大学バスケ

特集:第71回全日本大学バスケ選手権

関学女子バスケは初戦敗退も 全員で戦った道のりはゼロにならない

井上主将(前列右から3人目)の元で一つになれた関学女バスメンバー

第71回全日本大学バスケットボール選手権大会 1回戦

12月9日@東京都エスフォルタアリーナ八王子
関西学院大 62-67 順天堂大

12月9日。全日本インカレ1回戦で井上桃子主将(4年、市立尼崎)率いる関西学院大は、関東11位の順天堂大と対戦し62-67で敗北した。

微笑まない勝利の女神

関学にとっては2年ぶりに勝ち取った全国の舞台。「打倒 Big10」を掲げ、緊張とまだ見ぬ景色への期待が入り混じった表情でコートに立つ。コートもベンチも気持ちは一つ。苦楽が詰まった1年間を胸に、最終決戦を迎えた。

チーム始動時から道のりは険しいものだった。2018年度は4年ぶりに全日本インカレ出場を逃し、関西1部リーグでは8校中7位で終わる。悔しさを残し迎えた2019年度は、「関西制覇」の目標と、チームスローガン「Win at all〜全員で勝つ〜」を掲げた。

始動時から苦難の連続だったチームをまとめた井上主将

「一人ひとりに戦力になってほしいという思いからです」と井上主将。目標達成へ向け全員で走り出したものの、待っていたのは苦難の連続だった。「全員でつながったバスケができていない」。コミュニケーションが不足し個々で戦うチームに、勝利の女神は微笑むことはなかった。

絶えず不安が付きまとう。「今やっていることは合っているのか」。目標に向け行動するも、勝ち星は得られず。更にコミュニケーションミスから、チーム内で方向性が食い違った。妹尾綾弓主務(4年、春日丘)は当時を振り返った。「もめました。正直、しんどかった。こんなにチームのことを考えているのに伝わらないのかって」

自然と縮まった互いの距離

だが、転機が訪れた。夏に3、4年生で行ったミーティング。腹を割って互いの思いを伝えた。「3年生が、『こういう場合はこんな風に伝えてほしい』と意見してくれた。すごくありがたくて、それと同時に頼もしく感じました」と主将は振り返る。一人ひとりの言動がチームを作る。自然と縮まった互いの距離はチーム力となり、徐々に形に表れ始めた。

「Win at all〜全員で勝つ〜」のスローガンを全員で体現

「Win at all〜全員で勝つ〜」が体現されつつあったが、一人ひとりに発言を求めたリーグ戦前のミーティングで、全員の発言が得られなかった。「このままじゃあかん」。主将は腹を決め厳しく問うた。「みんなで関西制覇を目指しているはず。何もせんのやったらこのチームにおる意味ないやん」。

主将の言葉がメンバーに届いた

主将の厳しい叱責に、メンバーの間に冷たい沈黙が流れた。「部がバラバラになるかもしれない怖さはありました。でもここで言わなあかんと思った」。常に先頭に立ち、勝ちたい気持ちを誰よりも行動で示してきた主将の言葉が届いた。

コートとベンチが一体となって勝利を目指した

「そこから、本気でみんながついてきてくれた」。試合前にはスカウティングが尽力し、試合中はコートとベンチで声が飛び交った。破竹の勢いで勝ち星を奪取し、チーム歴代最高成績タイの関西3位に。目標の関西制覇には届かなかったが、「このチームで勝ちたい」と本気で行動する原動力が、一人ひとりに芽生え始めた。

そして迎えた全日本インカレ初戦。序盤から拮抗(きっこう)する展開が続き、勝利を確定づける決定打がお互いないまま50-47のリードで最終ピリオド迎えた。このまま勝てるはず。勝利を信じた。だが、62-65で試合は終了。全員で作り上げてきたチームがここで終わった。

「来年は悔いなく終わってほしい」

試合後、うつむきながら涙を見せる仲間の中で井上主将だけは表情を変えなかった。「全員で盛り上げるところは盛り上げ、調子が悪い子には声を掛けながら全員で戦えた」。負けてもここまでの道のりはゼロにならない。1年をかけ、体現したスローガン「Win at all〜全員で勝つ〜」。6人の4年生がまいた種を全員で育ててきた。

自らまいた種を最後、見事に実らせた6人の4年生

「今年学んだように、全員で勝ちを求めて、全員で動いて、来年は悔いなく終わってほしい」。来たる2020年、関学女バスは、強くたくましい花を咲かせることだろう。