大学サッカー

特集:うちの大学、ここに注目 2020

来たるべきシーズンにそなえる関大「KAISERS」たちの挑戦

新チームを率いるDF小山主将

特集「うちの大学、ここに注目 2020」。今シーズン注目のチームや選手を、選手たちをいちばん近くで見ている大学スポーツ新聞のみなさんに書いてもらいました。関大スポーツ編集局からは、いまだ幕明けが見えない大学スポーツ界の中、今シーズンも活躍が期待される4クラブについてです。

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新型コロナウイルスの感染拡大で、世の中には暗いニュースばかりが飛び交い、まだまだ先の見えないトンネルの中にいるような毎日。大学スポーツ界にも大きく影響を及ぼし、リーグ戦など、ほとんどの大会が中止か長期にわたる延期という事態に追い込まれている。

関西大学は政府からの緊急事態宣言を受け、5月6日までは課外活動を禁止することが決まった。さらには6月に予定されていた第43回総合関関戦も中止となった。この状況下で部活動ができないことは仕方のないことだが、ラストイヤーの4年生をはじめ、この1年にかけている選手たちにとっては酷な状態だ。関大の体育会に所属する全ての学生、チームは「KAISERS」と呼ばれているが、その中からそれぞれの準備をすすめる4つのクラブを紹介する。

サッカー部は動画を毎日発信

日々前向きに挑戦をし続けている部活がある。毎日欠かさずYouTubeに動画をアップし、SNSでブログを発信しているサッカー部だ。

部員によるリレー形式で更新し、一人ひとりが独自のアイデアを持ち寄った個性豊かな内容となっている。以前からブログの掲載は実施していたが、YouTubeでの連続企画は新たに始めた取り組みだ。3月には「毎日サッカー教室」と題し、家の中でできる簡単トレーニングを紹介した。

例えば、小さなビニール袋を膨らませ、それを使ってリフティングをしたり、空間把握能力を向上させるために、目隠しをして、事前に配置を覚えたペットボトルに向かって一直線に歩いたり。身近にある物ででき、子どもにも分かりやすい動画となっている。

4月からはさらに発展させ、「毎日チャレンジ教室」を配信。サッカーとは少し離れ、料理に挑戦したり、エアロビクスやサッカーボールを使ったダンスを披露したり、最近読んだ本の内容を図に表しながら分かりやすく説明したりと、多岐にわたる楽しい動画を毎日アップしている。

今年こそ、念願の日本一へ

そんなサッカー部の目標は、今年も「全員サッカーで日本一」だ。例年と変わらない精神だが、今年は以前にも増して、全国への思いは強い。昨シーズンは、プロ内定選手を複数抱えながらも、リーグ戦6位に終わり、全日本インカレ出場を逃した。「危機感が足りなかった」と新主将となったDF小山新(4年、青森山田)は昨シーズンを振り返る。

今シーズンはミーティングや練習で常に「これでいいのか」と自分たちに問いかけ、厳しさをもって取り組んでいる。その中で新チームは「原動力~全てをともに~」というスローガンを掲げた。

「あいつが頑張ってるから、俺も頑張る。絶対誰かが誰かの原動力になっています」と小山。関大体育会の中でも1、2を争う大所帯であるサッカー部だが、一人ひとりの存在は大きく、日本一への欠かせない力となる。

さらに、全部員が同じ感情を共にし、共通の目標を目指すことで、どの大学にも負けない一体感を生み出すのだ。動画やブログでそれぞれが積極的に個性を開放することも、それがチームの原動力となっている。今年こそ、念願の日本一へ、苦しい状況でも闘志を絶やさず、1年を戦い抜く。

体育会全体が「KAISERS」という名前でまとまっているからか、関大では部活を越えた仲間意識が強く、オフの日には他の部活を応援しに行く者も多い。

バレーボール部女子の応援に駆けつけたサッカー部員たち

1月末、新チームとなって間もないサッカー部もバレーボール部女子の応援に多くの部員が足を運んでいた。小山主将は、「1点1点を全力で喜んだり、ベンチの選手が全力で声を出していたり、競技は違っても、勉強になるところがたくさんある」と絶賛。このバレーボール部女子もまた、今年大注目のチームだ。

一人ひとりが意識的に行動するバレーボール部女子

バレーボール部女子は、選手たちの自主性が特に目立つ部だ。練習メニューや、ミーティングなどを自分たちで管理する。試合に出るメンバーも4年生が決め、戦略もデータ分析も、とことん学生間で話し合う。さらに、レギュラーメンバー、控え選手、スタッフ関係なく、全ての部員に応援歌があり、一人ひとりが意識的に行動している。

昨シーズンは、そのチームの形がかみ合い、関西では常に上位に。西日本インカレでも関大史上初の4強入りを果たした。しかし、秋季リーグ戦では、たった1敗で優勝を逃し、準優勝。全日本インカレでは、関東のチーム相手に食らいつくも、念願のベスト8にはあと一歩及ばなかった。実力があるがゆえに、この成績では物足りない。今年は、主力スパイカーがそのまま残り、さらに上を目指すチャンスの年だ。

新チームを率いる原主将(中央)

チームの主将に就任したのは、1年時からコートに立ち、昨シーズンからはエースとして活躍している原幸歩(4年、誠英)。強烈なスパイクと壁のようなブロック、そしてチーム一のバイタリティーで、幾度も関大を勝利に導いてきた。

昨シーズンのリーグ戦では2季連続でベストスコアラー賞に輝いている。原を筆頭に、今までのチームでも活躍してきた4年生に加え、試合経験を少しずつ積み、頭角を現す下級生もいる。さらに、新しい風を吹き込み、のびのびと存分に力を発揮する新入生も加入した。競争はますます激しくなるが、高め合いながら、今年のスローガンのごとく「結束」し、最強のチームを目指す。念願のリーグ優勝、全国8強の壁を乗り越え、4強入りという目標を果たす1年へ。力を蓄え、シーズンの開幕を待つ。

王座優勝を誓うテニス部女子

昨シーズン、全国でその名を轟かせたバレー部は、今シーズンも変わらず強さを見せる。そして、テニス部女子は歴史を塗り替えた。創部初の王座準優勝。だが、抱いたのは悔しさとうれしさが入り混じった複雑な感情だった。

表彰後、笑顔で撮影に応じたテニス部女子

準優勝を成し遂げられた要因の一つはチーム力だ。昨シーズンは、鎌田琴衣(19年度卒、湘南工科大付)が先頭に立ち、チームを引っ張った。選手として試合に出場する部員だけではなくサポートに回るメンバーにも目を向けた。誰よりもチームのことを考える姿、誰よりも部員を信じる気持ち。そんな主将に応えるように、全部員が心の底からコートに立つ選手にエールを送った。一人ひとりの勝利への思いが一つになり、結果へとつながった。

今シーズン、主将を務める中塚桃子(4年、岡山学芸館)は「去年のチームを踏まえつつ、自分たちなりのチームを作っていきたい」と、意気込みを語る。その第一歩として、学年に関係なく全部員に役割を与えた。主将だけでなく、一人ひとりが今まで以上にチームのことを考える環境を整えた。

ダブルス2本、シングルス3本の計5試合で争われる女子の団体戦において、勝利の鍵となるのが先に行われるダブルスだ。現に、2017年度以降の公式戦で、勝ち越し、あるいはタイでダブルスを終えた場合の勝率は96%と非常に高い。昨年の王座に出場した2組のペアは今年も在学している。大舞台を経験したメンバーがいるということは、大きなアドバンテージだ。

準優勝で得た自信と、託された優勝への思い。この2つを胸に、王座優勝を誓う。そして、今年こそ喜びだけをかみ締める。

「投手王国・関大」の注目のマウンド

昨秋、明治神宮大会準優勝の野球部。「投手王国」と呼ばれるその陣容に、今年も注目したい。

昨秋のリーグ戦で三冠を獲得したプロ注目の左腕・高野脩汰(4年、出雲商)を筆頭に、明治神宮大会で登板した巻大地(3年、上宮)や鷲尾昂哉(2年、登美ケ丘)、リーグ戦で経験を積んだ香川麗爾(3年、大阪桐蔭)、定本拓真(2年、三重)など、昨シーズンからマウンドを任されたメンバーが多く残る。ただ今春、そんな選手たちを差し置きオープン戦で腕を鳴らした2人の若手投手がいる。

すさまじいパワーで打者をねじ伏せる若林

1人目は若林秀真(2年、市立西宮)。140km越えのストレートを駆使し、打者を力でねじ伏せる投球スタイルの右腕である。オープン戦では抑えとして登板することも多く、上記のピッチャー陣が失点する中、若林だけが無失点に抑えた試合もあったほど、そのパワーはすさまじい。

ポテンシャルの高さを見せる速球派左腕・宮崎

2人目は宮崎隼輔(2年、東海大仰星)。左投げながら最速145kmを誇る速球派である。3月に行われたオープン戦では、5回8奪三振で無失点に抑え、そのポテンシャルの高さを見せつけた。

昨年は出場機会に恵まれなかった2人だが、今後リーグ戦で登板し、大きな戦力となることは間違いないだろう。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、関大が所属する関西学生野球連盟では、春季リーグ戦は1試合総当たり方式で行われる予定となっている。これまで以上に激化する、「投手王国・関大」のマウンド争いから目が離せない。

関大には今回紹介した4クラブに限らず、今シーズンも活躍が期待される選手・クラブがたくさんある。新型コロナウイルス感染拡大でシーズンの幕開けはいまだに不透明、苦しい状況であることに変わりない。だが各々が今できる最大限のことをし、来るシーズンに備えている。

再び全力で競技に取り組める日々が戻ったとき、さまざまな可能性を持つKAISERSが関西を、さらに全国を席巻する。