陸上・駅伝

特集:第96回箱根駅伝

駒澤大のスーパールーキー田澤廉 7人抜きで区間新記録でも「悔しい」

田澤は3区で箱根デビューを飾った(撮影・藤井みさ)

第96回箱根駅伝

1月2、3日@大手町~箱根~大手町の10区間217.1km
8位 駒澤大 10時間57分41秒
3区 区間3位 田澤廉(1年)1時間1分25秒(区間新記録)

スーパールーキーの存在感は箱根路でも変わらなかった。1月2日の箱根駅伝往路の3区(21.4km)で、駒澤大1年生の田澤廉(青森山田)が区間3位ながら1時間1分25秒の区間新記録をマークした。田澤が7人を抜いて6位まで浮上した駒澤大だったが、往路は8位で終え、総合でも8位どまりだった。

田澤は1時間1分25秒(区間新)のタイムで区間3位だった(撮影・安本夏望)

「休もうかな」その瞬間に監督からゲキ

堂々たる走りだった。想定外の13位で襷(たすき)を受けても、どこ吹く風。5km過ぎで日体大を抜き、8.7km付近で明治大、拓殖大、中央学院大の9位集団に追いついた。田澤はここで「ちょっと休もうかな〜」と思ったという。だが、運営管理者に乗る大八木弘明監督から「休むな! 休んでたら勝てない。追い続けろ!」とのゲキが飛んできた。

そのゲキで、自身の持ち味である「攻めて粘る走り」を思い出した。9.4km付近で3人を突き放し、9位に浮上。13km過ぎで2人をかわして7位に。最後は18.3km付近。同学年で高2のときから負け続けてきたという早稲田大の井川龍人(九州学院)を抜き、6位でつないだ。田澤は往路のゴール後、「自分のできることは出しきれたと思います」と言った。

田澤はレース後、「ありがとうございました! 」と大きな声で言った(撮影・松永早弥香)

箱根駅伝を前にして「どの区間でも、区間賞は取ります」と宣言していた。だが、東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(1年、ケニア・チェビルベルク)と、帝京大の遠藤大地(2年、古川工)に続く区間3位。田澤は「留学生に勝てるとは思ってませんでしたが、それに近いタイムを出そうと挑戦する気持ちはありました。遠藤さんに負けて、日本人の一番をとれなかったのは悔しい」。このあたりの心意気が、スーパールーキーたるゆえんだ。

大八木監督も田澤に向けて「日本人トップは取ってほしかったなぁ」と口にした。田澤は「今回は負けてしまったので、(次は)区間賞と区間新を目標にしたいです」と前を見た。目指すは東洋大の相澤晃(4年、学法石川)のような、学生長距離界を代表する圧倒的なランナーだ。

往路のゴール後、報道陣の取材に応じる田澤(撮影・松尾誠悟)