いまは勝つことだけを考えて 筑波大サッカー主将・知久航介のラストシーズン
関東大学サッカーリーグ戦1部
7月26日@流通経済大学龍ヶ崎フィールド
筑波大(勝ち点0)0-3 明治大(12)
梅雨が長引く7月下旬、関東大学リーグは茨城県内で集中開催されている。新型コロナウイルスの影響を受け、体育会活動を自粛していた筑波大は、7月26日の第4節からリーグに参戦することとなった。
筑波大にとって初戦となる相手は昨年の大学王者・明治大。これまで3戦全勝と好調を誇る強豪に対し、0-3で敗れた。完敗と認めざるを得ない試合だったが、主将の知久航介(4年、國學院久我山)は「内容はよくなかったが、自分たちの強みが見えた時間帯もあった」と前を向いていた。
王者相手に完封負け喫す
無観客ながらYoutube上でライブ配信される「リモマ」として行われたこの試合、明治大がボールを支配し、筑波大は後手後手に回る展開が目立った。筑波大は幾度となく決定機を作られたが、新戦力の髙山汐生(1年、湘南ベルマーレU-18)がスーパーセーブを見せるなど間一髪でピンチをしのいでいた。
だが41分、筑波大は自陣右サイドを突破され、クロスを簡単に合わせられ、先制点を奪われた。0-1のまま後半へ。すぐに追いつきたい筑波大だったが、後半開始早々コーナーキックからまたも失点。「時間帯を考えても、いらない失点だったし、防げるものだった」と知久。
その後は拮抗した展開が続いた。流れを変えるために、筑波大は窪田翔(4年、星稜)や生地慶充(4年、FC東京U-18)ら攻撃的な選手をと投入。4年の2選手の気迫のこもったプレーも目立ち、チャンスを作ったがなかなかゴールに至らない。
終盤、筑波大は一瞬の隙をつかれ、裏抜けを許し失点してしまう。そのまま試合は終了し、0-3の完封負けを喫した。
数少ないチャンスを作った主将・知久
数少ない筑波大のチャンスの起点になっていたのが、主将の知久だった。
知久は左サイドバックで先発していたが、前半途中からボランチの一角へポジションチェンジした。
その後知久はボールに触る機会が増え、サイドチェンジや縦パスなどを織り交ぜ、攻撃の起点となった。「中盤に入ったらリズムを作るのが仕事。守備面でも高い位置でボールを奪うことを心掛けた」と振り返る。
「ボランチでもサイドバックでも自分の目指すプレーは変わらない」
もともとはボランチを主戦場とする知久。筑波大入学後は選手層の厚さもあり、なかなか試合に絡めず「インカレで試合にやっと出れた」。トップチームに定着できない時期も経験したが、それでも腐ることなく練習を続けた。その後、2年に進級するとチーム事情からサイドバックに抜擢された。「詳しい経緯は覚えていないが、小井土監督に指示されてサイドバックに挑戦することになった。長い距離のスプリント経験が、機動力が身についたと思う」。この起用がハマり、以降はボランチとサイドバックの両ポジションで活躍し、筑波大随一のユーティリティープレーヤーとしての地位を確立した。
知久は筑波大の攻撃の組み立てを担い、周囲とのパス交換からチャンスを伺い、前線にボールを供給する。異なる二つのポジションでプレーするが、「ボランチでもサイドバックでも自分の目指すプレーは変わらない」という。「チームのために気の利いたポジションを取ってパスをつなぐのが自分の役割。サイドバックでもボランチのような場所でボールを受けたりしている」とプレー時の工夫を語る。明治大戦もポリバレント性や鋭いスルーパスを武器に、要所で輝きを見せていた。「自分はボールに触って生きる選手。パスが浮いてしまったシーンもあったので、もう少しきれいに足元につけてあげられるようにしたい」
筑波での実績を積み上げプロへの道を拓けるか
リーグ初戦は悔しい敗戦となってしまった。「全てにおいて明治が上回っていた。このプレーよりも全体の質に違いがあった」としつつも、「ボールを持ってゲームをコントロールできた時間帯もあり、最初からそれができていれば違った展開になったと思う」と振り返る。
卒業後はプロの道に進むことを希望しているが、「いまは将来のことより関東リーグや筑波大でのプレーに集中している。まずは勝つことだけを考えて準備していきたい」と意気込む。筑波大で勝利を積み重ねれば、おのずとプロへの道が拓かれるはずだ。まずはリーグ戦初白星へ。知久を中心に、筑波大は一丸となって勝利に突き進む。