大学アメフト

特集:第74回甲子園ボウル

関学が早稲田を下し、2年連続30度目の優勝 鳥内秀晃監督の「ラスト甲子園」飾る

選手たちに呼ばれ、鳥内監督が記念撮影の真ん中に入った(撮影・北川直樹)

アメフト全日本大学選手権決勝・第74回甲子園ボウル

1215日@阪神甲子園球場
関西学院大(西日本代表、関西2位)38-28 早稲田大(東日本代表、関東)

アメフトの甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝)があり、関西学院大が2年連続30度目の学生日本一に輝いた。早稲田大を38-28で下した。早稲田は6度目の甲子園ボウルでも初優勝はならなかった。関学は第3クオーター(Q)終盤に27-28とひっくり返されたが、第4Qにランを中心に攻めて逆転した。甲子園ボウル最優秀選手には関学のWR(ワイドレシーバー)阿部拓朗(4年、池田)、敢闘選手には早稲田のWRブレナン翼(4年、ユニバーシティラボラトリースクール)が選ばれ、年間最優秀選手(ミルズ杯)には、立命館大のQB荒木優也(4年、立命館守山)が選ばれた。

関学WR阿部がマンツーマン勝負を制して10捕球

関学は最初の攻撃シリーズでキッカー安藤亘祐(4年、関西学院)が46ydのフィールドゴール(FG)を成功させた。3-0。第2Qは激しい点の取り合いとなった。開始早々に早稲田のQB(クオーターバック)吉村優(3年、早稲田実)がゴール前2ydから自ら持ち込んでタッチダウン(TD)。3-7となった。直後の関学のオフェンスでQB奥野耕世(3年、関西学院)がWR阿部へ8ydのTDパスを通し、10-7とした。次のシリーズでも奥野から阿部へのパスが冴え渡り、第2Q11分すぎに4ydのTDパスを決めて17-7。阿部は関学の大先輩である堀古英司さんのレシーブ回数の大会記録15回(第40回大会)は超えられなかったが、10回の捕球で135ydを稼いだ。

関学のWR阿部は10回のキャッチで135ydを稼ぎ、二つのタッチダウン(撮影・北川直樹)
「今日はマンツーマンに勝てました」と関学のWR阿部(撮影・安本夏望)

早稲田は第2Q13分すぎにQB柴崎哲平(4年、早大学院)がWRブレナンへロングパスを通し、これが55ydのTDパスに。17-14。早稲田は、直後のキックオフでオンサイドキックに出たが、決まらず。関学にゴール前46ydからのオフェンスをプレゼントしてしまった。関学は安藤が29ydのFGを決め、試合を20-14で折り返した。

WRブレナンは6回のキャッチで129ydを稼ぎ、三つのタッチダウン(撮影・北川直樹)

早稲田の誇る柴崎・ブレナンのホットラインさく裂

関学は後半最初の敵陣42ydからのオフェンスで一発TD。RB(ランニングバック)前田公昭(2年、関西学院)が右のオフタックル付近を抜け、左へカットバック。味方のブロックを生かしてエンドゾーンまで駆け抜けた。27-14だ。ここから早稲田は柴崎とブレナンのホットラインで2連続TD。27-28になった。ブレナンはこの日のTDレシーブ回数が3回となり、歴代最多記録に並んだ。関学は真ん中の奥を狙われた。けが人が相次ぎ、弱くなったエリアを突かれた。「しんどい状況が続いてました。むちゃくちゃいかれてたけど、その中でも全員よくやってくれたと思います」と、関学の副将でDBの畑中皓貴(4年、滝川)。もともと畑中のポジションだが、けがで戦列を離れているだけに、これ以上の得点を許さなかった仲間に感謝した。

ランランランで突き放した関学

関学は1点を追う第4Q6分すぎに攻め込み、RB前田がゴール前1ydから中央をダイブしてTD。定石通り2点コンバージョンに出て、カウンターのランで成功。35-28とした。前田は
次のシリーズでもロングゲイン。安藤のFG成功で38-28とし、このまま勝った。前田は10回のランでチームトップの119ydを走った。「OL(オフェンスライン)を信じてました。OLが最後までブロックして、(走路を)空けてくれた。助けてあげたいと思ってました。自信になりましたね」と、誇らしげに語った。
関学は来年1月3日の日本選手権・第73回ライスボウルで、16日に決まる社会人Xリーグ王者に挑戦する。これが今シーズン限りでの退任を表明している鳥内秀晃監督(61)のラストゲームになる。

2回生のRB前田は10回のランで119ydを駆け抜け、二つのタッチダウン(撮影・安本夏望)

関学・鳥内秀晃監督の話
「ディフェンスは向こうのホットラインに手を焼いたけど、よう修正した。主役は学生や。勝ててよかったで。あの笑顔を見るために、俺も毎年頑張ってる。報われたな。4年には昨日、『最後の学生との試合やから意地見せろ』って言いました。阿部のキャッチもそうやけど、執念が違いますわな。記念撮影は呼ばれたから入っただけや。笑わなしゃあないがな。いつもは呼んでくれへんから、入られへん。甲子園ボウルはたくさんのファンの声援がある。こういうところでできるのは、うれしいわな。そこでどういうプレーを見せたいねん、ちゅうことや。それが一番のポイントちゃいます? 次でラストいうたって、別に感慨もないわ。やっと終わるわ。ホッとするで」

「ほんまに、よかった」。主将の寺岡(右)の言葉に、腕を突き上げて叫ぶ関学の選手たち(撮影・北川直樹)

早稲田・池田直人主将(4年、早大学院)の話
「自分たちのやりたいことができた部分もありましたけど、38点取られてしまったので、もっともっと詰めておかないといけなかったと感じました。後半最初にタッチダウンをとられたプレーは、交代のミスで10人でやってしまった。十分に注意してやってきたつもりだったのに、そういったミスが出てしまうのは課題だ思います。28-27になったときに、さらに取りに行くようなアグレッシブさが必要でしたが、そこで関学に取り返されてしまったので、勝つ文化という意味でもまだまだ意識が足りないと感じました。取り組み自体は間違っていないという手応えもあった。これまでは圧倒的に負けすぎて試合を楽しめてなかったんですけど、今日は『甲子園楽しい』っていう声が試合中に出てました。着実に成長できてるなという実感がありました」

6度目の甲子園ボウルでも勝てず、ぼうぜんとする早稲田の選手たち(撮影・安本夏望)