ラグビー

帝京10連覇ならず、天理がスクラムで圧倒

7大会ぶりの決勝進出を決めて喜ぶ天理大フィフティーン (撮影・谷本結利)

大学選手権準決勝

1月2日@東京・秩父宮

帝京大(関東対抗戦Aグループ1位)7-29 天理大(関西Aリーグ1位)

大学選手権V10を目指した真紅の王者が、ついに敗れた。
帝京大(関東対抗戦1位)が天理大(関西1位)の挑戦を受けた。帝京は終始、接点とスクラムで上回わられ、7-29で完敗した。

脳しんとうの疑いでSO交代

試合開始からゲームを支配したのは、関西の黒衣軍団。帝京は前半6分にSO北村将大(2年、御所実)がタックルを受け、脳しんとうの疑いで交替。WTB奥村翔(2年、伏見工)が急遽SOに入った影響もあり、アタックにリズムが出ない。

攻守にわたって動きのよかった天理はSH藤原忍(2年、日本航空石川)や、ケガで先発が危ぶまれたSO松永拓朗(2年、大阪産大付)がボールを広く動かし、11分にはエースWTB久保直人(4年、天理)が右端にトライ。さらに19分、天理FW陣のスクラムに対して帝京が故意にスクラムを崩したとの判定でペナルティトライとなり、12-0とリードした。

22分、インターセプトから天理のCTBシオサイア・フィフィタ(2年、日本航空石川)が帝京ゴール前に迫るが、帝京WTB木村朋也(2年、伏見工)が戻って天理のノックオンを誘い、これ以上の失点を許さなかった。ただアタックでは相手ゴール前でモールを組んだが、天理の粘り強いディフェンスの前に得点を挙げられず。帝京は0-12で試合を折り返した。

帝京ペースにならず

後半、帝京は控えSH末拓実(3年、長崎北陽台)を投入し、SH小畑健太郎をSOにすきを見せる。その効果もあり4分、FB竹山晃暉(4年、御所実)のグラバーキックをWTB木村が押さえてトライ。FB竹山が難しい角度のゴールを決めて7-12と5点差に迫る。

しかし、天理の運動量は落ちることなく、後半だけでスクラムで4度のペナルティーを誘い圧倒。終始、自分たちのペースでゲームを運んだ。

13分にはモールを組んで、最後はCTBフィフィタが豪快に中央に飛び込んで7-19。19分にはスクラムを起点にWTB久保が抜け出し、最後は日本代表キャップを持つNo.8ファウルア・マキシ(4年、日本航空石川)がトライを挙げて7-26。29分にはSO松永がPGを決めて7-29とリードを広げた。

帝京は時間がない中でもトライを取ろうと攻める姿勢を見せたが、天理が守り切ってノーサイド。天理が3度目の挑戦で帝京を破り、7年ぶり2度目の決勝進出を果たした。帝京は2009年度から続いていた連覇が途絶え、10連覇を達成することはできなかった。

天理大に敗れ、悔しい表情の帝京大主将の秋山 (撮影・谷本結利)

天理 小松節夫監督
本当にイーブンに最後まで戦い続けてくれた。前半は風下できっちりディフェンスできて、点を取れたことで、いい勝負ができるなと思った。帝京はにはずっとリスペクトしてやってきたので、勝ててうれしいです。優勝を目指してやってきてるので、決勝は一番いい試合をできるように準備したい。精度を上げて、もう一回チャレンジャーとしてしっかり練習したいです。

天理大、島根主将(左)と小松監督 (撮影・谷本結利)

帝京 岩出雅之監督
本当に天理の素晴らしいラグビーが、我々の敗因だとおもいます。スクラムや、SOの早期の退場、ゲームの流れ、細かいところもありますが、天理の素晴らしいラグビーをチーム全員が感じました。
相手のチームに挑戦した我々の選手たちに、よくがんばったなと敬意を示したい。ロッカールームで選手たちは泣いてましたけど、いままで多くのチームの涙を見てきたので、われわれも涙して、しっかり次に笑えるように頑張ろうと話しました。(連覇が途切れたことに関しては)1年1年積み上げてきましたが、連覇が止まったことが悲しいものではなく、久しぶりに味わった本当の悔しさを大切にして、若いので挑戦する姿勢をより高めてほしいし、終わった結果は取り戻せないので、前に向いて進んでほしいです。

帝京大、秋山主将(左)と岩出監督 (撮影・谷本結利)