令和最初の王者・青山学院大5度目のV 「やっぱり大作戦」大成功!
第96回東京箱根間往復大学駅伝競走
1月2、3日@大手町~箱根の10区間217.1km
1位 青山学院大 10時間45分23秒(新記録)
やっぱり青学は強かった。新記録で往路を優勝すると、その勢いのまま復路では首位を一度も譲らず、10時間45分23秒で総合優勝を成し遂げた。昨年の東海大が打ち立てた記録を6分46秒も上回る好記録を叩き出し、超高速駅伝を制した。「ダメダメ世代」と言われた4年生が最上級生としての意地を見せつけ、100年の節目の大会を有終の美で飾った。
往路新記録で往路優勝
1区を任されたのは1カ月前に起用が決まったというエースの𠮷田圭太(3年、世羅)。「青学の1区ということでかなりのプレッシャーを抱えていた」と言うが、集団の先頭で落ち着いた走りを見せた。1区はスローペースになりがちだが、例年稀に見る高速レースとなった。トップと17秒差7位でスーパールーキー岸本大紀(1年、三条)に襷(たすき)を託す。
1年生にして花の2区を任された岸本は2.5km地点で先頭集団に追いつくと、周りの選手の表情をうかがいスパートをかけラスト400mでトップに躍り出ると、そのまま1位で戸塚中継場を通過した。
3区は「僕がアンカーを走って負けて、本当に悔しい思いで始まった1年間だった」と話す主将の鈴木塁人(4年、流通経大)。東京国際大のヴィンセント(1年、ケニア・チェビルベルク)に11kmで追いつかれ首位を譲るが、自分のペースを保ち2位で吉田祐也(4年、東農大三)に。「いつも11番目だった」吉田は区間新記録と区間賞で往路優勝に大きく貢献し、首位奪還。
5区飯田貴之(2年、八千代松陰)は「後方から山の神候補の國學院大の浦野雄平(4年、富山商)が追ってくる展開が怖かった」が、区間新記録で山を駆け上り往路優勝のゴールテープを切った。全日本では「トップで襷をもらったものの、東海大にトップを奪われ悔しい思いをして切ったゴールテープだった」が、今回は雄叫びをあげながら、うれしさをかみしめた。
トップを死守し総合優勝
6区を任されたのは初駅伝出走の谷野航平(4年、日野台)。9月に行われた日本インカレの1500mで青学記録を樹立し、「スピードランナー」の名を持つ。中距離の選手だが、山下りに適正があると判断されてこの区間に抜擢された。出雲・全日本で出走できなかった悔しい思いを「箱根で全てやるしかない」と自分を鼓舞させ、粘りのある走りで7区の中村友哉(4年、大阪桐蔭)へと襷をつないだ。
けがに悩まされ、原晋監督から厳しく指導され、一緒に苦労してきた4年生同士の襷リレー。中村は「あれは力水、パワーが出ました」と今回けがで自らエントリーを外れた竹石尚人(4年、鶴崎工業)からの給水を力に変え、東海大との差を2分1秒つけた。
8区岩見秀哉(3年、須磨学園)は昨年4区を任され、区間15位とチームにブレーキを掛けた存在。後続から前回大会でMVPの東海大、小松陽平(4年、東海大四)が追ってくるが、見事リベンジを果たした。
9区神林勇太(3年、九州学院)は「お前は今最高に輝いているぞ」と原監督からの声を力にし、区間賞の好走を見せ、10区湯原慶吾(2年、水戸工業)に。前日に出走を告げられたというが、「9区までの選手が東海大との差をつけて襷を渡してきてくれたのもあって、多少はリラックスして走れた」と笑顔でフレッシュグリーンの襷を大手町に届けた。
令和最初の王者への期待
出雲駅伝は5位、全日本駅伝は2位と悔しい思いをし、挑戦者として臨んだこの箱根路。主将の鈴木は「この1年は本当に苦しかった」と振り返った。4年生が意地を見せる好走で、前回王者の「黄金世代」と呼ばれた東海大を破り、令和最初の優勝をつかみ取った。
復路終了後、青山学院大学のアイビーホールで行われた報告会では家族や多くのOB・OG、ファンの方に祝勝され、選手たちはそれぞれ喜びを口にした。その選手たちの表情には笑みがあふれていた。
青学は、令和の常勝軍団を築き上げていくことができるのか。さらなる活躍に期待が高まる。