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川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞 ©B.LEAGUE 川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞 ©B.LEAGUE

川崎ブレイブサンダース・藤井祐眞 天皇杯連覇がかかる大一番にのぞむ

2022.03.04

3月12日に行われるバスケットボールの天皇杯ファイナル(決勝)で大会連覇を目指す川崎ブレイブサンダース。決勝の相手はリーグ戦でも激しい順位争いを繰り広げている千葉ジェッツ。B.LEAGUE屈指の好カードで争う天皇杯ファイナルを前に今季より川崎のキャプテンを務める藤井祐眞(30)に、ここまでの勝ち上がりや決勝への思いを聞いた。

勝ちたい気持ちがプレーに出たセミファイナル

2月9日の天皇杯セミファイナル。川崎が対戦したのは、昨季B.LEAGUE チャンピオンシップセミファイナルで完敗した宇都宮ブレックスだった。選手たちは高いエナジーをもってこの試合を戦い、82-72で勝利。藤井自身も30分近いプレータイムの中で、14得点12アシストと素晴らしいパフォーマンスを見せ、司令塔としてチームを引っ張った。

「パブロ(・アギラール)が一時帰国でチームを離れたり、けが人が出たりと難しい状況でしたけど、試合の前々日、ニック(・ファジーカス)が『一発勝負は勝ちたい気持ちが強いほうが勝つし、チャンピオンシップで負けた宇都宮には同じ会場で絶対負けたくない。どんな状況でもやりきろう』と言ってくれたおかげで、全員の『勝ちたい』という思いがより高まり、それがそれぞれのプレーにも発揮された試合だったと思います」と、藤井は振り返る。

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宇都宮側も欠場選手が多く、ベストコンディションでのガチンコ勝負とはならなかったが、天皇杯は負けたらそこでおしまいのトーナメント戦。「試合内容どうこうでなく、勝てたということが本当に素晴らしかった」と藤井は総括した上で、「ひとつよかった点は、第1クオーターを我慢できたこと」とコメント。「宇都宮とのゲームは、出だしで先手を取られてそのまま取り戻せずに負ける展開になることが多いですけど、今回はやられても我慢して、タイムアウトでしっかり持ち直せた点は評価できると思います」と話した。

キャプテンとして、動き続けてチームを鼓舞する

B.LEAGUE の開幕以来、川崎は”シルバーコレクター”の役回りを担うことが多かった。初年度は天皇杯、レギュラーシーズンともに準優勝に終わり、20年の天皇杯決勝も5点差の惜敗。さらに藤井はこの時の天皇杯決勝をインフルエンザで欠場しているだけに、昨年の天皇杯優勝には格別の思いがあった。「決勝は相手が大喜びしているのを見るものでしたし、20年は会場に入れもしなかったので、去年の優勝は本当にうれしかったです」と藤井は振り返りつつ、「コロナ禍ということもあって、盛大に祝えなかったことだけは悔しかったです」と話す。

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昨年12月に30歳を迎えた藤井は、今まさに花盛りの時期を過ごしているプレーヤーだ。14年、拓殖大から東芝(現川崎)に入社後しばらくは、個としてクローズアップされる存在ではなかったが、加入4年目ごろより『最強(恐)のシックスマン』としてめきめきと頭角を表し、以降はBリーグアワードの個人賞の常連に。持ち前の運動量と勝負強さでチームに大きなエネルギーを与える藤井のプレーは、川崎に欠かせないものとなり、昨年11月には初の代表にも選出された。

今季からは、特定の選手に依らず全員で戦うチームスタイルをもっとも表現できる選手として、キャプテンにも就任した。「僕は言葉でなくプレーで気持ちを見せるタイプ。賢次さん(佐藤賢次ヘッドコーチ)から打診されたときは、これまでキャプテンを務めていた(篠山)竜青さんのように『ついてこい』みたいなことは言えないと伝えましたが、『今年のチームコンセプトを体現してくれるのは祐眞だと思った。常に動き続けてチームを引っ張ってほしい』と言っていただいて。うれしかったし、川崎がやりたいバスケを僕が引っ張れたらとの思いでキャプテンを引き受けました」

キャプテンとしてプレーで見せる。最左が藤井 ©B.LEAGUE キャプテンとしてプレーで気持ちを見せる。最左が藤井 ©B.LEAGUE

藤井が選抜チーム以外でキャプテンになるのは実に小学生の時以来。しかし変に気負うこともなく、無理に言葉が増えるわけでもなく、これまでどおり、プレーでさまざまなことを伝えている。「もともとキャプテンっぽいキャラではないし、キャプテンらしいことは何ひとつしていません」と笑う藤井は、連覇がかかった天皇杯決勝に関しても平常心で挑む心づもりだ。

藤井と千葉・富樫のマッチアップに注目

対戦する千葉ジェッツは、2017年の天皇杯決勝や2017-18シーズンのチャンピオンシップセミファイナルで敗れた因縁深い相手。今季のリーグ戦でも激しい順位争いを繰り広げている相手を、藤井は「安定しているし、破壊力もある。強いチームです」と評し、特に同ポジションの富樫勇樹をキーマンとして挙げた。

「富樫選手を一度波に乗せたらやばいです。気持ちよくシュートを打たせたくないし、そもそもボールを持たせたくないので、勝負どころではなるべくボールを持たせないようにしたいとは考えています」

リーグ戦で握手を交わす藤井(中央左)と千葉・富樫(中央右) ©B.LEAGUE リーグ戦で握手を交わす藤井(中央左)と千葉・富樫(中央右) ©B.LEAGUE

藤井と富樫は、中学生のころからの旧知の仲。藤井が中学3年、富樫が中学1年のときに全国大会で初対戦し、藤井は富樫が打ったフローターシュートに「なんだこれ?」と衝撃を受けたと話していた。B.LEAGUEにカテゴリーを移した今は、常に激しいマッチアップを繰り広げる間柄で、藤井は「昨年12月の試合では最初から激しくやりすぎて、時間が止まったときに『このマッチアップ、試合終盤だけでよくない?』なんて冗談で話しました」と明かした。

日本屈指のPG(ポイントガード)2人が織りなす火花が散るような攻防。そして彼らを軸に展開される両チームのアップテンポなバスケは、両チームのファンならずとも楽しめる、エキサイティングな内容が期待される。「千葉との試合はハイスコアな展開になることが多いので、バスケの特徴である素早い攻守の切り替えを楽しんでもらえたら」と藤井もアピールする。

劣勢になればなるほど輝きを増す、B.LEAGUE屈指の負けず嫌い男・藤井は、5年前の天皇杯決勝での敗北を忘れない。「両チームともあのころからメンバーが随分変わりましたけど、僕はまだあの悔しさを忘れていません。今度こそ、決勝の舞台で千葉に勝って僕らがチャンピオンになれるようにがんばります」。

天皇杯決勝は3月12日、15時からさいたまスーパーアリーナで行われる。藤井の輝きから目が離せない。

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