サッカー

特集:#atarimaeni CUP

明治大副将・MF住永翔 最高の仲間とプロの舞台で再会の日を願って

明治大中盤の要として活躍した住永

#atarimaeni CUP サッカーができる当たり前に、ありがとう! 

2回戦
1月9日@会場非公開
明治大 2(1-0)2(PK:2-4) 東海大

今年度、大学サッカー界唯一の全国大会となった#atarimaeni CUP。初戦で福山大を下した明治大は、2回戦で神奈川県リーグ所属の東海大と対戦した。28分、FW小柏剛(4年、大宮アルディージャユース)のゴールで先手を取るも、エンドが変わった83分にFKからの折り返しを押し込まれ同点に。続く延長戦でもスコアは動かず、勝負の行方はPK戦に持ち込まれた。

キッカーの1番手を任されたのはMF住永翔(4年、青森山田)。抜群のキックセンスを持つチームの副将だ。しかし、住永が放ったシュートはまさか、大きく枠を超えてしまった。歯車が狂ったのはここからか。対する東海大はゴールを決め続け、差が縮まらない。その一方、明治大は3人目のキッカー、DF蓮川壮大(4年、FC東京U-18)のシュートも阻まれ、万事休した。「みんなを、2020シーズンを終わらせてしまった。まだまだみんなとサッカーを本気でやりたかった」と住永。優勝候補最右翼とも目された「最強明治」が、はかなくも散った。

優勝候補最右翼の早すぎた結末

DF須貝英大主将(4年、浜松開誠館)がリーグ終盤戦で大けがのため離脱。以降、ピッチ上の責任はともに副将を務める住永と小柏の双肩にかかっていた。「今からチームが変われることといえば、ある意味一つになることだけ。キャプテンが抜けても、これまでみんながやってきたサッカーのルールや勝ち負けが変わるわけではない」。チームは須貝離脱後のリーグ全4戦を無敗で戦い抜き、トロフィーを勝ち取った。その一端となったのは、間違いなく住永の強いキャプテンシーだ。

今大会を戦うにあたって、掲げた目標はもちろん全国制覇。「この仲間たちと優勝したい。やっぱり明治はすごいなと思われるためにも、なんとしても勝たなければ」。強い覚悟と裏腹に訪れた、早すぎる結末。悔いは大きいなんて言葉で表せない。

東海大戦後、後悔を抑えきれなかった住永(右)

後悔をあげればキリがない。「大事な試合でチームを勝たせることができなかった。天皇杯予選やアミノバイタルカップ、最後の#atarimaeni CUPも、僕がもっとよければ勝てていた」。ボランチのポジション、副将の立場、最上級の誇り。様々な要素が絡み合い、住永は自責の念を強くした。

決死の思いで臨んだラストシーズン

名門・青森山田高の主将として全国制覇を果たしたあと、鳴り物入りで明大に進学。「守備の部分で出鼻を挫かれた」ものの、4年間着実に技術を磨いてきた。さらには寮での共同生活を通し、ピッチ上でも通用する洞察力、観察力を身につけたと語る。

プロ内定選手合同記者会見で意気込みを語った

プロサッカー選手になるか、家業の農家を継ぐか。決死の思いで臨んだラストシーズン。努力が実り12月、J3・AC長野パルセイロへの加入を勝ち取った。「チームの勝利に全力で貢献し、サポーターの方々に愛される選手になりたい」。

「いつまでも後悔ばかりしていてもキリがない。前に進んでいく必要がある。一人ひとり課題は常にあるし、その課題と向き合っていくのがサッカー選手だと思っている。この仲間と一緒にサッカーはできなくなるけど、どこかで対戦したり、会う機会はあると思う。もっともっと一人ひとりが大きくなって、また会いたい」。最高の仲間と、再会の日を願って。強烈なキャプテンシーと確かなキックセンスを併せ持つ中盤の要が、プロの舞台を翔ける。