アーチェリー

特集:駆け抜けた4years.2021

同志社アーチェリー部主将・安久詩乃 チームで念願の「王座」優勝、さらなる高みへ

安定した射撃でオリンピック最終選考まで駒を進める安久

2020年9月18日に行われた全日本学生王座決定戦にて、同志社大学は圧倒的な強さとチームワークのよさで全国から集まる強豪を倒し、日本一に輝いた。その精鋭たちを率いたのは女子リーダーの安久詩乃(あぐ・うたの、4年、同志社女子)。東京オリンピック最終選考まで駒を進めている実力者だ。

理想のリーダー像

最高の集大成を飾った安久だったが、順風満帆な4年間ではなかった。中学・高校の憧れだった先輩と挑んだ2年前の王座決定戦。実力者たちがそろい、チームの雰囲気もよかった。しかし、結果は入賞することもなくベスト8で幕切れ。負けた理由が分からず、悔し涙を流し続けたという。

この経験が安久を大きく成長させたとともに、女子リーダーとしてのあり方を確立させた。「人にやる気を出させるような姿や、この人のためにうまくなりたいと思わせてくれるような人でした」と語る安久。当時の女子リーダー・田中希美(2020年卒)のようなリーダーを目指し、チームをけん引してきたのだ。

見るもの全てを魅了するチームワーク

個人競技のイメージがあるアーチェリーで、同志社が目指してきたのはずっと団体戦である王座での優勝。王座では個人の実力はもちろんのこと、声かけや修正し合うなどのチーム力も非常に重要となってくる。しかし、初心者から始める人も少なくない部活だからこそ、全員が同じ温度で同じ目標に向かうことは簡単なことではなかった。

抜群のチームワークは、見るもの全てを魅了する

「王座はメンバーだけが頑張っても勝てないってことを分かってほしかった」。安久はメンバー間の意識のギャップを埋めるために、試行錯誤してチームビルディングに取り組んだ。週に1回しかしていなかった応援練習も毎日10分だけでも行い、チームに一体感を生み出し団結力を高めた。この工夫を凝らした取り組みが功を奏し、大会本番では見るもの全てを魅了するような一際目立ったチームワークのよさが見られ、悲願の全国優勝を果たした。

悲願の団体戦で8年ぶりに全国制覇を果たした。男子も3位と健闘

安久が「この人のためにうまくなりたいと思えるリーダー」だったからこそ、出場選手だけでなく部員全員が同じベクトルを向き、各々にできることを見つけて必死に取り組んでいたため、なし得たことだといえる。

学生時代の恩を忘れない

アーチェリーは実力がそのまま点数に反映されるため、本当の敵は自分自身である。己との戦いに打ち勝つためにはたゆまぬ努力が必要不可欠であり、4年間継続し続けることは簡単なことではない。部を引っ張る存在として、自身のことだけでなくチームのことも考えなければいけない中で、「部活を続けられたのは部員やOBOGの方がいたから」と答えた。部員や家族の支え、試合のたびに連絡をくれるOBOGの存在が、彼女を奮い立たせ成長させたのだった。

部員への恩も忘れず今後もアーチェリーの魅力を発信していく安久(中央)

卒業後の目標は、「今までお世話になった人に恩返しができる選手になることと、アーチェリーの魅力について発信していくこと」と語った安久。競技をさせてもらっていた学生時代の恩を忘れることなく、さらなる高みを目指し続ける。大学生活で培ったどんな状況下でもブレない安定感あるプレーで世界へ羽ばたく瞬間から目が離せない。