ラクロス

明治大ラクロス部・内野彩香 紫合戦敗北「4年生の思いを背負って」来年の飛躍を誓う

オフェンスの中心として決勝戦もチームをけん引した内野彩香

関東学生ラクロス2020特別大会女子1部 決勝

11月29日@東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場
明治大(B1位)5-6 立教大(D1位)

ラクロスの関東特別大会、女子1部決勝の舞台は宿敵・立教大との一戦。昨年も全国大会出場を懸けた関東決勝で対戦し、敗北。そのまま立大は日本一の座に輝いた。「4年間一度も勝てていない」と語る佐藤啓主将(4年、星稜)。打倒立大を掲げて、戦い続けた今シーズン。明治大にとって絶対に負けられない一戦となった。

後半に見せた猛追も、最後の最後に勝利を逃す

劇的な勝利、になるはずだった。互いに無得点のまま迎えた第2クオーター(Q)9分。ディフェンスの間を抜くシュートを打たれ、立大に先制点を許す。その後もドローやグラウンドボールで競り負け、ポゼッションを立大に許す不利な展開が続く。第2Qで計4点を奪われ、絶望的な状況で前半を終えた。

ハーフタイム中、後半の作戦を確認するメンバー

しかしハーフタイム終了後、流れは明大の攻勢へと変わる。「ドローの周りを3人で固めた」(佐藤)。徐々にボールを保持する時間を生み出し、第3Q7分。アタッカー(AT)佐藤が放ったシュートのこぼれ球をAT内野彩香(3年、県立所沢北)が押し込み、1点を返すと、ここから反撃ののろしが上がる。

1点目を獲得し、喜び合う内野(左)と鈴木夢乃(3年、昭和学院)

流れに乗った明大は、その後もポゼッションを獲得しミッドフィルダー(MF)藤村麻伊(2年、県立川和)が相手ディフェンスに囲まれながらもシュートを放ち2点差に詰めた。 

勢いは第4Qに入っても止まらない。開始7分、内野がこの日2得点目を決めて1点差。さらにAT岡部夏奈子(4年、日大第三)のシュートで同点に。そして第4Q12分の場面。相手ファールからフリーシュートのチャンスを得ると、佐藤がしっかりと決め、逆転に成功。試合終了のホイッスルも目前に迫り、誰もが勝利を確信していた。 

この日2得点目を記録し、佐藤と抱き合う内野

だが終了2分前、ゴール前でMF假屋笑佳(4年、鹿児島中央)がパスカットしたボールを拾われると、そのまま押し込まれて同点に。試合は延長戦へと突入した。

迎えた延長戦は1点を先取したほうが勝利するサドンデス形式。開始直後、立大にドローを奪われると、右サイドからシュートを決められて試合終了。雪辱を果たすことはできず、明大は準優勝で特別大会を締めくくった。

攻撃の要だからこそ、悔しさがあった

「勝てる試合だった」。試合を終えて、内野はこう振り返った。大会を通して得点源として活躍した内野。前試合のファイナル4日本体育大戦では5得点をマーク。今試合でも2得点と持ち前の攻撃力を発揮した。

元々は小中と野球部に所属。高校でもソフトボール部の主将として、初心者の多いチームをまとめ上げた。大学でもソフトボールを続けることを考えていたが、「人の熱さに引かれた」。ラクロス部に所属する先輩たちの熱意に魅了されて入部を決意した。

さらに決め手となったのは「日本代表や日本一を目指せる」という文句。初心者からでもトップレベルを目指せるため、「成長できる」と考えた。入部してから一心不乱にラクロスに打ち込み、2年次には第9回APLUアジアパシフィック選手権の日本代表に選出されるほどに成長。日の丸を背負い、日本トップレベルの選手たちと共に戦い抜いた。「自分の得意技ってなんだろうとか、学ぶためのきっかけになった」。

迎えた3年目のシーズン。新型コロナウイルスによる活動自粛期間では「自分って弱いんだなと感じた」。一人の時間が増えることで、仲間の大事さを痛感した。チームメートがいるから自分は頑張れる。今まで気づけなかった「当たり前」を再認識することで「今年のチームがあるし、今の自分がある」。活動再開後は仲間と共に練習できる喜びをかみ締め、練習に励んだ。  

特別大会では熱で欠場した初戦を除き、全ての試合でマルチ得点の活躍。「4年生を笑顔で終わらせたい」。そう意気込んで臨んだ決勝だったが、惜しくも敗戦。「勝てると思ったからこそ、本当に悔しい」。昨年も主力として立大戦に出場していたからこそ、味わった2年連続の屈辱。人一倍、敗戦の悔しさを感じていた。

全員が成長するチームへ

来年の目標はもちろん、立大の打倒。そして内野自身がラクロスを始めてからの目標である日本一の舞台に立つこと。

無念を晴らすため再起を誓う

「基礎技術が足りていない」。立大戦でも要所でチーム内のパスミスやグラウンドボールで競り負ける姿が見られた。「徹底的にこだわっていきたい」。今回の反省は来年へとつなげる。さらには戦術面で「ラクロスIQを高めていきたい」。海外や他大学のプレーを動画で確認し、新たな戦術を見出していく。「どうやったらできないことができるようになるのか、見て学んで、考えていきたい」。

また来年は4年生として、チームをまとめる立場となる。「自分もまだ初心者なので、みんなで目の前のできないことをできるようにして、みんなでできるようにしたい」と語る。高校時代にも経験したチームづくりで「一人ひとりが成長できるチーム」に。一つの終わりと共に、また新たな世代が幕を開ける。