サッカー

慶應への思いは誰よりも強い! 主将・松岡瑠夢の学生サッカーラストイヤー

FC東京ユースでプレーしてきた松岡は、最後に慶應のユニフォームでプレーしたいと入部を決めた(写真は8月1日の第5節)

関東大学1部リーグ戦 第6節

8月9日@流通経済大学グラウンド
慶應(勝ち点7)1-4 駒沢大(5)

念願の1部復帰を果たした慶應義塾大ソッカー部。挑戦者として臨む荒鷲軍団の今季の戦い方は徹底的に引いて守り、セットプレーとカウンターの限られたチャンスをものにするという、忍耐のサッカーを展開している。

その中で、チームをけん引するのが主将の松岡瑠夢(4年、FC東京U-18)だ。松岡は今季、守備の時間が多いチームでカウンターからのボールを受けると積極的にドリブルを仕掛ける姿が目立つが、開幕4試合でノーゴールと結果が出ない試合が続いていた。

主将松岡に待望の初ゴール

昨季はいい位置でボールを受け、フィニッシャーとしての役割が多く6ゴールをあげた。しかし今季はボールを受ける機会は減り、相手最終ラインのボール回しに対してプレッシャーをかける時間が多い。

それでも1部の舞台を個のレベルの高い、素晴らしい環境と前向きにとらえ、ゴールへの強い意識を維持している。そして先日行われた第6節の駒澤大戦、主将松岡に待望の初ゴールが生まれた。

松岡にとっても、チームにとっても待望のゴールだった

4点リードを許し苦しい場面で迎えた80分、杉本崇太朗(4年、名古屋グランパスエイトU-18)からパスを受け、少ないタッチ数で右足を振り抜いてゴール。試合は1-4で敗れ、今季2敗目を喫したが、最後に一矢報いる主将のゴールは次節に向けての好材料だ。

今季初ゴールということに加え、流れの中で生まれた貴重なゴール。実は昨季も1点目まで苦労していた。そして第9節の東海大戦で初ゴールを記録したことで勢いに乗ることができた。「うまくいっているときはポンと点が取れる」という彼に初ゴールが生まれたのは今後に期待が膨らむ。

プレーでけん引する主将

試合ではキャプテンマークをつける松岡だが、これまでの主将とは異なる部分がある。まずは選出経緯だ。

学生主体で決めるのが慣例だが、松岡は淺海友峰監督から指名された。そして副将も例年は1人だが今季は3人と相違点は多い。松岡自身は前主将の佐藤海徳(桐光学園)のようにリーダーシップを発揮することは求められていないと考えている。

実際に監督からは「プレーを貫いてチームを引っ張れるようになれ」と言われており、それゆえにGK、DF、MFの各ポジションに副将を設けた。

個人が突出するのではなく、チームで戦うのが今季の慶應のスタイルだ

「それぞれが役割を理解して積極的にリーダーシップをとってくれる」と松岡も答えるように、主将と副将の関係性は良好だ。

松岡は理想の主将像や個人としての目標については明確なイメージを持っていない。「瑠夢が主将になってよかった」と最後になるのが理想と答えたように、苦しい場面で自分自身のプレーでチームを助け、副将含めた周囲が主将を支えていく。それが今季の慶應のスタイルだ。一体となって戦術を立てて試合に臨めていることが、今季5試合で2勝とまずまずの戦いができている要因と松岡は考える。

慶應で戦うラストイヤー

このようにプレーでチームを引っ張る松岡だが、小中高と慶應の付属校で過ごしてきた生粋の慶應ボーイだ。しかしFC東京のユースでプレーしてきたため、高校まで慶應のユニホームを着てプレーをしたことがなかった。

「最後に慶應でプレーしたい」という思いでソッカー部入部を決めた。慶應への思いは誰よりも強い。そして4年になり学生サッカーもラストイヤー。「瑠夢が主将になってよかった」とみなが思うような大団円を迎えるその日まで、松岡は仲間とともに戦い続ける。