陸上

もうひとつの出雲駅伝

東海大の鬼塚はレース後、悔しさを隠しきれずにいた(撮影: 藤井みさ)

出雲市陸協記録会

10月8日@島根県立浜山公園陸上競技場

出雲駅伝の閉会式が終わるとすぐ、私たち4years.取材班は自動車で約10分の県立浜山公園陸上競技場へ向かった。「もうひとつの出雲駅伝」と呼ばれる出雲市陸協記録会を取材するためだ。この記録会は25年ほど前に始まり、出雲駅伝が中止になった2014年を除いて毎年開催されている。きっかけは出雲駅伝に出場する大学からの要望だった。

「もうひとつ」青学勢は快走

出雲駅伝にはまず、各大学が10人のメンバーを登録する。そしてレース前日まで、激しいメンバー争いがある。10人のうち4人は本番を走れない。彼らの頑張りを間近で見ている大学側から「ともに走ってきたメンバーも、出雲で走らせてもらえないだろうか」という声が上がった。願いに応え、出雲市陸上競技協会が出雲駅伝当日に5000mのタイムトライアルを開催するようになった。

初年度の40人程度から年々参加者は増え、今回は過去最多の72人。初回から開催に携わってきた出雲市陸協の浅津博行副会長は「もうひとつの出雲駅伝」と呼ばれることに驚きを感じつつも、「選手や観客のひとたちに出雲のよさを知ってもらうきっかけになってくれれば」と笑顔で語った。

今回の出雲駅伝を制した青山学院大は、記録会に4人が出走。持ちタイムの上位者が参加する第2組で走り、2年生の神林勇太(九州学院)が1位でゴール。13分58秒70の好タイムで、レースを見守った原晋監督にアピールした。ほかの3人も2、5、11位に入り、選手層の厚さを改めて示した。

記録会トップは青山学院大2年の神林

この悔しさは全日本で晴らす

出雲駅伝2連覇を逃した東海大から出た4人には、本番でエースの走りを期待されていた鬼塚翔太(3年、大牟田)も含まれていた。9月6日の日本インカレ出場も見送っていただけに、注目が集まる。会場に訪れた駅伝ファンから「頑張れ鬼塚」との声も飛んだが、ズルズルと先頭から遅れ、第2組で走った36人中32位。タイムは自己ベストより1分以上遅い14分53秒99だった。鬼塚は「出雲駅伝は走れなくても、記録会で勝ってチームにいい影響を与えられればと思ったんですけど……。今はただ、歯がゆさ、悔しさしかないです」と力なく話した。

チームの柱としての自覚があるだけに、インタビューを受ける顔には悔しさがにじみ出ていた。「いま自分は底辺にいますけど、あとはもう上げるだけです。今回の出雲では自分も含めて負傷者が多かった。もう一回チームを立て直して、全日本に向けて取り組んでいきます」。学生三大駅伝の二つ目、11月4日、全日本大学駅伝での復活をにらんだ。

駅伝ファンも駆けつけ、選手たちを応援

手応えをつかんだ青学の神林。現在地の低さを痛感した東海の鬼塚。「もうひとつの出雲駅伝」は、それぞれが再出発を誓う貴重な場所となっていた。

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