でした。

優勝した下條選手。後方は1秒差の2位となった川内選手

レース後、学生トップとなった東京国際大の川内選手にお話を伺いました。

「関東インカレに向けて、チーム内の選考も兼ねていました。チーム内の勝負もありましたし、他大学の学生に負けないようにと思って走りました。トラックに戻ってくる前に離されて、ラストは追いかけましたが届きませんでした。今日のレースを振り返って、自己採点は75点です。関東インカレではハーフマラソンで上位を目指したいです。昨年、チームとして箱根出場を逃したので、今年は自分がロードのエースとして、箱根に出場し、そしてシード権を獲得したいです」

昨年の全日本大学駅伝ではアンカー8区を務めるなど、長い距離やロードで強さを発揮する川内選手がチームを引っ張ります。

川内選手は昨年の全日本大学駅伝でアンカーを任されシード獲得に貢献!(撮影・内田光)

10マイル女子もハイレベルな展開に!

女子もハイレベルな展開となりました。オーストラリアのアビゲイル・ノードバーグ選手が56分01秒で優勝。2位には3秒差の56分04秒で、城西国際大学の長島奈南選手(2年、成田)。3位には58分36秒で拓殖大学の山田愛選手(3年、健大高崎)が続きました。3月の日本学生女子ハーフでは山田選手が8位、長島選手が9位に。ハーフマラソンに続いて10マイルでも強さを発揮しました。

レース後、城西国際大の森岡芳彦監督は「実業団時代も含めて教え子の最速記録です。よく走ったと思います。優勝したオーストラリアの選手が想定以上に強かったですね」と実業団・ノーリツ時代の教え子のラップタイムと比較しながら、長島選手の走りを評価されていました。

長島選手にもお話を伺うと「3分30秒ペースでいって後半あげようと思っていました。まだスパートに課題があるので早めに仕掛けようと思っていました。今後はもっとラストスパートを磨きたいです。チームも練習でまとまって走れているので、同じ目標に向かって高めていきたいです」。個人もチームとしても注目ですね。

女子10マイルではアビゲイル・ノードバーグ選手が優勝。3秒差で長島選手が続きました

3位に入った山田選手について、拓殖大の五十嵐利治監督にもお話を伺いました。

「日本学生女子ハーフで8位に入って、今回は練習の一環で走り込みの流れの中での出場でした。駅伝に関しては今年は勝負の年です。不破(聖衣来、4年、健大高崎)も復活してきてチームの士気も上がってきています。年間を通して、秋を見据えて強化していきたいです。関東、全日本、富士山と結果を出せるようにしたいですね」。山田選手の高校の一つ先輩でもある不破聖衣来選手が最上級生となる今年。熱い襷(たすき)リレーが見られそうですね!

フルマラソンは男女ともに前回優勝者が連覇

大会MCとしての盛り上げを終え、ライブ配信のエリアまで移動していたところ、駒澤大学OBの西澤佳洋さんに会いました。M高史の後輩でもあります。昨年、実業団を引退された西澤さん。駒澤大時代には、かすみがうらマラソンの第23回大会で10マイルの部・優勝を飾りました。学生時代以来、12年ぶりとなったかすみがうらマラソン。今回は1時間02分台でのフィニッシュとなったそうですが「今は楽しく走っています。これからも走り続けたいです」と笑顔でお話しされました。

第23回大会10マイルの部で優勝された西澤佳洋さん。現役引退されましたが、この日は学生以来となる10マイルに参加しました

フルマラソンは男子の部でガンドゥ・ベンジャミン選手(栃木陸協)が2時間16分19秒で連覇。日本大学時代は駅伝などでも活躍されましたね。女子の部は昨年大会新記録で優勝した松村幸栄選手(コモディイイダ)が2時間42分20秒で女子の部連覇を達成。男女とも前回の優勝者が連覇を果たす形となりました。

フルマラソン男子の部はベンジャミン選手が優勝。日本大学OBとしてもおなじみですね

川内優輝選手は応援も全力!

さて、冒頭でご紹介した川内優輝選手。常に全力で走る姿が印象的ですが、応援もとにかく全力です! スタート前、ウォーキングの部から10マイル、フルマラソン、5kmの部と全選手をお見送り。ご自身の座右の銘である「現状打破」を唱えられ、大きなかけ声で多くのランナーさんにエールを送られていました。また、フィニッシュ地点でランナーさんのお出迎えも。合間には大会のYouTubeライブ配信にも出演。国内外を問わず、数多くのマラソンで優勝を飾ってきている川内優輝選手が、初めてフルマラソンで優勝を飾ったのが、かすみがうらマラソンでした。YouTubeライブでは長く走り続ける秘訣(ひけつ)として「楽しむこと」と挙げられました。かすみがうらマラソンで優勝した後、シドニーマラソンに派遣された際「海外マラソンって楽しい!」と実感され、日本にとどまらず、世界中のマラソン大会で現状打破されていますね!

スタートのお見送り、フィニッシュ地点でのお出迎え、ライブ配信出演と大会を盛り上げてくださった川内優輝選手(中央)。左はゲストの福内櫻子さん

また大会チャリティー・アンバサダーの有森裕子さんが、今年もランナーの皆さんに大声でエールを送られたほか、以前4years.で取材させていただいた皆さんもゲストで登場! 筑波大学OBの三津家貴也さんはフルマラソンで最後尾からスタートし、参加ランナーの皆さんを応援しながら颯爽(さっそう)と駆け抜けました。ランニングコメディYouTuberで帝京大学OBのたむじょーさんは、5kmを仮装して盛り上げながら激走。大東文化大学時代に駅伝やインカレで活躍され、現在はランニングコーチ、モデルとしても活動されている福内櫻子さんは10マイルの部門を盛り上げて走られました。

学生時代に活躍された皆さんが、競技とはまた違った新たな形で、個性を生かして、走ることの魅力を発信されています。

ゲストの三津家貴也さん(左)、たむじょーさん(中央)も大会を元気に盛り上げてくださいました!
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というわけで、かすみがうらマラソンのリポートでした!

M高史の陸上まるかじり

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