4years.
Presented by JBA/B.LEAGUE

前回大会優勝した男子のゴッドドア ©︎JBA

Jr.ウインターカップの注目選手・チーム 中学生世代の「本当の日本一決定戦」

2023.01.04

中学生年代の日本一を決める「Jr.(ジュニア)ウインターカップ2022-23(2022年度第3回全国U15バスケットボール選手権大会)」が1月4日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で開幕する。中学校の部活動、街クラブ、Bリーグのユースチームが参加し、中学生世代の「本当の日本一を決める」戦いだ。この中から未来の日本バスケ界を担う選手が現れるかもしれない。そんな将来性豊かなチームや選手たちを紹介する。

全国から男女各52チームが参加

Jr.ウインターカップは、全国の中学校の部活動、街クラブ、Bリーグのユースチームが参加し、男女各52チーム、全104チームがトーナメント方式で頂点を争う。決勝は8日に行われる。

四日市メリノール学院中学校(三重)は8月の中学校バスケットボール大会(全中)で初優勝した。決勝で37得点した榎木璃旺(3年)は抜群のスキルと冷静な判断力でチームを引っ張る。榎木とともに全中の優秀選手に選ばれた蓑手海叶(3年)、準々決勝で5本の3P(ポイント)を沈めた中村颯斗(2年)に加え、1年ですでに190cmの白谷柱誠ジャックは決勝で10得点19リバウンドと存在感を放っている。

その強豪校に、3回戦で当たる可能性があるのが全中3位の倉敷市立南中学校(岡山)。全中の優秀選手に選ばれたシューター村上敬之丞(3年)がチームをリードする。

横浜ビー・コルセアーズ U15を下して神奈川県予選を制した横浜市立豊田中学校も見逃せない。実業団チームでプレーしていた細木恵臣コーチの指導で県屈指の強豪校に育った。司令塔は横浜ビー・コルセアーズのトップチームで活躍するキング開の弟、キング太主将(3年)。内外での正確なシューティング、バスが魅力で、チームが苦しいときも率先して声を上げて鼓舞する。チームのムードメーカーで得点源、オールラウンドな活躍を見せるのが新郷礼音(3年)。リーチが長く、緩急の差を生かした独特なリズムを持ったドリブルで正面突破してシュートを放つ。

神奈川県選手権の決勝。横浜ビー・コルセアーズ U15と対戦する豊田中学校の新郷礼音(中央)とキング太(後方、撮影・宮崎勇作)

男子で前回優勝したゴッド ドア(兵庫)。2022年10月にあった国体少年男子の兵庫(選抜)で3位に貢献した力のある先輩たちが卒業し、功績を受け継げるか注目だ。

Bリーグのユースチームも

本大会はBリーグのユースチームも参加し、大会のレベルアップにつながっている。

栃木県予選優勝の宇都宮ブレックス U15は3回連続の出場。主将の加藤駿、田中大貴、帶谷潤太郎(いずれも中学3年)が三本柱。加藤はエースで大黒柱。視野が非常に広く、中も外もドライブで相手ディフェンスを崩し、正確なバスでアシストができる。ここぞというときはフィニッシャーとしても活躍する。190cmの田中はビッグマンとしてのポストフレーにとどまらず、外でも突破力のあるドライブで活躍し、3Pも得意。帶谷は“エースキラー”で、フィジカルが強く、競り負けない強靭(きょうじん)なディフェンスを見せる。大会の魅力についてチームの関係者は、「強豪中学校、街のクラブ、Bリーグユースが一堂に会してガチンコで戦う唯一の大会。U15カテゴリーの本当の日本一決定戦だ」と語る。

仙台89ERS U15(宮城)で1年から試合に出ているのが阿部真冴橙と岩渕蓮(いずれも中学3年)。「阿部は得点を取る感覚に秀でている。ステップを駆使して3Pを取れることはもちろん、コンタクトでも負けない。1対1が強い」と佐藤濯ヘッドコーチ(HC)は自信を持つ。大会の意義について、「ユースだと3月末まで大会があるけど、街のクラブや部活動は8月で大会が終わるのが現状。1、2年生にとっては12月に宮城のセカンドチームを出場させることができる。出場時間が多いと、自信にもつながる」と佐藤HCは話す。

シュートする仙台89ERS U15の阿部真冴橙(撮影・井上翔太)

レバンガ北海道も侮れない。練習環境だけでなく、スキルや体づくりの指導など育成システムが充実しており、早くからトップチームを意識し練習に励む選手たちがそろっている。木村颯太、西村優真、坂井琉晟、安藤煌太朗(いずれも中学3年)は2022年10月の国体で北海道(選抜)の代表に選ばれた。レバンガ北海道の“カルテット”の活躍が期待される。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15(愛知)は2022年3月の「B.LEAGUE U15 CHAMPIONS 2022」で連覇を達成。若野瑛太(中学3年)は大会ベスト5に選ばれ、将来期待の才能だ。今大会の愛知県予選決勝ではシーホース三河に85-31で圧勝している。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15の若野瑛太 @B.LEAGUE

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15と同じブロックには「B.LEAGUE U15 CHAMPIONS 2022」準優勝のライジングゼファーフクオカ U15、大阪府予選決勝で前回大会準優勝のKAGO CLUB(大阪)を僅差で破ったFRONTIER SPIRITS U15(大阪)もいる。さらに、全中準優勝の石川県野々市市立布水中学校のメンバーを擁するJamaney Youth(石川)も強い。全中の優秀選手の北村優太をはじめ、北本慶志、神保旺介(いずれも3年)らの輝くプレーが見られるか。熾烈な争いのブロックになりそうだ。

JBA推薦枠で出場する横浜ビー・コルセアーズ U15(神奈川)には、横浜市立大道中学校で全中に出場し1試合で50得点した佐藤凪がいる。ほかにも全中の優秀選手で静岡県浜松市立与進中学3年の尾藤遥陽を擁する、HAMAMATSU BRUSH(静岡)やTOKUSHIMA RJ(徳島)も気になるチームだ。

女子は全中で活躍したチームに注目

女子は全中で活躍したチームに注目だ。優勝候補は全中を制覇し、大会3連覇がかかる四日市メリノール学院中学校(三重)。全中でともに優秀選手に選ばれた太田妃優や濱田ななの(いずれも3年)など選手が充実し、オフェンスからディフェンスまで高いレベルでプレーできる。稲垣愛ヘッドコーチは四日市メリノール学院高校の指導も兼ね、高校生と一緒に練習することで、ともに強くなろうとしている。

前回大会優勝した女子の四日市メリノール学院中学校 ©︎JBA

相模女子大学中学部(神奈川)は県予選を制して2年連続の出場を決めた。前回大会の準々決勝では試合終了直前に逆転負けを許し2点差で惜敗。その悔しさを胸に日本一を目指す。攻守のエースは176cmで川島才佳(3年)。兄は福岡大大濠高校2年のエース川島悠翔だ。ドリブルの突破力だけではなく、内外での正確なシューティング技能も兼ね備え、3Pも魅力。そして、次期キャプテンで1年からJr.ウインターカップの舞台を知っている竹内みや(2年)。身長は159cmとチーム内では小柄だがドリブルスキルが高く、1対1に強い。的確なパスで攻撃の起点になるほか、ドリブルでペイントエリアまで切り込む決定力も持っている。

日本一を目指す相模女子大学中学部(撮影・宮崎勇作)

京都精華CLUB(京都)からも目が離せない。過去2大会準優勝の京都精華学園中学校を主体としたクラブチームだ。全中の決勝トーナメントでは相模女子大学中学部に接戦の末、破れたものの、粘り強く戦い抜き成長を感じさせた。Jr.ウインターカップで初の頂点を狙う。

全中準優勝の樟蔭を大阪府予選で破ったのが、前回大会はベスト8の大阪薫英女学院中学校(大阪)だ。近畿ブロックで何度も対戦しており、切磋琢磨(せっさたくま)しながら高め合ってきた両校だが、Jr.ウインターカップは大阪薫英女学院中学校が勝ち上がった。全中の優秀選手の舛本碧珠(3年)、西村亜優、岡田沙也ら得点力がある選手がそろう。

前回大会ベスト4のJ,sphere(愛知)も勝ち上がってきそうだ。東海ブロックでは四日市メリノール学院中学校の影に隠れがちだが、チーム全体のレベルが高い。J,sphereと2回戦で当たる可能性があるのが、さいたまUnit1バスケットボールクラブ(埼玉)。JBA推薦枠からの出場で飛躍を期待したい。全中3位に貢献し、優秀選手にも選ばれた岡山市立竜操中学3年の三宅香菜がいるSEA DRAGON(岡山)や関東の強豪の一つ、八王子市立第一中学校(東京)の戦いぶりも見てほしい。

日本の競争力を高めるために

部活、クラブ、Bユースチームの枠を超えたJr.ウインターカップは、部活動の地域移行が検討されている中で先駆けの取り組みだ。「全国にはこんなライバルがいる、アジアにも、世界にもいることを知ってもらう機会になる。それが日本の競争力を高めることになる。クラブでも全国を目指すことで、いい指導者が増えていく。部活は専門外の顧問がおり、十分な指導を受けられない部員もおり、強化的にもプラスになる。また一発勝負のトーナメントができることもリーグ戦とは異なる緊張感の経験ができる」と、JBAで強化育成を担当する山本明さんは語る。

そして、勝利だけを追求するわけでなく、競技本来の楽しさ、面白さを実感できるなど、この世代で大事にすることを求めていく。

今大会は初の有観客開催で入場も無料。「より質の高い競技環境になり、それを多くのお客さんが熱狂して見ているという環境になればいい」と山本さんは将来を見つめる。

ここから将来の日本代表に育つ選手を見られるかもしれない。中学生世代の最も熱い戦いがいよいよ幕を開ける。

(取材/4years.・浅野有美、LiveA!・宮崎勇作、井上翔太)

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