ラグビー

ラグビー 慶應の輝く小兵フランカー

ラグビー 慶應の輝く小兵フランカー
関東大学対抗戦Aグループ、3度目の先発を果たした川合 (斉藤健仁)

ラグビー 関東大学対抗戦Aグループ

9月30日 江戸川陸上競技場
慶應(2勝)35-24(前半28-7)筑波(2敗)

伝統的に接点に強みを持つ同士の対戦は、前半から後半の最初までペースを握り、5トライを挙げた慶應が勝利した。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたのは、両チームのバックファイブ(LO、FL、No.8の総称)の中で身長171cm、体重85kgと一番の小兵、慶應のFL川合秀和(3年、國學院久我山)だった。

「ブースター」から先発へ

川合は昨年度までは「ブースター」だった。慶應では控え選手のことを、後半にチームを勢い付ける存在と位置づけ、こう呼んでいる。だが、今年は春から先発の座を射止め、対抗戦も2試合連続で6番を付けて先発出場。対抗戦の先発は、この日が3度目だった。川合は言う。

「(黒黄ジャージーの)6番を付けることは誇りですし、ヘッドコーチ(HC)からアタックを期待されて出させてもらっているので、それに応えないといけない」

慶應にとっての開幕戦となった9月15日の日体大戦では、チームが12トライを挙げて快勝する中でノートライに終わった。慶應の金澤篤HCは「川合の課題は1試合の中でもっとボールを持つ回数をもっと増やすこと」だと感じていた。だから、この試合ではキックオフレシーブでは川合をNo.8の位置に置き、得意とするボールキャリア役の回数を半ば強引に増やした。

ボールを持つ回数が増え、リズムに乗った川合は、自分より大きな身長190cm台の選手や体重100kgを超える選手に対しても果敢にアタック。タックルで止められたと思っても、そこから低い体勢で足をかいてゲインを繰り返していく。

川合だけでなくFWが前に出てアタックでリズムを掴んだ慶應はゴール前に攻め込み、前半8分と25分、川合が小さいながらも身体を上手く使ってボールをゴールラインにねじ込んで2トライをマーク。後半も先にトライを挙げて5トライを重ねた慶応が35-7とし、ほぼ勝負を決めた。

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自分より体格が大きな選手にも果敢にアタック (斉藤健仁)

外部生が頑張らないと慶應は強くならない

國學院久我山高時代からボールキャリアとして名高かった川合は、大学3年になった今春から寮に入ることができた。通常練習以外にも、体幹を意識したウェイトトレーニングを朝に夜にと重ね、ラグビーに集中する日々を過ごしている。慶應入学時に75kgだった体重は88kgまで増えた一方、体脂肪率は15%から11%に減り、筋肉量を増やすことに成功。川合は「体も変わってきた」と手応えを口にする。

またショートステップで相手を半歩ずらして前に出る練習の効果も相まって、川合はアタックで存在感を出せるようになった。U20日本代表や高校代表経験者がいる慶應のバックロー(FL、No.8の総称)の中で、リーダーを任されるまでに成長した。小さくても活躍できるコツを聞かれると、「低くドライブしてます。相手にまっすぐ当たるより、上手く体を使ってズレたほうが有利な位置に入れます」ときっぱり言った。

川合は小学校5年時、埼玉・さやまラグビースクールで楕円球に出会った。父親が慶應出身で、準体育会ラグビー部のJSKSでキャプテンだったこともあり、小さい頃から早慶戦に連れて行かれていた。黒黄ジャージーは、常に憧れの存在だった。

ラグビーにのめり込んでいった川合はラグビー部のある城西川越中に進学、同時に府中Jrラグビースクールにも入り、東京選抜に選出された。そして「縁があった」と東京有数の強豪校・國學院久我山高に進学し、2、3年時には花園の芝も踏んだ。成績が優秀だったこともあり、自己推薦で慶應の総合政策学部に合格し、小さいころからの念願を叶えた。

慶應の金澤HCは「僕にとって誰がどこの高校出身者かは関係ない。意識してない」と言うものの、先発メンバーを見ると10~11名が慶應高校を中心とした内部進学者であり、この日もFWは川合以外の7人がそうだった。

川合はそれを十分承知している。「外部から入ってきた選手はラグビーに対する意識の高さやパフォーマンスの面を期待されてます。外部から入ってきた選手が頑張らないと、慶應は強くならない」。また花園常連校出身として、「日本一を目指すチームにいい影響を与えたい」というプライドもある。

川合は将来トップリーグでラグビーを続けるか、一般就職するかで悩んでいる。ただ、いまは高校時代の最高成績が全国ベスト8だったため「日本一」という目標に向かって邁進している。身長171cmの小兵FLがグラウンドの中で「小よく大を制す」を実現すればするほど、黒黄ジャージーが1999年度以来の大学王者に近づいていく。

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この日、マン・オブ・ザ・マッチに輝いた川合 (斉藤健仁)

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