フィギュアスケート

「強い関西大」復活! 3人で取り返した2年ぶりのインカレ団体王座

目標の団体優勝をつかみ取った3人。左から、須本、市橋、本田

第92回日本学生氷上競技選手権大会フィギュア競技

1月6、7日@日本製紙アイスアリーナ(北海道)
男子7、8級 2位 須本光希(関西大) 208.35
      3位 本田太一(関西大) 190.39
      21位 市橋翔哉(関西大) 122.49
男子7、8級団体 優勝 関西大 64点

2年ぶりの王座奪還。今年の関西大男子は最強だった。メンバーは2年前の全日本インカレで優勝経験のある本田太一(3年、関大高等部)、主にペア選手として活動している市橋翔哉(4年、関大北陽)、そして新戦力の須本光希(1年、浪速)。ショートプログラム(SP)終了時点で須本と本田が上位につけ、市橋も見事にSPを通過。優勝が目前に迫った中でフリーへ臨んだ。

仲間と共に挑んだ2日間

昨年に引き続き2度目の出場となった市橋は、SPとフリーともに自身の大好きな曲、映画「君の名は。」の劇中歌を使用。SPでは、ジャンプを成功させる度に拳を突き上げた。冒頭のジャンプミス以外は、全てのエレメンツを成功させる。久しぶりのシングルの試合に緊張したと話しながらも、映画のシーンを思わせるような情感たっぷりの演技を披露。滑り終えると同時に大きなガッツポーズと、安堵(あんど)の表情を見せた。

今大会で引退の市橋は有終の美を飾った

そして迎えたフリー。この日も繊細な表現力は顕在。3回転ルッツに2度挑戦するなど、失敗を恐れず攻めの姿勢を見せた。スピードに乗せて披露したコレオシークエンスは、観客の心に刻まれたはずだ。スケートが好きという思いが存分に伝わるプログラムで、会場全体を惹きつけた。

須本はインカレ初出場。SPでは全日本選手権大会から調子が安定しなかったトリプルアクセルは組み込まず、代わりに3回転ルッツ+4回転トーループのコンビネーションジャンプに挑戦した。惜しくも成功とはならなかったが、レベルの高さを見せつける。持ち味の美しいスケーティングで氷上を舞い、観客を虜(とりこ)に。SPを2位で通過した。

初出場のインカレで2位と大健闘した須本

「最初から最後まで気を抜かずに滑り切る。大学のために」と強い気持ちで臨んだフリー。6分間練習で成功させていた4回転トーループは、惜しくも転倒。それでも、2本目のジャンプ以降は、安定した軸と素早い回転で全て着氷。見ている人の心に響くような丁寧な滑りと、しなやかな体の動きで魅了する。ラストにはダブルアクセル+3回転トーループのコンビネーションジャンプを組み込み、観客を沸かせた。「失敗しても最後までしっかりとできたというのは、自分の中ですごい収穫」と、本人も納得の内容で、団体優勝に大きく貢献した。

3年連続大会出場の本田は、SPの出だしから力強い滑りを見せる。練習ではなかなか調子が上がらなかったトリプルアクセルも何とか着氷。残りのエレメンツを確実に決めると、演技終了後はセーフのしぐさを見せた。3位でフリーへ進出した。

自身2年ぶり2度目の「団体優勝だけを意識した」という本田

最終滑走者として迎えたフリーの演技。仲間たちの声援に送り出され、笑顔で最初の位置へ。この日も本田は強かった。冒頭のトリプルアクセルをステップアウトしてしまうも、しっかりと回り切る。米国で磨き上げた表現力で、緩急をつけながら『フォレストガンプ』の優美な曲調を捉えていく。中盤の3回転+3回転では、ファーストジャンプでバランスを崩しかけたが、「アクセルが良くないからこそ他で挽回しないと」という強い気持ちで、セカンドジャンプへとつなげた。最後のジャンプを決めると同時に、会場から大きな歓声が上がった。

3人でつかんだ優勝は格別の味

「7、8級男子団体優勝 関西大学」とアナウンスされると、選手たちには笑顔があふれた。2年前にも優勝を経験している本田は、「めちゃくちゃうれしいです。自分が1年生の時は、2人だったので優勝を狙ってなくて。その時もすごくうれしかったんですけど、今年は団体優勝を狙っていたので」と、3人でつかみ取った優勝には大満足だった。「今回は(市橋)翔哉の点数があってこその優勝だったので。出てくれてありがとう」と本田。ペアの選手である市橋の出場が、関大に栄光をもたらした。

2年ぶりに取り戻した表彰台の頂点。これからも王座を守り続けるために、関大アイススケート部は力をつけていく。強い関西大学へ、選手たちの歩みはこれからも止まることはない。