アメフト

立命館宇治高がクリスマスボウル初V、「4度目の正直」で佼成学園の4連覇阻む

雨が降っていたため、立命館宇治の選手たちは屋内の控室に入ってから喜びを爆発させた(撮影・篠原大輔)

アメフト第50回全国高校選手権決勝・クリスマスボウル

 12月22日@横浜スタジアム
立命館宇治(関西、京都1位)18-7 佼成学園(関東、東京1位)

アメフトの高校日本一を決めるクリスマスボウルが1222日にあり、4回目の出場となった立命館宇治が18-7で佼成学園を下し、悲願の初優勝を飾った。佼成学園の3年生はこれが入学以来、公式戦で喫した初の敗戦。史上4校目の4連覇はならなかった。最優秀ラインマン賞には立命館宇治のDL角本陸(3年)、最優秀バックス賞には立命館宇治のWR関口温暉(同)が選ばれた。敢闘賞は佼成学園のRB北原健作(同)だった。

佼成の立ち上がりにちぐはぐさ

昨年の頂上決戦と同じこのカード。前回は第4クオーター(Q)に入って時点で19点のリードがあった立命館宇治が佼成学園にひっくり返されて負けた。その悔しさを持ち続けた立命が、がまん比べのような試合を制し、佼成の4連覇を阻んだ。オフェンスの獲得距離は立命の143ydに対し、佼成は281ydだった。

いまにも雨が降り出しそうな空模様の中で始まった。立命は佼成の最初のオフェンスで攻め込まれたが、先制を狙った佼成のフィールドゴール(FG)は失敗。立命は直後のオフェンスで自陣を抜け出せずにパント。これを佼成のリターナーがファンブル。リカバーした立命のオフェンスはスコアまで至らなかったが、試合巧者の佼成にちぐはぐさを感じる立ち上がりとなった。

ともにオフェンスがドライブできない中、佼成のこの日4度目のオフェンスでエースRB北原が78ydのロングゲイン。左のオフタックル付近を抜け、右へカット。立命はゴール前2ydまで攻め込まれた。最後は第2Q6分すぎに佼成のQB小林宏充(3年)に主将のWR目黒歩偉(同)へタッチダウン(TD)パスを決められ、0-7と先制された。

佼成学園のエースRB北原(中央左)は19回のランで計129ydのゲイン(撮影・北川直樹)

直後のキックオフ。ボールを受けた立命のWR関口が中央やや右にできた穴を抜け、残っていた選手との1対1をかわし、右のサイドライン際を駆け抜けた。92ydのキックオフリターンTD。立命はチャレンジャーとして最初のTDは2点コンバージョンでいくと決めていたといい、プレーに出たが失敗。6-7となった。

相手のミスに乗じ、立命館宇治のリードで後半へ

第2Q終盤、立命はQB庭山大空(3年)のパスがインターセプトされる。しかし佼成も直後のオフェンスでQB小林がファンブル。これを立命が抑え、前半残り1分19秒で敵陣39ydからのオフェンスとなった。2度の第3ダウンを庭山のパスとWR南田億(同)のランで乗り越え、最後も南田が粘って7ydのTDラン。再び2点コンバージョンには失敗したが、佼成のミスに乗じて12-7とリードを奪い、試合を折り返した。

後半に入るころ、雨が降り始めた。ともに攻めきれない中、立命の関口が今度はパントのボールを受け、タックルされても粘りに粘ってビッグリターン。第4Q早々のキッカー伊藤龍馬(2年)の33ydFG成功につながった。次のオフェンスではOLが踏ん張り、庭山が気迫のランで応える。再び伊藤が27ydのFGを決め、試合残り4分38秒で18-7とした。

終盤に気迫の走りを見せた立命館宇治のQB庭山(撮影・北川直樹)

光った立命ディフェンスの踏ん張り

後半は立命のディフェンス陣が次々と佼成のエースRB北原に襲いかかり、ほとんど走らせなかった。このまま試合が終わり、2009年の初出場から4回目のクリスマスボウルにして、立命館宇治にやっと歓喜の瞬間が訪れた。

「僕のせいで負けてから、リベンジだけ考えてきた」

最優秀バックス賞を受けた立命館宇治WR関口の話
「去年、最後に僕のファンブルからリターンTDされて負けました。佼成にリベンジすることだけ考えてやってきた1年でした。もう絶対ファンブルしないように練習してきたし、みんなにも働きかけてきました。ほんとにうれしいです。パントリターンでロングゲインしたときに、最後頭で考えなくても両手でボールを持ってました。自分で言うのも何ですけど、そこが僕のこの1年の成長だと思います」

立命館宇治DB藤井大輔(3年)の話
「去年は自分のパントリターンのミスで相手にチャンスを渡してしまいました。僕の判断ミスで悔しかったけど、そこから下を向かずに、最後のクリスマスボウルで相手をゼロに抑えて勝とうと思って、1年やってきました。7点しか取られなかったので、ディフェンス全員で頑張れたと思います。最悪な負け方から始まった1年だったけど、最高の1年でした」

立命館宇治の山下主将(手前)は、初優勝を支えてくれた人たちへの感謝の言葉を口にした(撮影・北川直樹)

「素晴らしい準優勝だったと全員に伝えたい」

佼成学園・小林孝至監督の話
「立命館宇治はとても強いチームだった。相手のディフェンスは関東にはない特殊なスキームだったので、どうしても対応しきれない部分があった。なんとか点を取って流れをつかめればと思ったけど、なかなか難しい展開でした。ミスもありましたけど、実力の差として出たという感じです。個々のミスがどうのという気持ちはありません。立命館宇治は今年いちばん苦労したチームの一つだと思っているので、我々もリスペクトの気持ちを持って試合ができた。この舞台でそんなチームとやれて、自分たちも成長できてよかった。4年連続クリスマスボウルに出場できて、しっかりといい文化は受け継げてます。今年のチームは、結果では一歩及びませんでしたが、日ごろから今年の取り組みを見ていて立派だと思ってますので、これで下を向くことなく、胸を張って次のステップに進んでほしいと思う。悪いところを探すのではなく、いい部分を褒めてやっていくのがうちのやり方。最後まで攻めることができたし、準優勝できたことが素晴らしかったと全員に伝えたいです」