明大のスーパールーキー西川黎 甲子園春夏連覇の経験者は打撃でチームをけん引する
力強い打撃を武器に早くも実力発揮だ。昨年度、夏の甲子園で春夏通じて初優勝の履正社高から、西川黎外野手（1年、履正社）が明治大の門をたたいた。今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、1試合総当たり制での開催となった春季リーグ戦。そんな中、1年生ながら5試合全てにスタメン出場を果たした。持ち味のミート力で既に初安打も記録しており、秋季リーグ戦でも活躍に期待がかかる。
培った経験を新たなステージに
異例の決断だった。中学時代に所属していたヤングチーム・兵庫伊丹が、全国大会に出場するなど「野球がうまくいっていた」という西川。中高一貫校の神戸大付属中からは、ほとんどの生徒がそのまま付属高校へと進む中「中途半端に野球を終わらせたくない」という気持ちが大きくなった。考え抜いた末に甲子園出場も目指せる履正社高への進学を決意。野球への強い思いが西川を突き動かす原動力となった。
二刀流でチームを支えた。履正社高時代、選手の傍らでプレイングマネジャーの役割を担った。点呼や出欠の確認、来客者の案内など、仕事内容は多岐にわたり「主将よりも大変だった」。試合にも出ていたため、自分のことをしながらチームメートも見なければいけない。
それでも折れずに続けることができたのは「仲間が助けてくれた」から。空回りをするときもあったが、選手とマネジャーの両立を果たした。この経験から、「人間力」を磨くことはもちろん、状況に応じてどういうプレーをすればいいか「考えること」ができるように。養ったスキルは、新たなステージへとつなげていく。
注目株が見せる快進撃
卒業後は「レベルの高いところで野球がしたい」と明大へ進学を決めた西川。８月の春季リーグ戦では、開幕戦を含む5試合全てにおいてスタメンを勝ち取り、慶応義塾大戦では３番に座るなど鮮烈な神宮デビューを果たした。
打撃では常に「積極的にいく」ことを意識。その結果3本の適時打を放ち、勝負強さも見せた。しかし、春季リーグ戦に出場し課題も見えた。調子自体は悪くなかったが「予想以上にレベルの高さを感じた」という西川。高校までとは違うハイレベルな東京六大学の投手陣を前に、焦りから打ち損じをしてしまうこともあった。
「練習の質をもっと上げないと結果を残せない」。目先の結果に満足せず「練習での1球、1球を大切にしたい」と練習に対する意識が変わった。リーグ戦を経験したからこそある変化が、さらに成長を遂げるための大きな力となるに違いない。
強みである打撃で秋もチームに貢献する。西川の秋季リーグ戦での目標は「スタメン出場と打率3割以上」。夏季オープン戦も始まり、再びスタメン争いも激化する。期待されている打撃面でいかにアピールできるか。
今春は悔しくも5位に沈んだ明大だが、秋はこのままでは終われない。栄冠を手にするためには西川の活躍が鍵となりうる。春季リーグ戦で得た自信は胸にある。期待のルーキーが明大に勝利をもたらす要となる。
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