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大黒柱・渡邊雄太の合流はチームにいい影響を与えている ©︎JBA

バスケ男子日本代表、最終メンバー12人に選ばれるのは? W杯へ東京で国際強化試合

2023.08.15

8月25日から沖縄で開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」まで、あと10日となった。男子日本代表チームは、15~19日に東京・有明アリーナで行われる国際強化試合を経て本番に臨む。トム・ホーバス・ヘッドコーチ(HC)が自信を持って語るチームの成長、強化試合に向けた選手たちの意気込みを紹介する。

ホーバスHC「2年前のチームとは全然違う」

7月初旬からチャイニーズタイペイ、韓国、ニュージーランドを相手に強化試合を行ってきた男子日本代表チーム。8月15~19日の最後の国際強化試合(アンゴラ、フランス、スロベニアと対戦)を経て本番に臨むことになる。最終メンバーはここで12人に絞られる。その選考にはホーバスHCも頭を悩ませているらしい。

「各ポジションに50:50の選手が何人もいます。それぞれ武器となるものがあるし、何より全員が高いインテンシティを持っている。私が(日本代表の)HCになった2年前のチームとは全然違いますよ。気持ちも自信も全然違います」

最終メンバーに誰を選ぶのか、指揮官も頭を悩ませる ©︎JBA

アメリカから渡邊雄太が合流、深まる結束

ホーバスHCが語ったチームの変化については、7月28日にアメリカから合流した渡邊雄太(NBAフェニックス・サンズ)も同じ感想を持っているようだ。

「正直、昔は選手間の競争というか、練習がちょっと緩いなと感じることも少なくなかったんですが、今はもうそんな心配は一切ありません。(最終メンバーに)誰が残っても落ちても不思議じゃない状況の中で、今の練習にはいい意味でピリピリした緊張感があります。でも、そのピリピリした状況をみんなで楽しめているような雰囲気があるんですね。それはすごいことです」

渡邊自身はコンディション調整の必要もあり、来日後のニュージーランド戦は不出場だったが、ペンチから大声で仲間を鼓舞する姿はこれまで通り。とりわけ印象深かったのは第2戦終了後、調子がいまひとつだった富永啓生(アメリカ・ネブラスカ大学)に熱心にアバイスする姿だ。

「代表歴が長く、大舞台もたくさん経験している雄太さんから学ぶことはいっぱいあります。コート内でも外でもいろんなことを吸収していきたいと思っているのは僕だけではないはずです」という富永の言葉からは新たな大黒柱を得て、さらに結束を深めるチームの姿が伝わってきた。

合流直後の強化合宿で報道陣の取材に応じる渡邊雄太

持ち味を存分に発揮する代表選手たち

あらためて15人のメンバーに目をやれば、直近の2021年の世界大会に出場したのは渡邊雄太、最年長の比江島慎(宇都宮ブレックス)、司令塔の富樫勇樹(千葉ジェッツ)、海外組の馬場雄大、渡邉飛勇(琉球ゴールデンキングス)の5人のみ。新しい10人は、「サイズよりもスピードを求め、高確率な3ポイントとタフなディフェンスで勝負する」というホーバスHCのバスケットスタイルにマッチする選手として招集された。

特筆すべきはその一人ひとりが代表合宿を通して自分の持ち味をしっかり自覚し着実に成長していったことである。

アンダーカテゴリーの日本代表の常連でありながら、フル代表では毎回候補止まりだった西田優大(シーホース三河)はホーバスジャパンで念願のロスター入りを果たすと、昨年のアジア地区予選Window2(チャイニーズタイペイ戦)でチームハイの27得点をマーク。さらにフィジカルなディフェンスとピック&ロールのハンドラーまでこなす能力を買われ、今ではポイントガードの役割を担うまでになった。

196cmのオールラウンダー吉井裕鷹(アルバルク東京)も、精度の高い3&Dで流れを呼び込む須田侑太郎(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)も、期待の若手、金近簾(千葉ジェッツ)も、ホーバスHCに見いだされ、初の代表の座を勝ち取った選手だ。

高確率の3ポイントを武器とする201cmの井上宗一郎(越谷アルファ―ズ)然(しか)り、ゴール下で身体を張り続ける川真田紘也(滋賀レイクス)然り、力強く執拗(しつよう)なディフェンスで相手を追い詰める原修太(千葉ジェッツ)然り、ホーバスHCの下でチャンスをつかんだ選手たちは、それぞれの持ち味を存分に発揮している。

存在感を増している川真田紘也 ©︎JBA

河村勇輝ら“新しい選手たち”がチームに刺激

その代表格と言えるのが昨シーズンのBリーグMVPにも輝いた河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)だろう。

河村の代表デビューは、昨年7月に行われたワールドカップアジア予選Window3。初の代表入りについて、「大型化が進んでハーフコートオフェンスが主流だった(日本代表の)バスケが、トムさんがHCになりオールコートでスピーディーな展開を目指すバスケへと変わったことで自分にもチャンスが巡ってきました」と語った河村だが、スピード、パスセンス、ゲームコントロール力などポイントガードとしての優れた資質はすでに折り紙付き。そこにホーバスHCが求める3ポイントシュートの積極性が加わったことでさらなる飛躍を遂げた。

「前線からのプレッシャーディフェンスで相手の体力を削り、自分の強みでもあるペイントアタックで少しでもボールをリングの近くに持っていくこと」と、自分の役割を明確に語る河村には劣勢を覆すゲームチェンジャーとしての期待も大きい。

こうした“新しい選手たち”の台頭が先述した5人の選手の刺激にならないはずがない。「今回1勝もできなかったら(代表を)引退する覚悟で臨む」という渡邊雄太の声が聞こえてくる中、比江島や馬場がコートで見せる表情にもすごみが増してきたような気がする。

飛躍を遂げた河村勇輝 ©︎JBA

キャプテン・富樫勇樹「全員で向かっていく自信がある」

FIBA世界ランキング36位の日本が戦う第1ラウンドEグループに名を連ねるのは、同11位のドイツ、24位のフィンランド、3位のオーストラリアといずれも格上のチーム。厳しい戦いになるのは必至だろう。だが、「それは全員が承知していること」とキャプテンの富樫は言う。

「あたりまえですが、アジアで戦うのと世界で戦うのは格段の差があります。ヨーロッパやオーストラリアと勝負するには日本がやるべきことをやり抜き、相手にやりたいことをやらせない。それを徹底するしかない。その上で自分たちが得意としているトランジションバスケットをいかに展開できるかにかかっていると思います。簡単にできるチャレンジではないことはわかっていますが、今は全員が同じ方向に進んでいる実感があるし、最終的にどんなメンバーになろうと全員で向かっていく自信はあります」

キャプテン・富樫勇樹はどうチームを引っ張っていくか ©︎JBA

日本が掲げる目標は、「まずは世界で1勝」と「アジアで1位になり、2024年世界大会の切符を獲得すること」だ。

世界ランキング5位のフランス、7位のスロベニアと対戦する有明大会は、自分たちの可能性を試す貴重な強化試合になるはずだ。股関節のけがが心配されたジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)については、万一に備えて急きょルークエヴァンス(ファイティングイーグルス名古屋)が招集されたが、「ジョシュが出られることはほぼ間違いないだろう」とホーバスHC。そうなればようやく渡邊雄太も含めた「フル代表」のお披露目となる。そして、有明から沖縄までの最後の10日間。ホーバスHCは「しっかり準備をし、100%のチーム力で本番に臨むつもりだ」と胸を張った。

その力強い言葉に高まる気持ちを感じながら、さぁ、いよいよワールドカップへのカウントダウンが始まる。

 

SoftBank CUP 2023 (東京大会)
「バスケットボール男子日本代表国際強化試合 2023東京大会」
2023年8月15日(火) vs 男子アンゴラ代表(41位) TIPOFF 19:00
2023年8月17日(木) vs 男子フランス代表(5位) TIPOFF 19:00
2023年8月19日(土) vs 男子スロベニア代表(7位)TIPOFF 15:00 
※カッコ内はFIBAランキング(2023年2月27日現在)

「バスケットボール男子国際試合2023 東京大会」
2023年8月20日(日) 男子フランス代表 vs 男子オーストラリア代表 TIPOFF 13:00(予定)

場所はいずれも有明アリーナ(東京都江東区有明1丁目11番1号)

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