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男女各60チームがウインターカップで「高校日本一」を狙う

ウインターカップ2021注目選手、U19W杯日本代表や3連覇を狙う絶対的エース

2021.12.21

12月23~29日、バスケットボールの第74回全国高校選手権大会(SoftBank ウインターカップ2021)が東京体育館と東京・駒沢オリンピック公園総合運動場で行われる。都道府県予選を勝ち上がった男女各60チームが「高校日本一」を目指して挑む。前回大会では男子は仙台大明成(宮城)が3年ぶり6度目の優勝、女子は桜花学園(愛知)が2年連続23度目の優勝を果たした。今大会の開幕に先立ち、男女の注目選手を紹介する。

199cmのオールラウンダー - 仙台大明成・山﨑一渉

身長199cmの高さがありながらも、入学当時から躊躇(ちゅうちょ)なく3ポイントシュートを放っていた山﨑一渉(いぶ、3年)。学年を重ねるごとにインサイドでのプレーも増え、今や内外からの得点、ドライブ、リバウンドとあらゆる面でチームの軸となるオールラウンダーへと変貌を遂げた。

自らのプレーで2連覇を引き寄せる(写真は第73回大会のもの)©JBA

仙台大明成のエースは昨年、東山(京都)とのウインターカップ決勝で25得点10リバウンドをマーク。同点で迎えた最終局面では値千金のジャンプショットを沈めてチームを日本一へ導いた。

山﨑は夏に行われたFIBA U19ワールドカップ(W杯)でも得点源を担い、韓国との最終戦では32得点を挙げた。しかし、大会直後に臨んだインターハイでは準々決勝から参戦するも、2試合で終戦。2点を追う準決勝のラストプレー、チームは山﨑に託したが得点を奪うことができず、悔し涙で夏を終えた。

1年生の時から注目された逸材も、いよいよ高校最後の大会を迎える。仙台大明成の背番号8が望むのは、自らのプレーで2連覇を達成する、その強い思いだけだ。

大けがから復帰したエースガード - 福岡大大濠・岩下准平

1年生の頃から強豪・福岡大大濠(福岡)でプレータイムを勝ち取った不動のエースガード。岩下准平(3年)は自らのドリブル突破とシュート力で攻撃を引っ張るだけでなく、チームのトランジションスピードを上げる役目も担う。

岩下にとっては2大会ぶりのウインターカップとなる(写真は第72回大会のもの)©JBA

昨年負った左ひざの大けがから復帰を果たした今年は、本来備わっていたスピード、シュート力、パスセンスに当たり負けしないフィジカルが加わった。アンダーカテゴリーの日本代表としてFIBA U19W杯も経験し、福岡大大濠ではゲームキャプテンとしても仲間を鼓舞する存在だ。

W杯に参加したため途中合流となったインターハイは準決勝敗退。ウインターカップ予選でも最大のライバルである福岡第一(福岡)に敗れた。リハビリを経てコートに戻ってきた岩下としても、ここまでは消化不良の1年を過ごしていることだろう。自身にとって2年ぶりとなるウインターカップは、強豪ひしめく激戦ブロックに入った。これまで溜め込んだ悔しさを力に変え、世代屈指のポイントガードはチームを高みへと押し上げられるか。

リバウンドからのブレイクに注目! - 中部大第一・田中流嘉洲

今夏のインターハイで創部初の全国優勝を成し遂げた中部大第一(愛知)。豊富な運動量を駆使したトランジションバスケを得意とする中部大学第一において、攻守の要となるのは3年生の田中流嘉洲(るーかす)だ。

攻守で要を担い、インターハイに続く2冠を目指す(写真は第73回大会のもの)©JBA

田中はブラジルにルーツを持つ身長195cmのパワーフォワード。「コートの外でもずっとしゃべってます(笑)」と明るい性格の持ち主でもあり、チームの雰囲気を盛り上げるムードメーカーとしても不可欠な存在である。

「得意なプレーはリバウンドからのブレイク」と話すように、プレー面においては主にインサイドとランニングプレーでチームに活力を与え、中でもリバウンドが対戦相手を大いに苦しめる最大の武器と言える。インターハイで対戦した開志国際(新潟)との試合では、田中は11個のオフェンスリバウンドを含む計20リバウンドに加え、37得点というスタッツを残してポテンシャルの高さを見せつけた。夏からの2冠を達成できるかどうかは、田中の出来にかかっている。

豪快なブロックでゴール下を制圧 - 帝京長岡・ディット ハメード

地元開催となった今夏のインターハイで、帝京長岡(新潟)はチーム初の決勝進出を果たした。その立役者の1人と言えるのが、留学生センターのコネ ボウゴウジ ディット ハメード(2年)である。

ディット ハメード(左)はウインターカップでもゴール下で躍動し、夏のリベンジを狙う(撮影・友永翔大)

ディット ハメードは体の線はまだ細いものの、205cmの長身から繰り出すシュート、打点の高いリバウンド、豪快なブロックショットでゴール下を制圧。仙台大明成とのインターハイ準決勝では、27得点21リバウンド8ブロックという驚異的な数字を残す大活躍を見せた。

出身はマリ共和国。日本に来てまだ2年足らずだが、来日後は「学校でたくさん勉強した」と流暢(りゅうちょう)な日本語で話すディット ハメード。このようにチームメートとも日本語でコミュニケーションが取れる点も彼の魅力であり、シュート力とフィジカルが向上すれば、更にスケールの大きな選手になるはずだ。「ウインターカップでは日本一になりたい」と夏のリベンジに燃えており、東京の地でも大いに暴れてくれることを期待したい。

185cmの高さとパワーでチームを支える - 桜花学園・朝比奈あずさ

桜花学園の背番号4を背負い、自他ともに認める絶対的エースを務めるのは朝比奈あずさ(3年)。昨年のウインターカップでも先発組としてコートに立ち、身長185cmの高さとパワーを生かしたゴール下のプレーでチームの主軸を担ったインサイドプレーヤーだ。

常勝軍団の大黒柱として、2冠&3連覇を狙う(撮影・上山浩也)

昨年は先輩たちの後ろをついていくようにプレーしていた印象だが、最終学年を迎えた今年は主将に就任。現在は大きな声を張り上げてチームメートの背中を押すようにもなり、代えが利かない大黒柱として常勝軍団を支える。

新チームがスタートした当初はライバルの岐阜女子(岐阜)に敗れ、暗雲が立ち込めたが、インターハイでは3大会連続の優勝を達成。それでも、チームのエースは「決勝では納得のいくプレーができなかったです」と、会場で一人悔し涙を流す場面があった。

桜花学園としては今回のウインターカップで大会3連覇がかかるだけでなく、優勝すれば通算70回目の全国優勝を達成する。打倒・桜花に燃える挑戦者たちを跳ね返し、朝比奈が新たな歴史を作る立役者になれるか。

「本当に勝負強い」2年生主将 - 大阪薫英女学院・都野七海

都野七海(つの・ななみ、2年)は「日本一になりたい」という強い思いを抱き、地元の山口県を離れ、大阪薫英女学院(大阪)の門をたたいた。1年生の頃から先発を任され、当時の3年生が卒業してからは主将にも抜擢(ばってき)。今年は2年生主将としてコート内外でチームを牽引(けんいん)し、インターハイでは準優勝という1つの結果を残した。

2年生主将の都野(左)は高い得点力でチームを支える(写真は第73回大会のもの)©JBA

身長158cmの小柄なポイントガードは、いざコートに立てば一際(ひときわ)存在感を放つ。身長を補うスピードとテクニックを駆使し、アウトサイドシュートだけでなくサウスポーから放たれるフローターも得意。インターハイでは初戦で30得点、決勝でも21得点をマークするなど、平均23.4得点を記録して持ち前の得点力を披露した。また、安藤香織コーチが「本当に勝負強い」と評価するようにメンタル面も強く、例え相手に囲まれたとしても落ち着いて局面を打開できる冷静なプレーも光る。

インターハイ後はディフェンス力とシュート力の向上を課題に挙げていた彼女が、どんな姿でウインターカップに戻ってくるか楽しみだ。

スピードを生かし、得点源としてチームを牽引 - 岐阜女子・藤澤夢叶

今年の岐阜女子を象徴するスコアリングガード。昨年まで十分な出場機会に恵まれなかったが、新チームになると藤澤夢叶(ゆうか、3年)はその才能を大きく開花させた。

最終学年で花開いた藤澤(左)は、持ち前のスピードを生かして戦う(写真は第73回大会のもの)©JBA

切れ味抜群のスピードを持つ彼女は、攻撃では一瞬で相手を抜き去ってペイント内へ切り込み、相手のブロックが飛んできたとしても華麗なダブルクラッチでいなしてみせる。3ポイントやストップジャンプシュートでも得点を奪うことができ、小柄ながら得点源としてチームを引っ張るスコアラーだ。

また、ディフェンスでもスピードと脚力を生かして果敢に相手との間合いを詰めてリズムを崩し、スティールからのワンマン速攻も藤澤が得意としているプレーの1つだと言える。

この夏は初めて主力としてインターハイを経験したが、結果は準決勝で敗れての3位。藤澤は「自分の対応力と冷静さが足りなかった」と自身のミスを責めた。この敗戦を糧に一回り大きくなった藤澤が、ウインターカップではチームを決勝戦、その先の栄冠へと導く。

3Pシュートだけでなく1対1からも狙う - 東京成徳大・佐坂光咲

昨年のウインターカップで東京成徳大(東京)が見せた快進撃は、大会を象徴するハイライトの1つと言えるだろう。前回大会の準々決勝、1点ビハインドで迎えたラストプレーで逆転のブザービーターを沈めたのは当時2年生の佐坂光咲(ささか・みさき)だった。

インターハイを逃した悔しさも、このウインターカップにぶつける(写真は第73回大会のもの)©JBA

ウインターカップを準優勝で終えた先輩たちの思いを引き継ぎ、佐坂は今年、背番号4を背負う主将に就任。しかし、夏の東京都予選を突破できず、インターハイには出場できなかった。佐坂たち3年生にとっては、今回のウインターカップが今年最初で最後の全国の舞台となるだけに、並々ならぬ思いで大会へ乗り込むだろう。

佐坂が最も得意とするのは、前回大会でも披露した3ポイントシュートだ。しかし、176cmの身長とフィジカルを持ち合わせ、オールラウンドにプレーできる点も彼女の強みであり、佐坂自身も「3ポイントだけではなく、1対1からも得点を取れるようにしたい」と意気込む。本戦では厳しいマークが予想されるが、的を絞らせないプレーで相手ディフェンスを翻弄(ほんろう)してほしい。(文・小沼克年)