バスケ

特集:第70回全日本大学バスケ選手権

はい上がった法大4年生、思いは後輩へ

玉城は最後の真剣勝負に挑んだ

全日本選手権 第4日

12月13日@東京・大田区総合体育館
男子2回戦 白鴎大 91-78 法政大

今年のインカレに、法政大の4年生たちは格別の思いを抱いていた。ガードの玉城啓太(4年、京北)は言う。「こうやってインカレの舞台に立って大学バスケを終われること自体、すごく光栄なことだと思ってます。二つ上、三つ上の先輩たちは降格して引退されたので」。

この4年間の法政大の歩みは壮絶だった。2014年秋に1部リーグから2部に降格し、翌年はスタッフと選手間のトラブルから3部まで転落。そこから1年ごとに昇格し、今秋ようやく1部復帰と、3年ぶりのインカレ出場を決めた。玉城は「すごい4年間だった」と苦笑しつつ、夢舞台に立つことなく引退していった先輩たちに思いを馳せた。

3ポイントを封印し、後輩たちにパス

この試合は、チームが課題としていた出だしの甘さがそのまま敗因になった。第1クオーター(Q)は開始早々0-11と水を開けられ、11点ビハインドで迎えた第3Qも4連続失点。鈴木悠介(3年、洛南)が白鴎大の留学生センターに対して体を張って守り、玉城がつくり出したアップテンポな展開から千代虎央太(2年、光泉)や水野幹太(2年、福島南)が得点を重ねたが、「最初についた10点差をずっと追っている感じだった」と、玉城は立ち上がりのまずい展開を悔やんだ。

鈴木は留学生のセンターに身体を張って対抗した

玉城はチーム最多の33分間出場。持ち味を生かして22得点を挙げたが、「下級生にもっといい経験を積ませてあげたかった」と悔やむ。上昇志向の高い下級生たちとの意識の違いに悩み、「僕らがいたら邪魔なのかと思ったときもあった」と明かすが、それでも後輩たちに何かを残したいという気持ちは変わらなかった。この試合の最終盤は自らの得意プレーであるはずの3ポイントを封印し、後輩たちにパスを出し続けた。

特別指定選手としてBリーグでプレーする中村(左から3人目)を筆頭に、実力のある下級生がそろう

卒業後は第一線ではプレーしない。「つらいことも嫌なこともたくさんあったけど、こんなに楽しいバスケができるのも今日が最後でした。いざ終わってみると、さみしい気持ちです」。少し涙ぐみながら、しんみりと話してくれた。