ラグビー

さらなる進化を遂げ王座奪還へ 同志社ラグビー部を引っ張る2人の新主将

共同主将を務める南(左)、田村(右)

昨シーズン、同志社は新型コロナウイルスクラスターの発生により大学選手権を辞退した。挑戦が始まろうとした矢先での無念の幕切れ。目標に掲げていた「日本一」をつかんだのは同じ関西Aリーグに所属する天理大だった。関西の大学が頂点に立つのは1984年度に3連覇を達成した同志社以来、実に36大会ぶりとなった。

 111代目で初の共同主将制

「新たな時代に同志社を」。選手権でのリベンジと「日本一」の目標を託され、新たにスタートしたチームを引っ張るのがLO南光希(4年、東海大仰星)とSH田村魁世(4年、桐蔭学園)の2人だ。

今年で111代目を迎える歴史あるチームで、初めて共同主将制が敷かれた。近年はトップリーグでも、重責を担うキャプテンの負担を軽減する等の目的で採用されていることが多い。「人数が多いので1人でやるより2人でやって協力していきたい」。2人がうまく連動して、170人を超える大所帯をまとめている。

 スローガンは「LINK」一人ひとりがリーダーシップを

南は、高校3年時に全国高校ラグビーで主力LOとしてチームの優勝に貢献。昨シーズンからスタメンを勝ち取り、紺グレの先頭で体を張ってきた選手だ。一方、田村は桐蔭学園で主将を務め、多くの世代別代表経験も持つ。チームでは2年時から司令塔を務めている。

そんな経験豊富な2人が目指す主将の形は、自分たちだけが前に出て引っ張っていくというものではない。「一人ひとりがリーダーシップを持ってやっていこう」。全員が責任を持って、練習中から声を出して引っ張っていく意識の部分を大事にしている。

その思いもあって、4年生へのアンケートの中から今年のスローガンは「LINK」に決まった。この意図を、田村はこう話した。「個性の強いメンバーが多くて、プレーでも一人ひとりの能力が高いと思っているので、そういう選手がチームとして一つにリンクしたときにさらに大きな能力を発揮するんじゃないかなっていうのと、170人の大所帯の中で、一人一人が日本一目指す意識を持って自分の持つ役割を全うして、それがうまくリンクしたら本当に日本一になる力を持つと思った」。

 「展開ラグビー」で王座奪還へ

4月11日に行われた関西セブンズでは連覇を達成した紺グレ。「今やっていることが間違いじゃないことを証明してくれた」。今季から積極的に取り組んでいるブレイクダウンの精度の部分や、強化してきたフィットネスで相手を圧倒し、勝利につなげた。

間もなく15人制の試合も始まる。主力選手が多く残った今年、同志社を象徴する「展開ラグビー」はより進化した姿を見せるはずだ。昨年成し遂げることができなかった王座奪還へ。新主将2人が伝統の「紺グレ」を導き、新時代を駆け抜ける。