フィギュアスケート

同志社大・友野一希「僕の中で大切な試合」 圧巻の強さで2シーズンぶりインカレ優勝

SP、FSともに1位という圧巻の演技で優勝した友野

第92回全日本学生氷上選手権大会フィギュア競技

1/5~7@日本製紙アイスアリーナ(北海道)
男子7.8級クラス男子 優勝 友野一希(同志社大)244.80

「僕の中で大切な試合です」。タイトなスケジュールの中出場したインカレで、同志社大・友野一希(3年、浪速)が2位に大差をつけて2シーズンぶりの優勝を飾った。4回生の選手たちが集大成の演技を見せるインカレ。友野には、ともに切磋琢磨した仲間たちの勇姿を見届けたいという強い思いもそこにあった。

成長を示した圧倒的な演技

約2週間前に行われた全日本選手権ではミスのあったSP(ショートプログラム)。冒頭の連続ジャンプは着氷に乱れが見られたが、2本の4回転ジャンプをクリーンに決める。さらに後半の3回転アクセルも高い質で成功させた。独創的な振り付けが散りばめられた個性あふれるプログラムを演じ切り、首位発進。友野が王座奪還に向け最高のスタートを切った。

全日本でのミスを払拭したSPで見事な首位発進

翌日、絶対的な優勝候補として迎えたFS(フリースケーティング)。多くの仲間たちの声援を受けながら、リンクの中央に立つ。会場中が静まり返り、友野を見つめた。『ムーランルージュ』のメロディーが流れた瞬間、友野の世界観が創られていく。

冒頭の4回転ジャンプを含む連続ジャンプを決めると、続く4回転サルコーも流れのある着氷で高い加点を獲得。しかし中盤、3回転アクセルの回転が抜けてしまう。「年末年始詰め込めてなかったところが出たかな」と試合後に語った友野。それでも会場を支配する存在感と情感あふれる滑りは圧巻だった。4回生の時國隼輔(4年、就実)からアドバイスをもらったというスピンでも、3つのうち2つが最高のレベル4という高評価。最後までスピード感にあふれた圧倒的な演技で2年ぶりの全日本学生王座に返り咲いた。

全日本選手権を終え、1月4日には名古屋のショーに出演。その後すぐ、この試合のために釧路に向かうというハードな試合日程をこなした友野。「練習ができていない中で、これだけできたのはシーズンの貯金があったと思う」と納得の表情で振り返った。

インカレへの特別な思い

毎年、ラストシーズンを迎えた4回生の選手たちが集大成の演技を見せるインカレ。そこには選手の数だけドラマがある。「引退に向けての最後の試合っていう人もいるし、それを見に来たって言っても過言ではない」と語った友野。ともに切磋琢磨した仲間たちの勇姿を見届けたいという強い思いがそこにあった。

次に待つ大舞台に向け、特別な試合で最高の結果を残した友野

自身の演技後、リンクサイドで選手を鼓舞する姿や、大きな拍手を送る姿も見られた。GPシリーズなどで世界を舞台に戦う友野。しかし、インカレでは大学3回生の等身大のスケーターとしての背中があった。

1月末には国体、そして2月に行われる四大陸選手権への出場も決まった。地道な努力が実を結び始め、いま花開こうとしている。「自分のできることをやる」。スケートを純粋に楽しむ気持ちを胸に、友野の挑戦はこれからも続いていく。