陸上・駅伝

桐生祥秀が語る、陸上へ打ち込む情熱 「走ることが嫌になったことはない」

アスリートとして生きるということは、ただひたすらに自らの心身と向き合いながら競技に打ち込んでいく日々の積み重ねである。2017年9月9日、第86回天皇賜盃日本学生陸上競技選手権大会の男子100メートル決勝において、日本人初の9秒台となる9秒98をマークした桐生祥秀(きりゅう・よしひで)選手(日本生命所属)。「誰よりも速く走る」ことに野心を燃やす桐生選手に対し、どのように日々の練習に打ち込んでいるのか、そしてトップアスリートとして活躍し続ける秘訣を伺った。

ルーティンはない。それに頼りたくはない

トップアスリートの中にはルーティンを取り入れている選手がいる。試合や練習に臨む際、お決まりの動作や所作をすることで、良いパフォーマンスが引き出せるというのが主な理由だ。桐生選手はそれをしない。興味がないと言わんばかりにこう言った。「ルーティンはないですね。それがなくなった時に良いパフォーマンスが出せなくなってしまいそうなので」。あくまで、自然体で出た力にすべてを託しているのだ。

普段どのようにトレーニングしているのかを聞いた。「喋らずにガチガチに練習するのは性に合っていなくて、リラックスしながら練習しています。走る前は集中しないとケガをしてしまうので、そのあたりはメリハリをつけていますね。練習をしていてコンディションが悪いときは、コーチに『今日は厳しいです』って言うときもあって『さらっとやって帰ろう』という場合もあります。そういう状況で練習を続けてもタイムは落ちるだけですし、ケガのリスクも高まりますからね」

陸上の練習に割かれるのは1日のうち3、4時間ほど。その間はとことん競技に集中するが、練習が終われば競技のことはできるだけ考えないようにしているという。365日、陸上浸けの毎日を送るのではなく、プライベートの時間は大切な仲間と過ごしたり、休息に充てたりと、自由な時間を満喫する。それが、桐生選手のスタイルだ。

走ることは日常。嫌になったことはない

高校3年時の2013年4月、織田記念陸上で当時の日本歴代2位となる10秒01を記録。その後の約4年間、このタイムを上回れずにいたが、自然体を貫いてきた。

「僕は良いことも悪いことも引きずりません。0.01秒を縮めていこうとするなかで、記録が伸びない時期は必ず訪れます。でもそこで『ああすればよかった、こうすればよかった』と、ネガティブには考えません。たとえ悪い結果に終わっても、『次に良いタイムを出すにはどうすればいいか』と考えて、今日まで陸上を続けてきました」

桐生選手は中学に入るまでサッカーをやっていた。そこから短距離走へと切り替わった理由の一つは「自分自身の成長の度合いが測れる」という点。自らに合った練習を続けていけばタイムが上がる。陸上競技ではそうした成功体験を得られた。だからこそこう言い切る。「僕にとって走ることは日常生活の一部です。これまでの人生で走ることが嫌になったことは、一度もありません」

記録の更新は大きなモチベーションの一つだそうだ。誰よりも速くゴールテープを切ることに全精力を注いでいるのは、昔も今も変わらない。

「『(17年に記録した)9秒98を上回りたい』という気持ちは、これまでずっと心に持ち続けて練習してきました。記録に対するこだわりがなくなったら、現役生活を辞めますね」

教え子から「桐生祥秀を超える選手」が出てきてほしい

国内外で幾多の大舞台に立ち続けてきた桐生選手。良い走りができるかどうかは、緊張感の有無が関わってくるのだと言う。「心臓がバクバク、ドキドキしているようなときは、非日常の緊張感が生まれるせいか、良い記録が生まれることが多いです。反対に緊張感がないときは、日常生活の延長線上のような平凡な気持ちのままなので、凡庸な結果に終わりがちですね」

桐生選手の中に緊張感を生み出すものはさまざまある。その一つが周囲からの視線だ。日本を代表するスプリンターである彼には、日頃から多くのファンやメディアから熱い視線が注がれている。注目されることは「このうえなく光栄」で、中でも子どもたちからの声援は特別だと語る。将来、トップアスリートを目指す子どもたちへ指導する機会もあるそうだが、その場では良い見本になれるように考えている。桐生選手の視線は夢を持つ子どもたちの未来へと向いているのだ。

「僕が教えたことを活かして『桐生祥秀を超える選手』が出てきてほしいと願いつつ、子どもたちの『がんばってください』という声援を力に変えて、この先も良い記録が出せるようにチャレンジを続けていきたいです」

一年中同じ言葉を発していたら成長しない

100メートル走のスプリンターとして第一線で活躍し続けるには、周囲のサポートが不可欠だ。ウェアなどの身につける物はもちろん、指導するコーチや体をケアするトレーナーの存在も欠かせないと、言葉に力を込めて言った。

「コーチやトレーナーといったいろんな人が支えてきてくれたからこそ、ここまで来られていると思います。練習の時に僕自身が走っていても、第三者から見ないと分からないということもある。だから、一人ではできないですね」

桐生選手はこれまで、不安も、達成感もすべて味わいながら短距離界のトップを走り続けてきた。この先もその歩みは止めない。それは誰よりも速くなるために、そして将来、思い描くビジョンのためでもある。

「引退してからジムや陸上教室を設立するのが、夢であり目標です。そのためにはさらなる活躍を続けて、桐生祥秀の価値を、格段に高めていかなければならない」と桐生選手は語る。

「一年中同じ言葉を発したくないですし、語ることが変わっていかないと成長しない」と言う桐生選手がこの先、どこまで進化するのか楽しみでならない。

デザイン、機能性に優れた魅惑のアイテム「F-14SPシリーズ」

競技に打ち込む上で、あらゆるサポートが欠かせないと考える桐生選手。日々のトレーニングや試合前のアップ時には、集中力を高めるためにサングラスを装着する。桐生選手のように、各スポーツ分野の発展のために情熱を注ぐアスリートたちの視環境やその思いを支えているのが純国産のアイウェアブランド「999.9」(フォーナインズ)だ。

フォーナインズでは、眼鏡やサングラスなどの提供、さらにはアスリートの視覚機能を評価・分析し、向上をサポートする「フォーナインズ ビジョンラボ」、これらすべての取り組みを「フォーナインズ スピリットサポート」として行なっている。今年の春に発表された「F-14SPシリーズ」は、スポーツサングラスとしての機能性はもとより、街中でも気軽に掛けられるデザイン性を備えた魅惑のアイテムだ。桐生選手もその高い機能性やデザイン性にお墨付きを与えた。

「サングラスは結構好きで5つくらい持っているんですけど、プライベートで遊びに行くときはブルー系のサングラスをかけていることが多いです。僕はスポーツタイプのサングラスはあまり好きではないのですが、このサングラスは私服に合わせて掛けられるのがいいですね。練習で装着しましたが、走ってもずれることはありませんし、光だけカットされて、強い陽射しのなかでも掛け心地がいいですね」

陸上やプライベートにとことん打ち込み、大舞台で日本記録をさらに上回る記録を出す――。近い将来、日本、ひいては世界の人たちに大きな衝撃を与えてくれるだろう。

インフォメーション

純国産のアイウェアブランド999.9(フォーナインズ)のサングラス、999.9 feelsun(フォーナインズ・フィールサン)から今年発表された「F-14SPシリーズ」。スポーツシーンでの快適な掛け心地はもちろん、そのまま街でもかけられるスタイリッシュなデザインが特徴だ。

上段左 F-14SP col.00 クリア/レンズカラー:ミドルスモーク
下段左 F-15SP col.88 クリスタルスモーク/レンズカラー:ミドルスモーク
上段右 F-16SP col.52 ブルーグレー/レンズカラー:ミドルスモーク
下段右 安定感と高いフィット感が得られる独自構造のテンプル。左テンプルには、ブランドのロゴが際立つ。
「F-14SPシリーズ」3型各5色展開 \20,000(税別)

F-14SPシリーズ その他のカラーなど詳しくはこちら

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