サッカー

明治大DF村上陽介 サッカーU-19日本代表候補が挑む日本一のレギュラー争い

ライン際で競り合う村上

大学スポーツに限った話ではないが、部活動において下級生から試合に出ることは難しい。一般には上級生が主力となるのが基本だろう。実力主義とはいえ、たとえ1年の違いであろうと大学で培われた経験の差は大きい。

明治大サッカー部でも、昨年のインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)決勝でスタメンに名を連ねたのは3、4年生ばかり。改めて、下級生が試合に出ることが至難の業だということが分かる。

1年生から活躍している男

そんな明大で、1年生から活躍している男がいる。DF村上陽介(1年、大宮アルディージャU-18)だ。

大型ルーキーはリーグ開幕節・駒澤大戦で途中出場からデビューを飾ると、第8節の慶應大戦ではスタメン出場を果たす。状況判断やビルドアップの質を課題とする一方で「空中戦やフィジカルコンタクトは通用した」と自身の持ち味を発揮し、無失点に貢献した。

リーグ開幕節・駒大戦で途中出場からデビューを果たした村上

4月からの約2カ月間は、新型コロナウイルスの流行に伴い、実家に戻ることを余儀なくされた。全体練習ができなかった中でも、トレーナーから与えられたメニューを実直にこなし、武器のヘディングは感覚を落とさないよう特に励んだ。

「4年間で個人として成長するために選んだ」。村上は明大への進学理由をこう語る。大学に入って間もないころはスピードや球際の徹底ぶりに、高校とのレベルの違いを肌で感じたという。

最終ラインには、昨季から3バックを担う佐藤瑶大(4年、駒大高)・常本佳吾(4年、横浜F ・マリノスユース)・蓮川壮大(4年、FC東京U-18)と絶対的な存在がそろう。J1の名門クラブへの加入が内定している3選手を抑え、試合に出ることは簡単ではない。

しかし、特別指定選手に承認された4年生が多い今年は、下級生が試合に出場する絶好のチャンスでもある。「新しい血が入ってくるとチームの将来にもつながってくる」と栗田大輔監督が語るように、村上を始めとした下級生の活躍は、今後のチーム力向上の鍵を握る。

レベルの高い環境で成長

村上は、9月14〜16日にかけて行われたU-19日本代表候補トレーニングキャンプにも帯同。荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)や斎藤光毅(横浜FC)など、1年目ながら既にプロの舞台で躍動する同世代とともに、濃い3日間を過ごした。

彼らとマッチアップする中で、さまざまな駆け引きや攻防を経験。また先日、現役を引退した元日本代表DFの内田篤人(前鹿島アントラーズ所属)からは、相手がいない練習の中でもリスク管理を徹底するようにアドバイスをもらったという。

レベルの高い環境で一回りも二回りも成長した村上。4月時点での目標であった「トップチームの公式戦出場」を既に果たし、次なる目標を「明大の勝利に貢献できる絶対的な存在になること」と定める。

「昨日の自分を越えて成長し続けたい」と今後を見据えるルーキーは、不断の努力で階段を駆け上がっていくに違いない。