ラグビー

特集:第56回全国大学ラグビー選手権

同志社ラグビーの復権を誓い、走り続けた第109代山本組のノーサイド

名門校の重責を背負いながら、1年間突っ走った山本主将

第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会

12月15日@花園ラグビー場
同志社大 17-48 筑波大

12月15日、同志社大ラグビー部にとって3年ぶりに舞い戻った大学選手権だった。花園ラグビー場で行われた3回戦、対筑波大。ラストワンプレーで、WTB山口楓斗(2年・東海大福岡)が左サイドにグラウンディングした。だが引き離された点差は縮められずノーサイドとなった。

全国の舞台は復権への一歩

涙をぬぐう主将のWTB山本雄貴(4年・同志社)と4年生たち。最後の最後までリードを奪えず、終始相手のBK陣に翻弄された。個々の力が道を切り裂く筑波大に対し、一体となった守備で応戦することができなかった。

昨年、ラグビー部の歴史の中で、初めて2年連続で大学選手権出場を逃した同志社。先代が繋いだ伝統があるからこそ、このような結果は受け入れがたかった。第109代同志社ラグビー部にとって、全国の舞台に立つことは復権への第一歩。再建を任された山本は「GO! GO! GO!」をスローガンに掲げ、常にチャレンジャー精神を持つことをチームに伝え続けた。

昨年以上に「勝ちに貪欲な姿勢」は今季のリーグ戦で現れた。開幕から4連勝。どれも簡単な試合ではなく、接戦を勝ち切ったもの。昨季は逆転で敗北を喫した試合が多かった中、間違いなくチーム力が上回った試合だった。その後、京産大と天理大に立て続けに惨敗してしまうも、「もう一度原点に」。チャレンジャーとしての意識をチームメイトに再認識させた。最終節では一体となったアタックで後半から突き放し、関西リーグを2位で締めくくった。

最後まで貪欲な姿勢を貫いた紺グレ

迎えた3年ぶりの大学選手権、開始序盤はFL堀部直壮(4年・筑紫)やNO8服部綾(4年・東福岡)が体を張ったキャリーでエリアを奪う。だが、先制点を挙げたのは筑波大だった。そこからFB原田健司(4年・修猷館)が1本を返し、5-17で折り返す。

全国の舞台への返り咲きは復権に向けた確実な一歩

後半早い段階で追撃したい同志社。密集から4年生が体をぶつけながら前へと進撃をする。何度も窮地を救ってきたFW陣が40フェイズ重ねて、ラストは服部がインゴールへねじ込んだ(12-17)。5点差まで迫り、花園は同志社の逆転劇に期待を膨らませていたが、反撃はここまで。5トライの猛攻を受け、万事休す。「想像以上に筑波大のテンポが速く相手を崩しきれなかった」と萩井好次監督が振り返るように、筑波大BK陣に打つ手がなかった。

ラストワンプレーを知らせるホーンが鳴り響いた。敗北は確定していたが、同志社はそこで意地を見せた。キックオフのボールを主将が競り勝ち奪う。紺グレは最後の最後まで貪欲な姿勢を貫き、一矢報いるも第109代の挑戦は3回戦で終幕した。

先陣を駆けた熱き主将の涙

同志社フィフティーンは悔しさを滲ませながらも、一目散に整列。観客席に向かって長いお辞儀をした。「最後の最後まで一緒に戦ってくれたみなさんには感謝の気持ちでいっぱい」と山本。先陣を駆けた熱き主将は涙を流しながら、花園を後にした。

山本は今後、後輩たちの日本一を全力でサポートするという

「日本一になれなかったことは本当に悔しい。ただ、このメンバーに出会えて、そんなチームでキャプテンを担うことが出来て本当にうれしい」。同志社という名門校としての重責を背負いながらも、突っ走ったこの1年。本気で日本一を狙っていただけに、負けた悔しさから立ち直ることは難しいだろう。だが「今後後輩たちが日本一を目指すサポートを僕自身全力でしようと思っている」と山本は言葉を残した。復権を誓い、満身創痍になりながらも走り抜けてきた2019年。次世代の紺グレへ未来を託し、第109代山本組の挑戦は幕を閉じた。