八村塁、渡邊雄太に続け! アメリカの短大で修行中の富永啓生が描くNBAへの道
昨秋からバスケットボールの本場・米国へ渡り、将来のNBA(米プロバスケット)入りを目指して腕を磨いている19歳の富永啓生(けいせい)が6月下旬、オンライン取材に応じた。米テキサス州での生活をはじめ、八村塁(ウィザーズ)や渡邊雄太(グリズリーズ)に続くための今後の課題などを語った。
レンジャー短大で31試合に出場、1試合16.8点
「最初はパスがもらえない日々が続いて。一つのミスが命取りだと思い、1本1本のシュートを大事に打った」。富永が所属するレンジャー短大は、2018-19年の短大リーグで全米2位の強豪。「自分が自分が、という我の強さが必要になるところもあって、練習中はケンカみたいになることもあった」と振り返る。その中でもシュートを確実に決めることでチームメートの信頼を少しずつ勝ち取り、今季は31試合に出場して1試合平均16.8得点。得意のスリーポイントシュートでは成功率47.9%の好成績を残した。「キャッチからシュートの精度は成長したと思う」と手応えを語る。
2人の先輩の存在も励みに
残念ながら新型コロナウイルスの影響でシーズンは中断となり、全米トーナメントが開催されることはなかった。それでも、「止められない選手になれるよう、2年目はスリーポイントシュートだけでなく、ドライブなどで得点パターンを増やしていきたい」と前を向く。東京オリンピックの開催が1年延期になったこともチャンスととらえ、「自分がもっと成長できる時間が増えた。やっぱり出たいなっていう気持ちは強いので、頑張って出場できるレベルまでいきたい」と意気込む。
心の支えになっているのは、一足先に夢舞台での活躍を実現している八村や渡邊の存在だ。練習の合間も先輩たちの試合をチェックし、「日本人でも戦えるんだっていうのを感じて、すごく勇気づけられた」と語る。
来秋にはネブラスカ大学へ
実際、自身の歩みもしっかりと進めている。1年目の活躍が全米大学体育協会(NCAA)のネブラスカ大首脳陣の目にとまり、来秋の進学が決まったのだ。同校はNCAAの中でも強豪がひしめくBIG10カンファレンスに所属し、数々のNBAドラフト候補も輩出している。身長185cmの左利きシューターは、「チャンスをつかみ取ってチームの得点源として活躍したい。NBA行きにつなげられるように頑張りたい」。八村や渡邊もNCAA強豪での活動を経て現在の契約を勝ち取っていることから、進学は大きな一歩と言える。
丸刈りスタイル変えずに挑戦
もちろん、環境の変化に苦労したこともあった。「やっぱり語学のところ。最初は本当にコミュニケーションが全然取れなかった」と振り返る。ただ、少しずつ上達し、プレーで落ち込んだ時はチームメートと話すことで乗り越えてきたという。「もっと英語力を上げて、食事も栄養面のことを考えてやっていけるようにしたい」と目標を掲げる。
一方、トレードマークの丸刈りについては「変える予定はありません」。桜丘高校(愛知)3年時の全国高校選手権(ウインターカップ)では、留学生を抑えて総得点1位の座を奪い、チームを3位に導いた。その時から変わらぬスタイルで、米国での修行を極めるつもりだ。
富永は5月1日に一時帰国し、7月中旬に再び米国に渡る予定。日本滞在中には、自身と同じく米国に留学中のバスケットボール女子・今野紀花(ルイビル大)との対談にも参加した。その模様は、7月3、4日に日本協会の公式ユーチューブで配信される予定。