陸上・駅伝

立命館大の2年生キャプテン・飛田凛香 富士山女子駅伝から始まった新たな競技人生

1区1年生の西原愛華(立命館宇治)から襷(たすき)を受けた飛田(右)

試合情報

2020富士山女子駅伝
12月30日@静岡県富士宮市~富士市の7区間43.4km
立命館大学 3位 2時間27分00秒

昨年12月30日に行われた富士山女子駅伝。全国の駅伝強豪校が集結するこの大会で立命館大はみごと3位入賞を果たした。そしてチームを率いるのは、2回生ながら主将を務める飛田凛香(2年、比叡山)だ。

キャプテンに自ら立候補

2回生で主将になることは珍しい。飛田がキャプテンになったきっかけは、9月26日に行われた関西女子駅伝だ。優勝を目指していた立命館だったが、振るわず3位に終わった。

「自分たちの思っていた以上に他大学との差を感じた。強豪校と戦うにはチームを変えなければいけない。そして自分がこのチームを変えたいと思った」という飛田は、キャプテンに自ら立候補。年によってキャプテンの決まり方は異なるが、立候補の形で決まることはあまりない。そんな彼女を、コーチらも「マニュアルはないから、自分がやりたいならやったらいい」と背中を押し、4回生の松本美咲(4年、立命館)からキャプテンを引き継いだ。

富士山女子駅伝5連覇した立命館にあこがれて入学

高校時代から駅伝の全国大会に、3年間1区と5区で出場するなど活躍していた飛田。立命館大を選んだ理由も富士山女子駅伝がきっかけだった。2017年、当時高校2年生だった飛田は立命館大が5連覇を果たしたレースをテレビで見ていた。「5連覇のレースが印象に残っていました。自分の中で本当にかっこいいと感じました」という。これを機に大学で競技を続けるなら立命館大がいいと思い、入学した。

テレビで見た走りに感銘を受け入った立命館大。昨年卒業した佐藤成葉(資生堂)や他の強い選手と一緒に練習することになり、最初はついていけるか不安だったという。しかし、学生が主体となる体制が自分に合い、「ここに来てよかった」と新たな陸上競技人生をはじめ、さらなる進化を遂げると誓う。

しかし1回生のころは調子のよい時期と走れない時期の差が激しかった。練習でも高校よりはるかに多い距離を踏んでいく中で、もともとある走り方の癖が負担となり、けがを繰り返してしまう。そこを乗り越えるべくコーチから動き作りや補強トレーニングのアドバイスをもらい、普段の練習に取り入れるなど努力を重ねた。

そんな中2区で出場した杜の都駅伝。2区で3.9kmを12分29秒で走り、区間3位と1回生ながらチームに貢献。このときのことを「緊張はまったくしていなかった。やっと自分がこの大舞台に立てるという楽しみが大きかった。心強い先輩ばかりだったので、のびのび走ることができました」と振り返る。

一人ひとりが強さを持つチームに

2回生のシーズンはコロナもあり、思うようにいかない日々の連続だった。しかし飛田はその期間を故障からの復帰のためのケアに費やし、自粛期間で増えた時間をプラスに利用した。そのかいもあり、自粛が明けた夏以降は練習を積むことができた。

「先輩方が作って下さったチームのおかげで徐々にモチベーションと調子も徐々に上がっていきました」と飛田。そして9月末の関西女子駅伝では1区で区間賞、富士山女子駅伝では2区で区間賞と実力を開花させた。充実したシーズンだったと振り返った。

5区の中田美優(三木)から6区の林ひかる(鳥取西)への4年生同士のリレー

この2年間大学でさらに力を蓄えてきた。これから主将としてどのようなチームを目指したいかを聞くと、「今の4回生が作ってくださったチームのまとまりや雰囲気に、さらに強さを加えていきたい。今年のチームは4回生のために頑張れるチームだった。これからは互いに切磋琢磨し、刺激し合うことで、一人ひとりが強さを持つチームにしたい」と語った。そして個人では、「トラックで結果を出し、インカレで優勝したい。また、5000mで日本選手権の標準記録である15分40秒を切りたい」と答えた。

最終7区、前キャプテンの4年生、松本が3位でゴールテープを切った

富士山女子駅伝がきっかけとなり始まった新たな競技人生。念願の王座奪還を果たすべく、さらに強くなり、富士山女子駅伝でその進化した姿を見せてほしい。新キャプテンの挑戦は、まだ始まったばかりだ。