大学陸上・駅伝

特集:第96回箱根駅伝

東京国際大が5位で初のシード権獲得 昨年15位から大躍進、常連校への一歩

アンカーの内山(中央)を笑顔で迎える伊藤(左)と真船(撮影・藤井みさ)

第96回箱根駅伝 

1月2~3日@大手町~箱根の10区間217.1km
5位 東京国際大 10時間54分27秒

新しい風が吹き抜けた。第96回箱根駅伝で昨年15位だった東京国際大が5位に入り、初のシード権を獲得した。事前に「シード権、8位が目標」と公言していた大志田秀次監督の目標をさらに上回る形となった。

3区で大学史上初めて箱根路のトップを走る

1月2日の往路、1区(21.3km)を託されたのは丹所健(1年、湘南工科大附)。中盤から離されトップとは1分49秒差の13位でエース・伊藤達彦(4年、浜松商)に襷(たすき)リレー。伊藤は5km付近で東洋大の相澤晃(4年、学法石川)に追いつかれると、横並びになり併走。ハイペースで前を追った。20kmすぎてギアを上げた相澤に置いていかれたが、その後も力走を続け、8位で3区(21.4km)のイェゴン・ヴィンセント(1年)につなぐ。伊藤の2区(23.1km)の区間記録は相澤に次ぐ区間2位タイ、1時間6分18秒は塩尻和也(順天堂大~富士通)の持つ日本人最高記録(1時間6分45秒)を上回るタイムだった。

伊藤は東洋大の相澤と15km近く併走。終始楽しそうな様子が印象的だった(撮影・藤井みさ)

ヴィンセントはまさに異次元の走りを披露した。大きなストライドでぐんぐんと前を追い、戸塚中継所ではトップと46秒あった差を逆転。59分25秒と、初めて1時間を切る記録で1位で4区(20.9km)の佐伯涼(3年、須磨学園)につなぐ。佐伯は青山学院大の吉田祐也(4年、東農大三)にかわされるも、粘って2位で5区(20.8km)の山瀬大成(4年、千原台)へ。山瀬は國學院大の浦野雄平(4年、富山商)と東海大の西田壮志(たけし、3年、九州学院)に抜かれ4位に落ちるも、最後に西田を抜き返して芦ノ湖のゴールへ。大学史上最高順位となる3位で翌日の復路へとつないだ。

大志田監督は5区15kmすぎで山瀬に「3番と4番は違う。チャレンジして4番なら価値はあるからやろう」と声をかけた(撮影・佐伯航平)

3位から5位まで、粘りでつないだ復路

1月3日、山下りの6区(20.8km)をトップと3分17秒差でスタートしたのは1年の大上颯麻(豊川)。500mほどで東海大の館澤亨次(4年、埼玉栄)に抜かれるが、その後は4位をキープ。7区(21.3km)は副将・真船恭輔(4年、学法石川)。高校のチームメイト、明治の阿部弘輝(4年)に抜かれ、5位で襷リレーした。8区(21.4km)の芳賀宏太郎(2年)も真船の高校の後輩。芳賀は区間5位の走りで順位をキープし、9区(23.1km)の相沢悠斗(4年、聖和学園)へ。相沢はぐんぐんと前を追い、3位の國學院大と2分21秒あった差も追いつき、3位で最終10区(23.0km)のキャプテン・内山涼太(4年、八千代松陰)に襷リレーした。

相沢(左)は区間3位の力走。内山はラストで競り負けたことに悔しさを口にした(撮影・安本夏望)

内山は明治大の河村一輝(4年、大垣日大)と併走、そこに國學院大の殿地(どんじ)琢朗(2年、益田清風)と帝京大の吉野貴大(4年、東海大望星)が追いつき4人での3位争いに。最後までもつれたが、殿地と吉野が先行し、内山は5位で大手町のゴールに飛び込んだ。

「簡単に3番に入れなくてよかった」

レース後、大志田監督は「よかったです」と振り返った。「選手個別の反省はあるけど、目標を決めてそれに向かって選手が達成しようとした結果なので、夢を見たらきりがないです」。往路3位だったことで、総合3位を目指そう、という空気が選手内にもあった。だが大志田監督は「負け惜しみじゃなくて、簡単に3番に入れなくてよかったです。今回、3番になる可能性があるんだと思ってくれればまた変わるんだろうし。今後(新チームが)始動していく中で学生たちと情報を共有して、何が足りないのか、どうしたらいいのかをわかっていけばいいと思う」という。

創部9年目、箱根駅伝には4回目の出場。ずっと「シード権獲得」を目標と言い続けてきて、順位の具体的な目標は監督としては置いていなかった。昨年12月10日の記者発表の際に8位と言ったのは、選手からそれぐらいを目指したいという声があったからだという。「『シード権』という目標があり、その上がなかったものがいま現実になったので、次に学生たちが何をしていきたいか、何を目指したいかを思ってくれれば」と口にする。

力のある3年生、下級生の伸びに期待

今シーズンは伊藤が「自分たちの代が最強」と言い続け、メンバーにも5人の4年生が走った。彼らが抜けることについて問われると「大砲(伊藤達彦)はいなくなるけど、本来力のある3年生が、4年生がいるからだったり、けがだったりで試合に出られていない者が5、6人います。その下の代も含めチーム作りをしていきたい」と返した。実際、伊藤も昨年の箱根後、3月の学生ハーフマラソンで3位に入ってからブレイクした。今年も新戦力が飛び出してくる可能性は十分にある。

ヴィンセントはまだ1年。人生初の駅伝を「楽しかった」と振り返った(撮影・安本夏望)

5位に入ったことで、次回の箱根駅伝監督トークバトルの出場が決まった。そのことを伝えられると「それは遠慮したいな……棄権できないかな。学生たちに『6位でいいぞ! 』と言っておくんだったな」と珍しく少し焦った様子の大志田監督。いまから12月に何を語るのかが楽しみでもある。箱根新興勢力から、常連校へ。東京国際大の新たな扉が開いた。