Jr.ウインターカップの魅力を伝えるJBAの三屋裕子会長
中学生年代の日本一を決める「Jr.(ジュニア)ウインターカップ2022-23(2022年度第3回全国U15バスケットボール選手権大会)」が1月4~8日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で行われる。12月中旬、主催する日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長や、大会の盛り上げを支える京王グループが、大会を応援する府中市、調布市を表敬訪問し、大会の魅力をアピールした。開幕を前に大会の意義や連携について関係者に聞いた。
JBAの三屋会長「新しいコンセプトの大会」
Jr.ウインターカップは15歳以下の日本一を決める大会として、2020年に新たに創設された。中学校のバスケットボール部だけではなく、街クラブ、Bリーグのユースチームと、それぞれ違うバックグラウンドを持つ選手たちが集まり、文字通りに年代別最強チームの座を争う大会だ。
府中市の高野律雄市長、調布市の長友貴樹市長に、JBAの三屋会長はこうした背景を説明。「まったく新しいコンセプトの大会です。いろいろな形態でバスケットボールに取り組んでいる選手たちに楽しんでもらえる場を提供しようと始めました」と、日本のバスケ界の新たな可能性を開く大会であることを強調した。
東京2020オリンピックでの女子日本代表の銀メダル獲得の話題になると、三屋会長は「代表チームの力を磨くにあたり、人材の供給がないとサスティナブルな強化はできません。底辺が大きくなることで、頂点も高くなっていきます」と、若年代が競技に親しむ重要性を語った。
さらに「日本の競技人口は男子が55%、女子は45%と、世界的にも珍しいほど男女比で均衡が取れています。男女分け隔てなく親しまれているのが日本のバスケットボールです」と、今大会も男女のチームが参加する競技の魅力を紹介した。
スポーツが盛んな府中市と調布市
大会を応援する府中市と調布市は、もともとスポーツが盛んな土地だ。
高野市長は「Bリーグのアルバルク東京の選手が府中市内で練習しているということは誇りですし、子どもたちのスクールも開催されています。府中市ではミニバスケットボールが盛んに行われていて、熱心な指導者のもと、子どもたちが一生懸命練習に取り組んでいます。バスケットボールに関わる子どもたちが、夢や希望を持っていると思いますので、できる限りサポートしたいと考えています」と話した。
調布市では、2019年にラグビーのワールドカップで日本代表が初戦を戦うなど、数試合が開催された。今大会の会場となる武蔵野の森総合スポーツプラザでも、東京2020オリンピックではバドミントンなど数競技、東京2020パラリンピックでは車いすバスケットボールが行われ、国際大会の舞台にもなってきた。
長友市長は、「調布市では、ラグビーワールドカップ及び東京オリンピック・パラリンピックの両大会のレガシーの継承・発展を目指し、スポーツを通じたまちづくりを推進しています。武蔵野の森総合スポーツプラザは、隣接する味の素スタジアムなどとともに、多摩地域の一大スポーツ拠点となっています。本連携を通じて、調布市のみならず多摩地域全体の振興につながることを期待しています」と語った。
記念乗車券やポスター、京王グループが盛り上げ
こうした関係者の思いをつなぐのが、京王グループだ。京王電鉄株式会社や京王観光株式会社など、運輸業やレジャー・サービス業といった多角的な事業展開をしている。
コロナ禍で過去2回のJr.ウインターカップは無観客開催。同時期、京王線の利用者や地域の経済・観光も大きく落ち込んだ。その状況の中で、JBAが掲げる「バスケで日本を元気に」という考えに共感した。
京王電鉄戦略推進本部の二羽信介沿線価値創造部長は、「今回、初めて有観客での開催となり、JBAや自治体など地域の関係者、京王と一緒に取り組むことにより、『バスケットボールを通じた沿線の活性化(=元気)』、具体的には、沿線におけるバスケットボールの活性化、地域経済・観光の活性化、移動創出につなげて行きたいと考えています」と力強く語る。
京王線は東京都心から八王子まで続くレールが、地域の人々を結び付けている。大会期間中は、京王線の駅構内のデジタルサイネージや列車内の中吊りポスター、記念乗車券、ヘッドマーク付き電車の運行など、バスケットボールの魅力を発信するとともに、大会チラシの配布や観光、飲食を紹介するマップの作成など、市民の興味・関心を引き出し、大会会場や京王線沿線、自治体の魅力を高めたいと考えている。
「今大会は、府中市、調布市、京王を中心に取り組みましたが、今後は、この取り組みを沿線全域に拡大し、Jr.ウインターカップに関わる人をどんどん増やして行きたいと考えています」(二羽部長)と、大きな夢の下地を準備する構えだ。
代表チームの強化には底辺拡大が不可欠であると話していた三屋会長も、「バスケファミリーの拡大を念頭に置いています。する人と見る人だけではなく、支える人をいかに増やしていくかが重要です。市民の方々を巻き込んで、一緒に大きなウェーブになるような働きかけをしていただければと思います」と、市長2人に協力を求めた。
バスケットボール・ファミリーの一員に
まだ2回しか行われていない大会だが、着実に可能性を示している。2年前の第1回大会でNLG INFINITYのエースとしてチームを準優勝に導いた、福岡大大濠高校2年の川島悠翔は今年の「FIBA U16アジア選手権2022」の大会MVPに選ばれた。また、四日市メリノール学院中学校3年時に大会制覇に貢献した桜花学園高校2年の福王伶奈は、身長192センチの大型センターで、今年の日本代表候補合宿に高校生で唯一参加した。
こうした有力選手がこの大会から輩出され、強豪の高校を経て成長し、将来の日本代表になることが期待されている。
三屋会長は、「Jr.ウインターカップからウインターカップ、さらにその先へと続くストーリーをつくっていきたいんです。この大会はタレント発掘の場でもあります。将来、日本代表で活躍する人材を見つけられるかもしれません。また、見に来た子どもたちがあの舞台に立ちたいと思ってくれたらうれしいです」と、様々な楽しみ方があることを強調した。
府中市の高野市長は、「三屋会長より、『バスケファミリーの拡大』ということで、『する人』『見る人』だけでなく『支える人』をいかにつくるかが課題であり、審判は12歳、指導者は15歳からライセンスを取れるように制度を構築したと伺いました。府中市でも、スポーツ施策を『そだち・そだてる』『する』『みる』『ささえる』という視点で推進しているので、教えていただいたバスケットボールでの取り組みを、様々なスポーツ活動で参考にさせていただきたいです」と、将来の展望も語った。
調布市の長友市長は、「ハイレベルな試合を間近で観ることは、子どもたちにとって非常に貴重な体験になると考えます。冬休み期間となるので、ぜひ多くの子どもたちに観戦に行ってもらいたいと思います。できるだけ多くの方に皆さまの活躍を見ていただき、また応援していただくよう、市としても全力で支援させていただきますので、これまでの練習の成果を発揮し、素晴らしい試合が展開されることを願っています」と、選手たちへエールを送った。
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