野球

特集:2021年 大学球界のドラフト候補たち

ドラフトの出来は2位次第? 今年の指名順はDeNAからで確定

法大の三嶋は12年秋の東京六大学優勝に貢献し、DeNAから2位指名された(撮影・林敏行)

 ドラフトのカギを握るのは、1位よりも2位? 11日に行われる、プロ野球の新人選択(ドラフト)会議。10日終了時点のシーズン順位による、指名順が確定した。

 1位指名は重複した場合にくじ引きで、指名順が重要になるのは2位指名から。指名した瞬間に交渉権が確定する「ウェーバー方式」で行われる。

 今年の2位の指名順はDeNA、日本ハム、中日、西武、広島、ソフトバンク、巨人、楽天、阪神、ロッテ、ヤクルト、オリックス。セ・リーグの最下位から始まってパ・リーグの最下位、セ・リーグの5位へと続いていく。3位指名はその逆、4位指名はそのまた逆、という仕組みだ。

 1位指名は運次第。だが2位以降は補強ポイントを踏まえた上で、狙った選手との交渉権を確実に手にできる。2位に誰を選ぶかが、ドラフト全体の出来を左右すると言っても過言ではない。

 そんな2位指名の中でも一番最初に指名された選手は、野球ファンが注目する存在だ。

 近年の成功例では、2012年にDeNAが指名した三嶋一輝(当時、法大)がいる。新人だった13年は中継ぎからスタートし、途中で先発転向。34試合に登板し6勝9敗、防御率3・94だった。現在は救援として、欠かせない存在にまで成長した。

 17年は、ロッテがトヨタ自動車の藤岡裕大を指名。守備力に定評があり即戦力として期待され、実際、1年目の18年は全143試合に出場した。その後はけがもあり順風満帆とは言えないが、10日の日本ハム戦でも三塁手として先発出場するなど、チームの優勝争いに貢献している。

 18年は、楽天が大商大の捕手・太田光を指名した。次世代を担う捕手の育成が課題だった楽天。首脳陣は1年目から太田を試合に使い、「英才教育」を進めている。今季は開幕当初、大リーグから復帰した田中将大とバッテリーを組むなど、プロ3年目で自己最多を更新する99試合に出場している。

 今年も、2位の最初に指名される選手が誰なのかは注目ポイント。しかも、今回は1位相当と評価されている選手が残っている可能性がある。

 セ・リーグ球団の幹部は今回のドラフトの行方をこう予測する。

 「特に投手は、見どころのある選手が多い。野手も含めれば、1位候補と評価される選手は12人では収まらないと思う。昨年の佐藤(輝明、近大から阪神)くんのような『超目玉』はいないが、全体のレベルが低いわけではない」

 この幹部は「他球団の指名状況次第で、1位クラスの選手を2位で指名できるチャンスがある。補強ポイントとの兼ね合いを含め、シナリオをしっかり練って臨みたい」という。

=朝日新聞デジタル2021年10月10日掲載