バレー

1年からエース 大東大バレー主将・小山晟治の終わりなき夢

強烈なスパイクを決める小山

昨年の秋季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦では、惜しくも3位に終わった大東文化大。しかし、初戦からセットカウント3-0で連続8連勝を飾るなど、会場では「今季の大東は強い」と口々に囁かれていた。そんな破竹の勢いで連勝していたチームの中心にいたのがキャプテンの小山晟治(4年、下田)だった。

助けてくれた同期メンバー

小山は1年生からコートに立ち、「エース」としてパフォーマンスを求められてきた。彼がキャプテンになったのは3年生の秋、早すぎる世代交代だった。

1年生から試合に出ていたからこそ、彼は「どうやってチームをもまとめるか」、そんな問題に直面した。1年生のときには、先輩からのプレッシャーに押しつぶされそうになった。だからこそ、「どうすれば後輩たちは最高のパフォーマンスができるだろう」と悩んだ。一度もキャプテンになったことのない彼を助けてくれたのが、同級生の存在である。

一人悩む小山(手前)と力を合わせた同期メンバー

同期全員で話し合い、「自分たちの世代全員でチームを引っ張っていこう」と一致団結。どちらかと言えば口下手な小山は、練習や試合で後輩たちに「背中」で語りながら、自分なりにコミュニケーションを取り、キャプテンとしてチームをけん引した。破竹の勢いが生まれたチームの原点がここにあった。

辛いことを乗り越えたからこそ

「夏合宿でさらに一層強くなった」。昨年の夏休みに、関西で行われた約10日間の合宿。周りは関東1部で活躍するチーム。特に守備の面においてレベルが違う。ゆえに2部リーグの大東大はまったく歯が立たなかった。そうした状況で、チームがバラバラになってしまうこともあった。そんな中でもめげずに頑張ったことが、秋のチームの結束力を強めた。

「あとちょっと」大きすぎた2点

泣いても笑っても最後の秋季リーグ。決戦の日10月19日、慶應義塾大学との一戦。第1セット20-25、第2セット25-23、第3セット18-25、第4セット26-24と接戦が続いた最終セット。前半は大東大がリード、一瞬勝利が見えた。しかし慶應はだてに1部リーグで活躍したチームではない。後半まさかの逆転劇が起こり、13-15で敗れた。あと2点だった。

大東大の選手の口々から「悔しい」という言葉がこぼれた。しかしこの試合について、「接戦になったときに、力を発揮できなかったのが弱さ」だとキャプテンの小山は振り返った。試合後「あとちょっとだったね」、そんな言葉がOBから投げかけられた。そして、12月の全日本インカレを最後に小山を含め4年生は引退した。

「やっぱりバレーがしたい」

新天地にも全力で挑むと意気込む

小山は4年間バレーに励むかたわら、教員を目指していた。3年生時のインタビューでは「子どもたちにバレーを教えたい」と語っていた。そんな彼の心の闘志に再び火をつけたのが国体だった。

小山は国体に静岡県選抜として出場し、間近でプロ・東レアローズの選手たちの背中を見た。「続けられる自信がない」という不安も、「やっぱりバレーがしたい」という気持ちには勝てなかった。小山は最終的に、一度は断った実業団からのオファーを受けた。大学卒業後は仕事をしながら選手の道を歩む。「まだ分からないけど、静岡に戻って教員にもなりたい」といい、選手生活後には教員になる夢を改めて追うつもりだ。新たな地での目標は、「一戦一戦全力で」。次の舞台では「あとちょっとだったね」なんて、絶対に言わせない。