アーチェリー

王座決定戦のチーム優勝とオリンピック出場 同志社アーチェリー・安久詩乃の決意!

常に安定した射撃を見せる安久

確かな実力を発揮し、東京オリンピック最終選考会まで駒を進めた安久詩乃(あぐ・うたの、4年、同志社女子)。同志社アーチェリー部の女子リーダーとしても部をけん引している存在だ。新型コロナウイルスの影響で最終選考会は延期となったが、オリンピック出場に向けて邁進し続けている。

部で一番下手だった中学時代

アーチェリーとの出会いは中学生。友人に誘われて始めてみたこの競技が運命的なものになるとは安久自身思っていなかっただろう。始めたころは弓も触らせてもらえず、練習は筋トレばかり。クラシックバレエをしていた安久は華奢(きゃしゃ)だったため、人一倍の努力が必要とされたが、負けず嫌いという性分が彼女を奮い立たせた。

中学生のころは部で1番下手で、悔しい思いをした。しかし、ライバルと切磋琢磨し地道なトレーニングを積み重ね、名を馳せる選手となった。

2018年関西アーチェリーインドア選手権大会関で3位となった

「一番忘れられない試合は2年前の王座決定戦です」と振り返る安久。中学・高校の憧れだった先輩たちと臨んだこの大会。チームは強く、雰囲気もとてもよかった。しかし、結果は入賞も果たせず苦杯をなめた。なぜ負けたのか理解できず、帰り道も涙を流し続けたという。当時2年だった安久はこの悔しさをバネに大きく成長した。

2018年の王座決定戦での同志社女子チーム

選手権前に陥った原因不明の不調

昨年10月に行われた全日本選手権予選。この大会でオリンピック選考会に招集されるかが決まる。会場内は張り詰めた空気が流れ、全選手から緊張がうかがえた。

「今までで一番緊張した」。そう振り返った安久だったが、落ちついた射撃を見せオリンピックへの挑戦権を手に入れた。しかし、実は選考会直前に不調に陥っていた。

今までは調子が悪くなってもすぐに理由を見つけ改善できており、この1年間を通して調子を上げてきたが、今回そうはいかなかった。「どうしたらいいか分からなかった」フォームも崩れ、調子が上がらず迎えた選考会1日目、彼女を救ったのは「女子リーダー」としての経験だった。

女子リーダーとしての自信

昨年6月から女子リーダーを務め、チームのことを第1に考えてきた安久。自分の調子が悪くても明るく声かけし、雰囲気作りを徹底。「絶対暗くならない」。気持ちの切り替えができたことが迷宮脱出の鍵となり、2日目に勝ち残った。経験豊富な実力者たちがそろうこの選考会、安久はチャレンジ精神を強く持ち挑んだという。

いい緊張感を持ち、最初の1本から最後の1本までの144本、彼女は自信を持って射続けた。序盤は低迷していたが、調子を取り戻し本来の実力を十分に発揮し、最終選考に勝ち進んだ。

チームは頂点へ、自身は世界を目指す

開催されるはずだった最終選考会はコロナウイルスの影響で来年に持ち越された。現在、クラブ活動も禁止されている中、彼女は自宅でのトレーニングを欠かさない。

道具を使う競技のためできるトレーニングが限られるが、工夫を凝らし、自宅に畳を置いて近距離の射撃をできるようにしている。また、風に負けない体幹が必要とされる競技のため、体幹トレーニングも欠かさず行っている。

今後の目標には「王座優勝とオリンピック出場」を掲げる。チームの目標でもある王座優勝を実現させ、後輩にたくさんのことを残したいと強く語った。

幹部になって、部の規律を厳しくし、全員が同じ目標に向かって頑張るチームを作り上げた。チームからの熱い信頼を胸に、大好きなチーム全員で日本一を目指す。

個人としては、オリンピックに出場し結果を残すことが目標だ。強みである安定した射撃でオリンピック出場まで突っ走る。同志社不動のエースが世界へ羽ばたく瞬間を見逃すな。