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子ども記者が体感 “する”だけじゃないバスケの魅力 京王 Jr.ウインターカップ

「京王電鉄presents子ども記者体験」で取材に挑戦する子どもたち

バスケットボールの中学生年代日本一を決める「京王 Jr.(ジュニア)ウインターカップ2024-25(2024年度第5回全国U15バスケットボール選手権大会)」が1月4~8日、武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で開催された。この大会に特別協賛しているのが京王電鉄株式会社だ。選手たちと年代が近い子どもたちを対象とした「京王電鉄presents子ども記者体験」も初実施。参加者は取材体験や京王電鉄株式会社の出張授業などを通して、「プレーする」だけではないバスケットボールとの関わり方を学び、その魅力を味わった。

「本当に同じ中学生?」記者目線で試合観戦

「京王電鉄presents子ども記者体験」に参加したのは、抽選で選ばれた小学4年から中学3年の約40人。バスケットボールのプレー経験は必須ではなく、部活動などに所属している参加者もいれば、1試合通して観戦するのは初めてというフレッシュな参加者の姿も。一方、スポーツ現場での記者体験は全員にとって「初挑戦」であり、一様にワクワクと緊張が入り交じった表情で臨んでいた。

朝日新聞の記者経験者から記者の仕事内容について学ぶ子どもたち

「世の中のあらゆる出来事を取材し、記事に書いて、多くの人に伝えるのが記者の仕事です。でも、ただ聞いたことを写すだけでは不十分。誰が読んでも分かりやすい文章で書くことが大事です」。朝日新聞の記者経験者からそんな説明を受けると、子どもたちは熱心にメモを取った。取材に臨む心構えや質問のコツについて説明を受け、いざ試合観戦へ。

中学生の大会といっても、全国トップレベルの選手が集うJr.ウインターカップは迫力満点だ。たとえば、今回子どもたちが観戦した男子準決勝に出場した4チームは、昨秋、「FIBAU18 アジアカップ 2024」の日本代表メンバーに選出された、身長196cmの白谷柱誠ジャックが所属する四日市メリノール学院中(三重)をはじめ、いずれも186cm以上の高身長選手を擁する。高校生に遜色ないゴール下の攻防が繰り広げられ、体育の授業でしかバスケに触れたことがなかった中学2年の女子生徒は、「本当に同じ中学生ですか?」と目を丸くしていた。

子どもたちは講師の解説を聞きながら、気になったプレーの詳細や選手の様子を手元のメモ用紙に書きとめ、時には講師に質問しながら試合を見守った。

競技レベルの高さに思わず歓声が上がる場面も

リアルな取材体験 本職うならす鋭い質問も

試合が終わると、勝者の笑顔と敗者の涙が交錯する様子に拍手を送りつつ、いよいよ取材体験の時間。子どもたちは2階の観客席から熱気が残るコートに移動し、まずは4~5人の少人数グループで1人の選手に質問する「囲み取材」のスタイルで、勝利チームの選手に思い思いの質問をぶつけた。

「相手エースの実力が高いなか、チームでどんな対策をしていましたか」「前半にファウルがかさんでいたけれど、後半は少なくなっていました。どうして修正できたんですか」。実際に記者が聞くような試合に即した質問もあれば、同世代ならではの質問も出た。「同世代でこんなすごい試合ができるんだって感動しました。練習で心がけていることはなんですか」。そんな問いに対しては、選手も思わず照れ笑い。「監督に、日本一を取るチームや選手はディフェンスがしっかりできると言われていて、毎日100%の力をディフェンスで発揮できるように意識してきました」という返答に、尋ねた参加者も納得の表情でメモを取っていた。

試合観戦中、熱心にメモを取る子ども記者

続いて会議室に移動し、2班に分かれて「会見形式」の取材に挑戦した。

取材対象者として、試合中継を担った実況・永田実さんと解説・井口基史さんが登場した。取材したい相手1人に対し、質問者は1班で約20人。限られた会見時間のなか、挙手して指名されなければ質問することはできない。中学1年の女子生徒は、「一口に取材といっても囲みと会見では全然違った。距離感って思ったより大事なんだなってわかった」と感じ入っていた。

試合展開に伴う戦術や、選手の将来性などについての質問も飛び出し、永田さんは「想像以上に鋭い質問がきて驚いた。試合をしっかり見てくれていてうれしくも感じました」。井口さんも「バスケットボールに詳しくない子も質問してくれた。裾野を広げる意味でも素晴らしい取り組みだと思います」と絶賛した。

実況担当の永田実さんに対しては会見形式での取材に挑戦

「ささえる」視点紹介 京王電鉄出張授業

また、今回の体験には、大会を支える企業や職業について出張授業を通して学ぶ、キャリア教育の時間も設定された。特別協賛(冠パートナー)する京王電鉄株式会社は、「京王電鉄とスポーツを通したまちづくり」と題し、バスケにとどまらないサッカーやラグビーも含むスポーツ支援の現在地を紹介。街に根付いたスポーツ活動があることで、その地域に住む人々が街への愛着を持つこと、スポーツの楽しみによって人々が元気になり、暮らしが豊かになることを分かりやすく伝え、だからこそJr.ウインターカップもサポートしているのだということを説明した。

出張授業の講師を担った開発事業本部沿線価値創造部・課長補佐の細田知宏さんは、日本バスケットボール協会公認S級審判員として、国際大会でも活躍する現役レフェリーでもある。平日は会社員としての仕事をしつつ、休日はBリーグなどの公式戦で全国各地を飛び回り、時には海外にも赴いていることを紹介すると、子どもたちからは「すごい!」「大変だ!」という驚きの声が上がった。

細田さんは、「子どもの頃は、バスケは『する』ものか『みる』ものという認識が強いかもしれないけれど、『ささえる』という関わり方があることを知ってほしい。さまざまなつながりから、バスケファンが増えていってくれればうれしいです」。

京王電鉄のスポーツ支援を紹介する細田知宏さん

コロナ禍乗り越えた大会 新たな価値創出へ

京王電鉄株式会社にとって、Jr.ウインターカップの冠パートナーは今大会で2年目。協賛として入った2023年1月の第3回大会は、新型コロナウイルスの感染対策によるさまざまな制限がようやく解除されたばかりで、有観客といっても、大会関係者以外の来場者はほとんど見られなかった。開発事業本部沿線価値創造部の三浦崇部長は、「当時はスポーツ業界も音楽業界も手探り状態。お客さま側も、どこまで動いていいのか分からず様子見な部分があった」と振り返る。

そこから1年。2024年第4回大会では、レジャー活動に対する人々の我慢が一気に解き放たれ、Jr.ウインターカップにも活気が見られるようになった。期間中の通算観客数は約3万人。国際大会における日本代表の活躍などからバスケ人気の高まりも感じられ、「2025年の第5回大会はもう一歩踏み込んだ形でJr.ウインターカップを盛り上げようと決めました」。そうして企画されたのが、今回の子ども記者体験だった。

男子準決勝を真剣なまなざしで取材した子どもたち

「アマチュア大会は、ともすると出場選手たちと競技関係者だけで完結してしまう傾向にあると思うのですが、それだけではもったいない。地元の小中学生にとっては同世代の一級のプレーが見られるチャンスですし、全国から選手やその保護者たちが集まるなか、地元商店にとっては経済効果を生むチャンスでもあります。活気ある、魅力ある街づくりは交通インフラを担う会社として一つの使命です。地域の方々にとっても価値ある大会にするため、まずは足を運ぶきっかけになればと、記者体験というフックを作りました」

実際、記者体験には募集枠の4倍を超える応募があり、当日も学ぶ意欲の強い子どもたちが集まった。バスケファンだけでなく、京王電鉄ファンだという参加者もいて、「本当にありがたいことです」と笑みをこぼす。

「子どもたちが真剣にメモを取りながら試合観戦する姿や、目を輝かせて取材する姿を見て、本当にやってよかったと思いました。『同世代だからこそ刺激を受けました』という子どもたちからの感想もあって、Jr.ウインターカップという大会自体も、まだまだ発展の可能性を秘めていると感じました」

選手へのインタビューは子どもたちにとって貴重な体験になった

スポーツ文化、決して「不要」ではない

実は、コロナ禍まっただ中で開催された2021年の国際大会の際、出向先の職員としてサッカーや近代五種、7人制ラグビーなど多くの競技実施を支えた経験を持つ三浦部長。「感染拡大防止のため他に道がなかったとはいえ、地域の皆様と盛り上げようと準備していたあらゆるものが白紙となり、無観客のスタジアムで競技を見守るのは、とても切なかった。スポーツが『不要不急』のものとされてしまったことに対しても、悔しさがありました」

もちろん、命を守るためには必要な措置だったことは理解し、納得している。京王電鉄株式会社の本業である鉄道事業は、コロナ禍においても暮らしに必要不可欠とされた「エッセンシャルワーカー」であり、厳しい移動制限などが伴う感染防止対策をとらなければ、業務を継続することは困難だったからだ。一方、継続的に外出しなくなったことで、体力や健康に悪影響が出てしまった人々の存在も、後々知ることになった。「振り返ってみると、確かにスポーツは『不急』だったかもしれないが、『不要』ではなかったんじゃないかと。今はそう感じています」

京王電鉄のスポーツ支援について語る三浦崇部長

そうした経験から、「鉄道というインフラを通じて人々の日常を支えることを大前提としつつ、暮らしをより豊かにするスポーツ支援を京王電鉄として取り組むことに意義がある。京王沿線を中心にバスケへの取り組みを進め、ファン層の拡大を行いたい」と語る三浦部長。

京王電鉄株式会社は、Jr.ウインターカップやウインターカップといったアマチュア大会だけでなく、国内女子トップリーグのWリーグでもプレーオフの冠協賛に入るなど、連携を強めている。サッカーJリーグのFC東京や、ラグビーリーグワンの東京サントリーサンゴリアス、東芝ブレイブルーパス東京など、京王線沿線に本拠地があるスポーツクラブに対してもファン参加型のイベント開催などで盛り上げ役を担っている。

「やっぱり、スポーツが根付いている街の方が、活気があって元気です。今後もスポーツ支援の輪を広げていき、人々が集う豊かな地域を創っていきたいなと思います」

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京王電鉄株式会社はスポーツの普及活動を通し、沿線地域の活性化と長期的なまちづくりに貢献して参ります。当社のスポーツ情報発信LINEはこちら